オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『サリー 死霊と戯れる少女』

When the Lights Went Out, 86min

監督:パット・ホールデン 出演:ターシャ・コナー、ケイト・アシュフィールド

★★

概要

イギリス、ヨークシャーのポルターガイスト

短評

「The Black Monk of Pontefract」という事件を基にしたホラー映画。恐怖描写も結末も驚くほどにあっさりとしており、「これで終わり?」という印象だった。怖くないのは仕方がないとして、異常が起きても引っ越しできない家庭事情や主人公の少女の孤独といった掘り下げる余地のある要素もさらっと流しており、あらゆる点において物足りない一作だった。なお、少女は13才という設定なので、パッケージのように半裸、もしくはオフショルダーのセクシーな姿を披露するシーンはない。詐欺である。

あらすじ

1974年、イギリス、ヨークシャー。新居に引っ越してきたサラ(ターシャ・コナー)と両親の三人家族。初日から電球が揺れ、玩具が壊れるという現象が発生し、サラは気味悪がるものの、両親は相手にしてくれない。しかし、妄想では片付けられない現象が続き、やがてサリーは幽霊と交流するようになる。

感想

新居に引っ越した途端に心霊現象に襲われ、なんだかんだあって解決する。この“なんだかんだ”の部分が“物語”となるわけだが、本作のそれは酷く薄っぺらだった。第一に、“現象”そのものが大して怖くない。ちょっと家具がガタガタしたり、電気が消えたりする程度である(記者が幽霊に殴られるが、一家にはそれもなし)。第二に、解決の過程が雑すぎる。霊媒師による降霊会と神父による悪魔祓いといった定番の描写が「これはガチでやってるの?それとも素人が下手に手を出して失敗するパートなの?」というレベルであり、いつ盛り上がればいいのか分からなかった。

割と珍しかった点としては、サリーの両親の意見対立が挙げられるだろうか。我が子が幽霊に襲われているとなれば、普通は“母親”の方が「ここから逃げなきゃ」と言い、“父親”が「そんな金がどこにあるんだ!」と怒るものである。ところが、本作は母が“夢のマイホーム”に拘るあまりに引っ越しが却下される。彼女も心霊現象の被害に遭っているというのに。幽霊に部屋に閉じ込められた父はサリーのせいだと思って彼女をビンタするし、母はサリーが友人の母とトラブルとビンタするしで、なかなかに歪んだ関係の一家であった。

一家の関係性と共に掘り下げてほしかったのが、サリーの友人関係である。彼女には引っ越してきた時から同じくぼっち少女のルーシー(ハンナ・クリフォード)しか友人がいないのだが、幽霊騒ぎの後は魔女扱いを受けてイジメられている。そこに件のトラブルがあってルーシーとも離れてしまい、サリーは独りぼっちになってしまう。ここに幽霊の少女と仲良くなる余地があるわけだが、サリーと幽霊双方の心情の変化がほとんど描かれていないため、幽霊ちゃんが助けてくれるラストの展開がジョークにしかなっていなかった。

本作は“緩く”実話に基づいているらしいが、神父の件が本当だったなら面白い。「司教から悪魔祓いの許可が下りない」「除名されたらイヤだから協力はムリ」と渋っていた神父が、家政婦とアレしている姿を盗撮されて協力を強制される。なお、母親チームが霊媒師に頼った後に、特に何の説明もなく父親チームが親父をつれてくる。なんて統率の取れていない一家だ。

サリー 死霊と戯れる少女(字幕版)

サリー 死霊と戯れる少女(字幕版)

  • 発売日: 2014/11/29
  • メディア: Prime Video