オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『レザボア・ヴァンパイア』

Vampire Anonymous, 88min

監督:マイケル・ケラー 出演:ポール・ポポウィッチ、マイケル・マドセン

★★

概要

12のステップで吸血依存症からの脱出を図る話し。

短評

設定だけが魅力的なヴァンパイア・コメディ。ただし、それだけである。出だしはそれなりに面白いし、ヒロインも美人。しかし、アスペクト比4:3の家庭用ビデオカメラで撮影したような映像の一作に多くを望むのは無理があった。竜頭蛇尾というほどには頭が竜ではないし、尻尾は蛇より細いものの、強烈な尻すぼみ感のある一作だった。ヴァンパイアが人間の吸血をやめるための互助会が存在するという冒頭のシーンがピークである。ちなみに、「レザボア」要素はマイケル・マドセンだが、そもそも「レザボア」の意味するところがイマイチ分からない。

あらすじ

普通の人間としての生活に憧れる吸血鬼のヴィックだが、我慢できずに恋人を食べてしまう。困った彼が頼ったのが、表向きはペット愛好家の会として活動している吸血鬼のグループセラピー“ヴァンパイア治療協会(Vampire Anonymous)”。適合検査を受け、羊の血で代替するリハビリのために田舎町に引っ越したヴィックは、地元のマギー(ニコール・フォレスター)に惹かれるようになるが、吸血鬼暗殺会社からの刺客タフタ(ミシェル・スタッフォード)の影が迫っていた。

感想

ヴァンパイアをやめるための12のステップは以下の通り。

  1. Admit that you have a problem.(問題を認める)
  2. Take the Test.(適合検査を受ける)
  3. Deal with the sun.(太陽光に対処する)
  4. Dig into your blood substitute.(代替血液を吸う)
  5. Develop an extensive vocabulary of animal calls.(動物を呼び寄せる)
  6. Avoid problem situations.(厄介な状況を避ける)
  7. Apologize to those you've maimed, killed or debaucherized.(殺した相手に感謝する)
  8. No Necking.(イチャイチャしない)
  9. Develop a keen sleight of hand.(手先を器用にする)
  10. Beware, the Sheep Shagger.(羊を犯す奴に注意)
  11. Eliminate Temptation.(誘惑を断つ)
  12. Smile, your're a winner!(勝者よ、笑え!)

このステップが徐々に汎用性を失っていくことからも分かるように、「ステップからストーリーを作る」のではなく、ストーリーに合わせて無理やりステップを作っている(そのストーリーも特に面白いわけではない)。本来やるべきことの逆をやっている。つまり、ヴァンパイアの吸血衝動をアルコールや薬物の依存症になぞらえているのが面白い話のはずなのに、それが全く活かされない。本作の成功はアイディアが全てであり、失敗は話の作り方が全てと言える。それ以外にも超低予算映画らしいダメな部分はあるが、設定の魅力を考慮すれば、ストーリーの組み立て方次第でもっと面白くなったはず。

羊泥棒として疑われないようにレストランでバイトして地元に順応しようとするヴィック。“田舎の白人”を絵に描いたような客が彼のサッカーのワッペンを貶すのだが、「短パンがホモっぽい」という理屈らしい。最近は少し長くなって“半ズボン”という感じになったが、確かに昔は“短パン”だった。もしかしてアメリカ市場を狙うために長くしたなんて事情があったりするのだろうか。この理屈だと、マラソンなんかもホモのスポーツということになるのかな。

ヒロインのマギーが美人で、刺客のタフタがセクシーだった。タフタとのお化け屋敷での決闘がシチュエーション的には面白かったものの、こちらも映画全体と同じく魅力を活かしきれていない“ショボい”仕上がりだったように思う。コメディの割には笑えるシーンの少ない一作なのだが、ヴィックが猫のように羊の毛玉を吐き出すシーンは好きだった。

レザボア・ヴァンパイア (字幕版)

レザボア・ヴァンパイア (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video