オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『絶対に明かされない世界の未解決ファイル99』ダニエル・スミス

99 Things They Don't Want You to Know/Daniel Smith

概要

世界の未解決事件集。

感想

失踪や殺人、国家的陰謀、スキャンダル、UFOやUMAに至るまで、古今東西の歴史的ミステリーの99の事例を集めた一冊(全体の構成が1900年代のアメリカとイギリスの事例に偏っている気はした。特に失踪・殺人関連)。やはり謎というものにはロマンがあり、“未解決”というそれだけで惹きつけるものがある。いずれの事件もサラッと表面をなぞるだけ踏み込みが浅く、個々の事件にもっと踏み込めば面白いのだろうが、踏み込み過ぎて“帰ってこられなくなる”のは嫌である。

チュパカブラ]のようなB級映画の怪物はともかくとして(最近観たばかりの『トゥルース・シーカーズ』に出てくる[ボドミンムーアの獣]が収録されていたのはタイムリーだった)、映画化されている事件も多く収録されている。それだけ魅力的な“謎”なのだろう。『アイリッシュマン』の[ジミー・ホッファ]の死も未解決扱いだったのだが、フランク・シーランの告白は“公式”というわけではないのか。『バンク・ジョブ』の元ネタとなった[ベイカー街の銀行強盗]では、犯人が金庫に「シャーロック・ホームズを呼んでこい」と書き残したらしいが、そんな描写があったけ?他にも、[MKウルトラ計画][ゾディアック][ブラック・ダリア][MIB][仮面の男]と、映画ファンならば聞き覚えのある名前が並ぶ。“謎”が後世の作家たちにインスピレーションを与えていることが分かる。

「有名人の死の裏側には国家的陰謀が……」的な話にはロマンがあるが、やはり根拠の弱いものが多い(アガサ・クリスティエドガー・アラン・ポーのミステリー作家が、実生活でもミステリーを残しているのは楽しかった)。それとは異なるが、[ファティマ第三の予言]では、その内容のショボさ故に「本当は別の内容があって隠しているに違いない」という声が上がっており、人の“求める心”がミステリーを生み出しているという側面が垣間見える。ビルダーバーグ会議陰謀論なんかも面白いが、こういう話を真に受けると“発症”しそうである。

“人類史を揺るがす”レベルの出来事([スフィンクス]の建造時期や[バグダッド電池])だと途方も無さすぎるため、“現代社会を揺るがす”レベルの事件に魅力を感じた。特に[タリム盆地のミイラ]の話は、大事にしたくない“主体”と“意図”がハッキリしているのが良い。

逆に“謎だけがポツンと残された”中世の事件も魅力的で、1500年代のフランスで起きた[死の舞踏]の意味不明感は素敵である。現代科学によって“解釈”を加えることはできるが、“説明”はできないのが良い。

邦題の「絶対に明かされない」というのは少々言い過ぎな気もする。“陰謀論側”の主張も添えることで“未解決扱い”しているが、中には凡その“答え”が出ているものもあった。謎を残すのも重要だが、有力な説明があるものについてはもう少し踏み込んでもよかったような気もする。そもそも英語版は“未解決ファイル100”なのに、日本語版では“99”に減ってしまったのは何故なのだろう。一体どのケースが削られたのだろう。意図と共に謎である。