オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ザ・ウォード/監禁病棟』

The Ward, 88min

監督:ジョン・カーペンター 出演:アンバー・ハード、メイミー・ガマー

★★

概要

精神病院の監禁病棟から患者が脱走しようとする話。

短評

アンバー・ハードがスクリーム・クイーンを演じたホラー映画。彼女はとっても美人なので、うってつけの役柄ではあるのだが、ホラー映画にありがちな“美人なだけ”の役だった感は否めない。「何かが起きてる」→「脱走」→「失敗」を繰り返すばかりの単調なストーリーで、美貌以外の魅力を発揮する余地がなかったこともあるだろう。オチは荒削りながらも納得のいくものだったが、肝心のホラーとしては怖くなかった。

あらすじ

1966年オレゴン州ノースベント。家に放火しているところを捕まえられたクリステン(アンバー・ハード)は、そのまま精神病院の監禁病棟へと送り込まれる。彼女は他の患者のエミリー(メイミー・ガマー)やゾーイ(ローラ=リー)たちと自分は違うを思っていたが、病院の自室内で他者の気配を感じたり、シャワー中に何者かに襲われるという事件が続く。そして、遂にはアイリス(リンジー・フォンセカ)やサラ(ダニエル・パナベイカー)が姿を消してしまう。

感想

事件と脱走失敗を繰り返し、それらには全てアリス(ミカ・ブーレム)という少女の亡霊が関係しているらしいと明らかになる。クリステンはこのアリスを「亡霊」と称しているのだが、明らかに「ゾンビ」である。あまりにも“亡霊感”がないため、「いっそのこと戦ってしまえ!」と思わなくもない(最後は本当にそうなる)。恐怖を感じさせるゾンビ映画もあるにはあるが、本作のような正体不明の亡霊としてはイマイチなビジュアルだった。皮膚の下を寄生虫のような何かが這い回っている演出は気味が悪くて良かったが、これは“お化けとしての怖さ”ではなく、“怪物としての怖さ”である。カーペンターらしさが裏目に出た形である。

怖がらせる方向性と亡霊のビジュアルがミスマッチなのに加えて、精神病院という舞台の不気味さも活きていなかった。患者に電気ショックを与える処置室の雰囲気は悪くないものの、他の患者たちが割と普通なため(これはオチを考えると仕方がないか)、あまり“ヤバい場所”という感じがしない。幽霊が出てきそうもない。

「全員アリスの別人格でした」というオチである。精神病院の患者が主人公というのは明らかに“信頼できない語り手”だし、叙述トリックのありがちなオチではあるのだが、「あ~なるほどね」という一応の納得感は得られた。これで一応の辻褄が合ったのなら、ラストシーンのクリステンはゾンビ的亡霊になっていないといけないのではないだろうか。亡霊のイメージは見る人の人格次第ということか。それともゾンビ化させるとクリステンだと理解できないからなのか。もっとも、細かい矛盾が気になるような映画ではないが。

三十郎氏はアンバー・ハードが『リリーのすべて』で見せた演技が好きなので、「彼女はやればできる」「もっと魅力を発揮できる作品を選んでほしい」と勝手に思っている。しかし、冷静に考えてみればそれ以外の作品で記憶に残るような演技を見せた覚えはなく、美しさと脱ぎっぷりだけが魅力の女優なのかもしれない(本作ではニ度のシャワーシーンがあるが、背中を向けていて“見えない”)。いや、そんなことはないぞ!アンバーはやればできるんだ!ジョニー・デップのファンなんかに負けないで、これからも魅力を振りまいてくれ!

アンバー・ハード以外にも美人揃いの一作だった。本人も美人なアリスは、自分が不細工になった姿など妄想できないということか。本人だけが不細工だったら色々と歪んでいて面白かったのに。

ザ・ウォード 監禁病棟 (字幕版)

ザ・ウォード 監禁病棟 (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video