オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ハウ・トゥ・エスケイプ?』

Detour, 86min

監督:ウィリアム・ディッカーソン 出演: ニール・ホプキンス 、ブレア・グラント

★★

概要

土砂崩れが起きて車の中で生き埋めになる話。

短評

生き埋め脱出映画。『[リミット]』や『トンネル 闇に鎖された男』に比べて非常に地味な一作である。エンタメ要素が極めて薄い分だけ、ストーリー自体は真面目に作られている印象を受けるものの、サバイバル要素もまた薄めであり、特に印象に残るところがなかった。最後の脱出方法は物理的に難しいと思うのだが、どうなのだろう。

あらすじ

男が車の中で目を覚ますと、外は真っ暗で、扉が開かない。携帯電話は不通で、ラジオ放送も受信せず、どうやら土砂崩れが起きて生き埋めになってしまったらしい。

感想

生き埋めになった時に最も重要なのは”水”の確保。これは基本である。救助が来るまでいかに耐え忍ぶのかが重要なのだ。車内には一本のペットボトルが残されていたが、食料のプレッツェルとは対称的に早々に飲み干してしまっていた。これはいけない。そこで、ルーフウィンドウのヒビから染み出した水を、カードを折って作った“漏斗”を利用してペットボトルに入れる。泥だらけで飲用には不適切に思われたが、ないよりはマシか。これがサバイバル映画であれば、簡易ろ過装置の作り方でも紹介してほしいところだが、そうした面白い要素はなし。主人公ジャクソンは泥水も尿も躊躇なく口にしていて、スキルはともかく精神的にはサバイバーだった。

サバイバル面で面白かったのは、車を埋めている土砂にパイプを貫通させ、空気穴を作るもの。酸素を確保できる上、深さを測ることもできる。運が良ければ、外部との連絡手段にもなる。パイプを通す窓の割れた箇所をセロハンテープで補強していたが、これは少々心許ない。やはり最強のサバイバルツールである“ダクトテープ”を常備しておくべきだろう。ダクトテープさえあれば、大抵の問題は解決する。

車内の道具を利用した面白い描写はこのくらいしかなく、残りはジャクソンが恋人の事を思い浮かべて生存意欲を高める描写が大半を占めている。特に美人の恋人でもなく退屈だったが、“動機”もまた生き残るために重要な要素の一つではあるだろう。

舞台はカリフォルニア州。「ちっとも雨が降らないくせに、少しでも降ると土砂崩れを起こす」とのことである。発生頻度はともかくとして、土砂崩れが起きているのに消防当局が一向に助けに来てくれず、最終的にジャクソンは「奇跡は起きないし、神も助けてくれない」「自分でやるしかない!」と決心することになる。神よりも救助隊に助けてほしい。恐ろしく辺ぴで誰も通らないような場所ならともかく、普通に道路が整備されている場所で発生しているのに。生き埋めになった人がいるのかどうかは分からずとも、調査や復旧は急がれるべきだろう。カリフォルニアは怖ろしい土地である。

そして、脱出パート。ルーフウィンドウが破れ、土砂が車内に流れ込むも、そのまま完全に生き埋めになることなく(都合よく)崩壊が止まる。そこで、ルーフウィンドウ上部にできた空間にパイプ等で支えを作り、意図的に土砂を崩壊させて脱出を図る。土砂が流れ込むことのできる空間が“自動車一台分”しかないわけだが、これはいくらなんでも上手くいかないのではないか。貫通させたパイプの長さから察するに、明らかにそれ以上の量の土砂があったと思う。