オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ボア』

Boar, 96min

監督:クリス・サン 出演:ネイサン・ジョーンズ、ビル・モーズリー

★★

概要

巨人vs巨大イノシシ。

短評

ネイサン・ジョーンズが巨大イノシシに肉弾戦を挑むオーストラリア映画。イノシシという題材自体が物珍しく、頭部だけが動くイノシシのアニマトロニクスのクオリティも割と高く(走るシーンはCGで使い分け)、何よりネイサン・ジョーンズが巨大イノシシに立ち向かう姿が笑えるのだが、映画全体としては退屈な印象を残した。イノシシで怖がらせるという核心部分が失敗していることと、ネイサン・ジョーンズが出てくるとコメディにしかならないのが敗因だと思う。

あらすじ

フェンスが破られたり、家畜が襲われる被害が発生しているオーストラリアの田舎町。酔っぱらい老人のジャックは巨大なイノシシの仕業だと主張するものの、誰も彼を信じない。町に住む弟バーニー(ネイサン・ジョーンズ)を訪ねてきたデビーたちの一家が農場で休暇を楽しんでいたところ、巨大イノシシの襲撃を受けてしまう。

感想

主人公一家が物語に絡んでくるまでが非常に長く、とても冗長に感じられる。テントでアレするカップルや地元の老人二人が殺られる展開で観客に怪物的巨大イノシシを紹介するのだが、存在感が圧倒的過ぎるネイサン・ジョーンズを含む“主人公”一家が関係ない話だと、「ここはまだ本編じゃない」と認識してしまう。老人コンビの内の一人の娘が連絡の取れなくなった父を探して一家の窮地に駆け付けるので必要な場面ではあるものの、もう少し手短に済ませるべきだった。

つまらない前置きの中でもイノシシの牙が頭に貫通している描写だけは好きだったが、その瞬間が省略されているのは技術不足が原因か。全体的にグロ描写には気合が入っていた。

長い紹介を済ませて、ようやく本編へ。バーニーが運転中の車にイノシシが突進してくる唐突な登場である。イノシシはこうして一度登場しておいて、再び姿を消してしまう。その後、イノシシ視点で「来るぞ……来るぞ……」をやるのだが、順番が逆ではないだろうか。一度姿を現したなら、そのまま戦えよ。小型怪獣ならともかく、“巨大さ”を売りにしているイノシシなのだから。逃げ回る必要なんてないだろうに。

さて、最大の見せ場のネイサン・ジョーンズvs巨大イノシシ。バーニーはナイフを武器に立ち向かって試合を五分に進めるも、ナイフを失い、腹を刺されて窮地に陥る。しかし、不屈の闘志で“己の拳”を武器に再度立ち向かっていくのだが、流石の巨人も巨大野生動物の前には無力である。この“ポカポカ”やっている姿が巨体に似合わぬ滑稽さで、なんとも愛らしかった。最後に“踏みつけ”を食らうシーンなんかはプロレス感があって、大いに笑わせてもらった。

なお、人間とイノシシが接触するシーンではアニマトロニクスが使用されているのだが、これが首から先しか動かない。頭だけを映しているシーンは非常にリアルかつ禍々しい仕上がりになっているものの、一度胴体を映すと“直立不動”感が凄い。イノシシがあまり動けないため、バーニーが吹っ飛ばされるシーンも“自分から吹っ飛んでいる”ようにしか見えず、撮影技術と演技力の両方に限界を感じた。

最後は父を探しに来たサーシャが(都合の良すぎるタイミングで登場して)車でイノシシに突進し、弱った所をライフルで仕留める。死んだかと思われた二人の生存が判明してハッピーエンドになっているのだが、サーシャは父の死体を確認したわけでもないのにそれでよいのか。

ボア(字幕版)

ボア(字幕版)

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