オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『デッドクリフ』

Vertige(High Lane), 84min

監督:アベル・フェリー 出演:ファニー・ヴァレット、ジョアン・リベロ

★★★

概要

登山の行き止まりルートをロッククライミングで強行突破したら大変な話。

短評

本格的な山岳スリラーと見せかけておいてガッツリとホラーになるフランス映画。「あ、そっちの方向にいくのね」と一気にB級路線に突き進んだ感はあったものの、それなりに楽しめた。山岳スリラー単体でも十分な緊迫感があって良かったが、ホラーに転換した後に人間ドラマの伏線が活きてくるのが(笑えるという意味でも)面白かった。

あらすじ

クロアチアに登山に訪れたフレッド、カリーヌ(モード・ワイラー)、ルイック、クロエ(ファニー・ヴァレット)、ギョームのフランス人男女5人。予定していたルートが通行止めとなっており、経験豊かなフレッドの先導によりロッククライミングで進むことに。高所恐怖症のルイックがビビる以外には快調に進む5人だったが、途中で吊り橋のケーブルが切れる事故が発生し、後戻りできなくなる。それでもなんとか先へ進もうとするが……。

感想

吊り橋のケーブルが切れて橋が傾き、足場がなくなるシーンは、なかなかの迫力である。軋むケーブルにフォーカスするのはテンプレ描写だし、ケーブルが切れてしまった後は迫力重視になるものの、橋が傾きはじめるところが怖くて良い。ルイックが転落しそうになるシーンもそこそこに緊迫感があって、本格的な山岳スリラーを予感させるが、そこから先でジャンル変更。『ゲット・デュークト!』や『クライムダウン』でもそうだったが、山には必ずハンターがいるものなのだろうか。山岳スリラー路線でも面白い映画になりそうだったが、山を舐めた者はハンターに襲われなければならないルールでも存在するのだろうか。山に入る者は皆覚悟しておくように。

ルイックとクロエはカップルである。しかし、ギョームはクロエの元カレで、隙あらばと彼女を狙っている節がある。ルイックはこれに嫉妬していて、この三角関係が終盤に活きてくる。ハンターの小屋を発見した三人。そこでフレッドの死体を見つけ、ショックを受けたクロエが抱きつくのはギョームの方。マイルドな精神的寝取られである。高所恐怖症のルイックは登山中に何度も情けない姿を披露しており、危機的状況下で女が本能的に“強いオス”に惹かれてしまうことが分かる。ここでワナワナしているだけで何もできないルイックが笑えた。

ギョームが発煙筒を探して地下室に入るのだが、ここで寝取られ(未遂)男のルイックが裏切る。ギョームを地下室に閉じ込め、クロエと二人で逃げようとするものの、ハンターが帰宅してご対面。すると、なんとルイックが一人で逃げる。寝取られ男だから気の毒に思って同情してたのに、クソ野郎かよ!隙を狙うギョームの方がクソ野郎な間男だと思っていたのに。その後、ルイックはクロエの窮地に駆け付けて面目を保とうとしていたが、無事に帰れたとしても絶対にフラれるだろう。あの“逃走”は酷い。

もっとも、この三角関係は男が二人とも死亡することで終了し、最後はクロエとハンターの一騎打ちとなる。二人を殺されてキレたクロエの覚醒ぶりがなかなかの迫力だった。特にハンターの睾丸を握る攻撃には、思わず「ギャァアアア!!!」である。クロエの方に感情移入するはずのシーンなのに、ここだけはハンター目線になってしまう。やはり三十郎氏は男なのだ。

クロエの谷間がなかなかの迫力だった。眼福である。あれは元カレがワンチャン狙いたくなるのも無理はない。しかし、雨に振られて凍えそうになっている場面が見られたため、もう少し登山を意識した服装の方がよかったのではないかと思う(途中からパーカーを着ていたが非防水)。ハンターの目的は最後まで不明だったものの、5才で誘拐されたとのことだったので、“そういう目的”で女性を囚えることは理解していないのか(だからカリーヌを射抜いて殺している)。なお、EDロール前に実話風のテロップが流れるが、バルカン半島の行方不明者を全て“狩られた”ように示唆するのは流石に無理があると思う。

デッドクリフ(字幕版)

デッドクリフ(字幕版)

  • 発売日: 2016/10/01
  • メディア: Prime Video