オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『レッド・ドラゴン 新・怒りの鉄拳』

新精武門(New Fist of Fury), 82min

監督:ロー・ウェイ 出演:ジャッキー・チェン、ノラ・ミャオ

★★

概要

ジャッキー・チェンが悪い日本人と戦う話。

短評

ドラゴン 怒りの鉄拳』の続編。「ブルース・リーのヒット作をジャッキー・チェンが引き継ぐ」と言えば心躍るものの、当時のジャッキーはキャラクターが確立されておらず(顔も改造前)、残念ながら単純な劣化版という印象だった。日帝の横暴に耐えかねた主人公が精武拳で立ち向かう構図は同じながら、核心であるはずの“怒り”を感じさせる要素がどうにも弱い。また、最終決戦がなし崩し的に始まってしまうのもドラマ性を弱めていた。オリジナル版が115分なのに対して日本版は82分と短く、この辺りの影響も大きいのかもしれない。

あらすじ

日本統治下の台湾でコソ泥稼業をしているロン(ジャッキー・チェン)。太陽門のラムから手先になるように誘われるものの、これを拒否してタコ殴りに遭ってしまう。倒れていたロンを助けたのがホイ家の人たちで、その中には上海から台湾へと逃れてきた精武会のミウ・ライイー(ノラ・ミャオ)もいた。恩人ミウの勧誘も拒否するロンだったが、大和門の道場主・岡村の暴虐の限りに耐えかね、精武会への弟子入りを決める。

感想

体格を評価されて方方からスカウトを受けるロンだが、「修行がイヤ」との理由でこれを拒否。ところが岡村が精武会の看板を破壊すると、突如として(胸に「武精」と血で書いて)「皆で戦おう!」と立ち上がる。師匠を殺されたチャンと比べると、明らかに敵に立ち向かう動機が弱すぎる。ジャッキーとリーのアクションの方向性の違いもあるが、溜まりに溜まった“怒り”の感情が一撃に込められている迫力が感じられない。

スカウトを受ける有望株とは言えども、精武会に弟子入りするまでのロンはへっぽこである。日本人に喧嘩を売っては返り討ちに遭い、太陽門の連中には瀕死になるまでタコ殴りにされる(盗んだチェンのヌンチャクで形勢逆転かと思いきや、自分の頭にぶつけて自滅。このヌンチャクはもっとストーリーに活かしてほしかった)。彼の成長譚と岡村がヘイトを貯める描写の二つが必要となるわけだが、いずれもあっさりとしており、物足りなさを感じた。

そして訪れる最終決戦。岡村が「全道場を大和門に統一しようと思うから皆の意見を聞く場を設けた。聞くだけだけど」と言い出し、反対派の七嵌武館が立ち上がる。破れた彼に続いて大和門に立ち向かうのが精武会である。これは……、流されていないだろうか。本当に“ここで絶対に戦わねばならん”という場面だっただろうか。岡村は憎いが、死闘を繰り広げるほどの状況には思えない。本作の“怒り”は「ちくしょう!やってやる!」くらいのノリであり、悲壮な覚悟の滲んでいた前作のそれには遠く及ばない。

また、最終決戦の演出にも疑問が残る。精武会代表として最初に立ち向かうのがハン先生なのはともかく(岡村の娘・千代子戦で胸を気にするのが笑える)、次鋒が新人のロンというのはどうなのか。て言うか、精武会と大和門の双方に味方がいっぱいいて、正式な“試合”というわけでもないのに、代表者に任せて他は暢気に座っているだけなのはどういうことか。戦えよ。ミウは道場の代表者だろうに。最終決戦は一対一と決まっていたのかもしれないが、それならそれで不自然にならない状況を用意しないといけない。

ラストシーンも前作を踏襲する形となっているが、唐突感が強く、「形だけ揃えてみました」という印象である。

日本語訳の関係もあるのかもしれないが、前作が「精武館」だったのに対して本作では「精武会」だった。また、「ユアン」だったノラ・ミャオが「ミウ・ライイー」と名乗っている。名乗った場面では偽名なのかと思ったが、その後、特に本名を名乗るシーンはなかった。監督も同じで正式な続編ではあるらしいのだが、どうやら製作会社が異なるらしく、グレーゾーンの続編ということになるらしい。

レッド・ドラゴン 新・怒りの鉄拳 (字幕版)

レッド・ドラゴン 新・怒りの鉄拳 (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video