オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ロックアウト』

Lockout, 94min

監督:スティーヴン・セイント・レジャー、ジェームズ・マザー 出演:ガイ・ピアースマギー・グレイス

★★★

概要

宇宙刑務所で人質になった大統領の娘を救う話。

短評

全編が英語ではあるが、フランス製作のSFアクション映画。製作がリュック・ベッソンと聞いて納得の、独創性がなく(『ニューヨーク1997』のパクりで訴えられて負けたらしい。『M:I ゴースト・プロトコル』のパクりは問題なかったのか)、大味で、ほぼほぼ予定調和の一作である。とは言え、それも悪いことばかりではなく、“それなり”にではあるが楽しめた。特筆すべき部分もないが、声を荒げて貶すほどでもない。“それなり”の映画である。

あらすじ

機密情報を巡る任務中に何者かにハメられたCIAのスノー(ガイ・ピアース)。罪を着せられた彼は、重罪人専用の宇宙刑務所MS1への送致が決まる。その頃、MS1を大統領の娘エミリー(マギー・グレイス)が訪れていた。彼女との面会中に囚人が暴動を起こし、全囚人が監房から脱出。エミリーは人質に取られてしまう。そこで、スノーが彼女の救出に送り込まれることとなり、彼は同時に件の機密情報の鍵を握るメースとの接触を図ろうとする。

感想

舞台は宇宙刑務所だが、それほど宇宙を感じさせる映画ではなかった。確かに刑務所の内観は宇宙船っぽいし、船内の酸素を巡る描写があったりもする。加えて、刑務所を外から捉えた映像は宇宙そのものなのに、「ここは宇宙なんだ」という感覚は得られなかった。ストーリーに宇宙でなくてはならない必然性が欠如している影響なのだろう。「ここは宇宙ですよ」とアピールはしているが、大半は警備の厳重な刑務所であれば成立するシーンばかりである。

それでも“宇宙らしい”シーンもある。最後にスノーとエミリーがスーツを着て爆発する刑務所から脱出する場面なのだが、なんと二人はそのまま地球へと降下する。大気との摩擦はスーツで凌ぎ、それが終わるとスーツを脱ぎ捨て、パラシュートを開いて見事地面に着地。凄いスーツである。きっと大気圏突入時には摩擦熱が怖ろしいことになっていると思うのだが、それに苦しむ様子も見られなかった。宇宙に刑務所を作るという発想や、それを実現する技術力よりも遥かに凄いスーツだと思う。そんな未来の話なのだが、microSDカードは健在のようだった。

宇宙刑務所MS1では、囚人が“凍眠”させられている。『エイリアン』などのSF映画でよく見かける技術だが、果たして眠ったままの収監生活に意味はあるのだろうか。刑罰の目的は応報論や予防論と様々だが、眠ったままでは苦痛を感じることも反省することもできまい。凍眠が人権侵害だと理由でエミリーが刑務所の調査に来ているのだが、何か別の形でもよかったのではないか。その辺りの詰めの甘さもリュック・ベッソンらしさか(監督ではないが脚本にも名を連ねている)。

とりあえずカーチェイスをぶち込んでおく辺りにもリュック・ベッソンを感じたが、CGバレバレのショボいシーンであり、ない方がマシなレベルだった。

なんだか悪いことばかり書いてしまったが、分かりやすい話とアクションがスピーディに繰り広げられ、セットのクオリティはそこそこ高く、軽口を叩く主人公のキャラクターも悪くはない。刑務所に収監されている500人全員を敵に回すわけではないスケール感のショボさや、囚人の目的の不明瞭さと、ツッコみどころはいくらでもあるが、あくまでB級映画としてならば“それなり”だった。

ロックアウト(字幕版)

ロックアウト(字幕版)

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