オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『テリファー』

Terrifer, 84min

監督:ダミアン・レオーネ 出演:ジェナ・カネル、サマンサ・スカフィディ

★★★

概要

ピエロに襲われる話。

短評

“あのクソ映画”『マミーVSフランケンシュタイン』のダミアン・レオーネ監督作。これはスルー必至かと思われたが、意外にも評価が高いので観てみたら、これが意外や意外にも面白かった。ストーリーや戦闘シーンのグダグダ感は同作に通ずる部分があるものの、モノクロのツートーンで構成されたピエロの禍々しいビジュアルが秀逸で、普通に怖い。この外見はペニーワイズよりも怖い。また、相当に気合が入ったグロテスクな特殊メイクにも出し惜しみがない。上述の通りグダグダではあるものの、ピエロが多彩な武器を使ってくる“遊び”の要素も魅力的である。

あらすじ

ハロウィン・パーティー帰りの夜道、タラ(ジェナ・カネル)とドーン(キャサリン・コーコラン)は不気味なピエロ男(=アート・ザ・クラウン)に出会う。二人が酔いを醒まそうと立ち寄ったピザ店にもピエロが現れるも、店主が追い出してくれて事なきを得る。しかし、店を出て帰宅しようと戻った車がパンクしていて、タラの姉ビクトリア(サマンサ・スカフィディ)に迎えを頼むのだが……。

感想

ピエロの襲われる“だけ”の話である。ただそれだけの映画なのだが、ピエロのビジュアルは禍々しいし(非常に個性的な顔の骨格も恐らく特殊メイク。鉤鼻もユダヤ人差別を理由に自主規制されたりするのだろうか)、豊かな表情と対称的に何も喋らないのが不気味だし、普通に怖い。監督の名前でスルーしそうになったのに観たのは、“いかにもダメそうなB級映画”なパッケージと評価のギャップが気になったのも理由の一つなのだが、このピエロは写真よりも映像の方が魅力を引き出せていると思う。

ピエロの正体が最後まで分からないのも良かった。意味不明に怖い怪物は意味不明なままでよい。ピエロは目をつけた相手を皆殺しにしていくのだが、その行動には一貫性が感じられず、ガチで殺しにいったり遊んだりと様々。ちゃんとピエロらしい“トリックスター”感が残された怪物なのである。

殺戮シーンは非常に気合が入っている。ただ血糊の色と量が凄まじいだけでなく、ちゃんと「刺す」「壊す」「割く」「抉る」といった破壊表現のために高クオリティな特殊メイクが使われている。ちゃんと“殺られている”感じのする痛々しい残虐描写のオンパレードである。“キャラクター”と“グロ描写”の二大要求を満たしているとなれば、それはもうスプラッター映画として完全に成功していると言ってよい。ただし、“汚いトイレ”をもう少し上手く使ってほしかったのと、“顔を食べる”シーンが省かれていたのは惜しかった。

“グロさ”だけでも評価できる水準に達している上に、そのグロさに緩急をつけるためのシュールな笑いがあるのも良かった。大虐殺を起こすピエロだが、これが“そこそこ弱い”。普通に反撃を食らって窮地に陥るし、仕留め損ねることだってある(ビニールの耐久性は考えろ)。様々な武器を用いて被害者をいたぶるピエロが、ピンチになると普通に拳銃を取り出すというシュールさである。赤ん坊のエイミー(人形)を取り戻そうと母の優しさを伝える気狂いおばさんに甘えてみたり、(恐らくは生の)おっぱいボディスーツを身につけてフラフラする姿も笑えた。

最も魅力的な殺され方をしたのは、やはりドーンだろう。彼女が“頭の弱いブロンド美女”全開で三十郎氏好みな上に(阿呆っぽい声も好きなのです。ビクトリアも美人だった)、おっぱい丸出しというのも素敵だったが、それを差し引いても面白い殺され方である。パンツ一丁で逆さ吊りにされた彼女は、(パンツを破り取った上で)股間からノコギリで体を真っ二つに切り割かれていく。理屈では説明不可能なピエロだからこそできる変態の所業である。もがくドーンの逆さまおっぱいがプルプルと揺れていて、エログロのミックスでもエロに反応できるのだと思った。監督も会心の演出だと思ったのだろう。ドーンの死体は殺害後にも何度か登場する。

テリファー(字幕版)

テリファー(字幕版)

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