オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『アンノウン』

Unknown, 113min

監督:ジャウム・コレット=セラ 出演:リーアム・ニーソンダイアン・クルーガー

★★★

概要

交通事故から目覚めたら妻に他人扱いされる話。

短評

リーアム・ニーソンが“最強のおっさん”じゃないアクション・スリラー。展開の意外性とそこそこのアクションで最後まで飽きさせない、安定した面白さの一作だった。ちょうどいい具合のエンタメ映画である。三十郎氏好みの美女が二人出てくるというのも良い。本作がジャウム・コレット=セラとリーアム・ニーソンの現在四作品に及ぶコンビの一作目なのだが、どれも本当に手堅くまとまっている。

あらすじ

学会発表のためにベルリンを訪れたマーティン(リーアム・ニーソン)とリズ(ジャニュアリー・ジョーンズ)のハリス夫妻。タクシーに荷物を置き忘れたことに気付いたマーティンが空港へ向かっていると、途中で事故が起きて昏睡状態に陥ってしまう。4日後、目覚めた彼が病院からホテルに戻ると、妻は自分のことを知らないと言い、その傍らにはマーティンを名乗る男がいた。曖昧な記憶に戸惑うマーティンだったが、何者かの襲撃を受け、自分が陰謀に巻き込まれていると確信する。

感想

主人公から昏睡から目覚めた時点から物語を始めるのではなく、“事故前”の描写を入れておくことで、「記憶が混濁しているのが原因ではない」と思うことができる。記憶喪失の男が他人を妻扱いしているストーカー的な話ではないのだと。また、リーアム・ニーソンが主人公なので、「彼はきっとハメられているに違いない」という前提で映画を観られる(彼は数多の事件に巻き込まれてきたのだから)。この二つが上手いミスリードになっていた。

“実は本当にマーティンはマーティンじゃなかった”というオチである。いつも主人公補正全開な“最強のおっさん”リーアム・ニーソンらしからぬ展開ではないか。事故により“信頼できない語り手”と化したはずのマーティンだが、上述の二つのミスリードが上手く機能しており、彼に感情移入しやすい物語となっていた。

彼の正体が暗殺者だったと分かることで、研究者の割には強かったり、車の運転が異常に上手かったことの説明がついた形になるのか。カーチェイスのシーンが[ベンツvsフォルクスワーゲン]の構図になっていて、その上、トラックからビールの樽が落ちてくる。ドイツが全開なシーンで笑えた。

マーティンの正体と目的が分かったことで逆に気になるのは、彼が思い出そうとしていた記憶についてである。マーティンとリザは偽装夫婦だったわけだが、彼は何度もシャワー中の情事を思い出している。果たして彼らは仕事の関係を超えたパートナーだったのか。それとも美人すぎる仕事相手にマーティンが欲情し、妄想が記憶にすり替わっていたのか(前者であれば最後のハッピーエンドは気に食わない)。最初に妻が「あなた誰?」と言い出した時には洗脳と寝取られが気になったものだが、無用な心配だった。なお、パーティー会場の黒ドレス姿のリザはとても綺麗だったが、死に様は阿呆っぽかった。

マーティンは事故を起こしたタクシー運転手のジーナ(ダイアン・クルーガー)を頼り、彼女と共に調査を進めていく。ジーナは“不法移民”という役どころなのだが、バリバリのドイツ人な彼女に演じさせるのはどうなのだろう。東欧訛りっぽい英語を話していたが、どう見てもドイツ人である。彼女のことは好きだが、ミスキャストだったと思う。彼女の壁が薄すぎる部屋で戦う時に、壁がきっちり破れたのは笑えた。

空港の入管職員(ペトラ・シュミット=シャラー)が美人だったのでメモしておく。空港の記録を調べればマーティンが映っているだろうと思ったのだが、彼が思い至らなかったのは記憶混濁の影響ということでよいか。こうした違和感を放置されると引っ掛かるものだが、元秘密警察の探偵ユルゲン(ブルーノ・ガンツ)がちゃんと気付いてくれてよかった。彼の「質問を重ねる」というテクニックも面白かった。

アンノウン (字幕版)

アンノウン (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video