オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『デイブは宇宙船』

Meet Dave, 90min

監督:ブライアン・ロビンス 出演:エディ・マーフィーエリザベス・バンクス

★★

概要

小人エイリアンが人型宇宙船で地球に来る話。

短評

エディ・マーフィー主演のコメディ映画。宇宙船が“人型”であることを活かしたぎこちない動きや異文化間のミスコミュニケーションをパロったようなギャグは愉快だったが、ほとんど出オチの一作だった。序盤の勢いだけで90分凌ぐこともできず、お決まりの流れになる中盤以降は、「なんだかんだで面白かった」と思えない程度には退屈した。設定自体は良かったと思うので、エディ・マーフィーケヴィン・ハートらの個人技以外に何かもうひと工夫欲しかった印象である。

あらすじ

自由の女神像の前に白いスーツを着た黒人男性(エディ・マーフィー)が墜落する。彼の正体は惑星ニルから飛来した宇宙船で、その内部にはNo.1(エディ・マーフィー)率いる大量の宇宙人が乗船していた。彼らは三ヶ月前に地球に墜落したオーブ──地球の海水を全て吸い上げ、母星のエネルギー問題を解決する物体を回収するために来紐したのである。しかし、ジーナ(エリザベス・バンクス)、ジョシュの地球人母子と交流することで地球の文化に理解を示すようになり……。

感想

序盤はとっても面白い。白いスーツ姿の黒人男性(それもエディ・マーフィー)が自由の女神像の前に顔から突っ込んで墜落する。この絵面だけでほとんど勝利を確信できる程度には笑える(確信は間違いだったわけだが)。その墜落痕から“顔型”を採取して指名手配するというネタも最高である。

地球人と接触した際には、「とりあえず真似しておけ」という方針が採用される。投げ掛けられた言葉をオウム返しし、握手を求められると同じ側の手を差し出す(結果的に両手でクロスして握手)。この宇宙人ほど極端でなくとも、海外旅行中に「よく分からないけど周りに合わせておこう」をやるのは自然な発想だと思う。意味を理解せずに真似することが滑稽となりうるのは、逆の立場で考えればよく分かる。“最もよくある名前”として「ミン・チャン」を選んだりする、中途半端な知識が笑いを誘うネタも良かった。

人型宇宙船の操縦は非常に難しいらしい。水を飲むだけでもひと苦労。白いスーツは“アイスクリーム屋”に見えるらしく別の服を買おうにも試着がままならない。これらの動作ネタはエディ・マーフィーの個人技が光っていた。

上述の要素は非常に楽しかったのだが、問題はそれら全てが序盤に使い切られていることである。その後は「現地人との交流により地球文明を認めてハッピーエンド」という予想通りの流れで、起承転結の「転」でNo.3(エド・ヘルムズ)がクーデターを起こすところまで含めてお決まりの展開である。コメディ映画に複雑な物語性なんて期待していないので笑えればそれで構わないのだが、序盤のネタが楽しかった分だけ残りは“劣化”しているだけのように感じられる。

未知との遭遇”的な設定に起因するネタを分散させるわけにもいかないので、どうしても後半が弱くなってしまうのは理解できるが、本作は尻すぼみ感が顕著だった。たとえばクーデター後にNo.1とNo.3が宇宙船外に放り出される展開(加えてケヴィン・ハート演じるNo.17が個人的に脱出)をもう少し活かすことができれば、映画にアクセントを加えることができたのではないだろうか。

ニル星人たちは「野蛮な巨人」と罵る地球人の文化に影響を受ける。ある者はおネエ化してダンスを習得し、ある者はアートに目覚め、ある者は巨乳好きになる。おっぱいは文化だ。

Meet Dave (字幕版)

Meet Dave (字幕版)

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