オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『シャークトパス』

Sharktopus, 88min

監督:デクラン・オブライエン 出演:ケレム・バーシン、サラ・マラクル・レイン

★★

概要

タコ足のサメが暴走する話。

短評

サメとタコが奇跡の融合を果たしたシャークトパス・シリーズの第一弾。一体元ネタの制作者は何を考えてこの組み合わせにしたのだろうか。二作目を先に観てしまう愚を犯したために、悪魔合体の衝撃度が薄れてしまい、悪いところばかりが印象に残ってしまった。CGの質感は酷いものだが、この奇怪な生物を描くことから逃げず、よく動かしている点は評価できる。しかし、全体の構成に致命的な欠陥があり、サービス精神も奏功せず退屈な一作となってしまった。エリック・ロバーツB級映画の悪役が似合う。

あらすじ

ビーチで女性を襲おうとしているサメにタコが襲いかかる……と思いきや、そのタコの正体は、遺伝子操作によって誕生した“S-11”──タコの足を持つサメであった。S-11を軍事利用できるか実験しようと小型船を追跡させたところ、船と接触して制御ユニットが外れてしまう。開発者のニコール(サラ・マラクル・レイン)はS-11を追ってメキシコへと飛び、元社員のアンディと共に捕獲を目指す。

感想

シャークトパスが人を襲い、アンディたちがシャークトパスを追うだけのシンプルなストーリーなのだが、前者の描写が非常に冗長である。バンジージャンプに興じるカップル(メアリー・コーマンロジャー・コーマンの娘)、浜辺で落とし物を探すマッチョな水着女性、海賊ラジオのDJとアシスタント(シャンディ・フィネッセー)、アメフトしながらヨガ女をナンパする男、ジェットスキーで暴れる男、リゾート施設のダンサーたち。彼らが“襲われる”シーン自体よりも、”襲われる前に何をしているのか”の描写がやたらと長い。

シャークトパスが触手を利用して上陸する描写や、バンジーの「完全にこのタイミング!」というところで死ぬシーンなんかは笑えるのだが、やはりストーリーと無関係な場面が多過ぎる。元から緊迫感なんて欠片ほどもないが、“死んでもいい奴”ばかりが死に過ぎる。「こいつが襲われるんだろうな」と理解していても、一体何を見せられているのか分からなくなってくる。

アンディたちは、これらの“無駄”の間にちょびっと出てくるだけなので、話が一向に進まない。これは致命的に退屈だった。監督は「サメ映画の観客はサメが人を襲うシーン(とビキニ女)が観られれば満足するだろう」とでも考えたのだろうか。確かにサメと水着のサービスには事欠かなかったが、もう少しバランスというものを意識してほしい。最後はシャークトパスが退治されるのも分かりきっているため(爆殺なのも二作目の冒頭に描かれるので知っている)、ただシャークトパスを見せる以外に“何で話を引っ張るのか”という軸が欠落していた。なお、ヒロインのニコールは美人だが、水着女性たちの水着“美女”度はイマイチ。

“生け捕り派”のサンズ父娘と“殺処分派”のアンディ。サンズ家の娘ニコールがなかなかの大物である。「人が死んでるんだぞ!」と主張するアンディに対し、「それが何よ」と返す。その後、父が無断でプログラムを修正したことを知ると、「どれだけの人が犠牲になったと思ってるの!」である。手のひらがクルクルである。シャークトパスを追う記者ステイシーも、地元の情報提供者が命を落としたのに「スクープをゲットすれば彼も喜ぶわ」と意味不明なことを言って取材を続けており、本作の女性陣は総じてサイコパス気味だった。

シャークトパスは触手の先端が鋭くなっているのだが、これってタコ足じゃないような。もっと吸盤を利用するような攻撃があってもよいかもしれない。

シャークトパス(字幕版)

シャークトパス(字幕版)

  • 発売日: 2016/06/15
  • メディア: Prime Video