オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『オキュペーション -侵略-』

Occupation, 119min

監督:ルーク・スパーク 出演: ダン・ユーイング、テムエラ・モリソン

★★

概要

オーストラリアの田舎町がエイリアンに占領される話。

短評

オーストラリア製のSF映画。序盤の侵略シーンは上出来だったものの(ここで力尽きた感すらある)、そこから先がさっぱりだった。この手の作品としては2時間の長尺なのだが、まるで着地点未定のドラマシリーズで間を持たせるために挿入するようなエピソードが数多く見られ、本編の掘り下げがショボいというバランスの悪さとなっている。エイリアンのビジュアルと能力もショボく、「こんな雑魚に占領されるなよ」という冷めた気持ちが最後までつきまとった。また、エイリアンの弱さが話自体に無理を生じさせていたようにも思う。

あらすじ

舞台はオーストラリアの田舎町。オーストラリアン・フットボールラグビーのようだが別競技らしい)の試合中に突如として宇宙船が襲来し、人々を襲いはじめる。フットボーラーのマットは、恋人アメリアや観光客のピーター&ベラ(イジー・スティーヴンス)父娘たちと命からがら逃げ延び、エイリアンへ反撃を開始する。

感想

冒頭こそ圧倒的火力で人類を蹂躙するエイリアンだが、隠れ家にいたマットたちを襲って返り討ちに遭う。マットがエイリアンのヘルメットを被ってみた所(ヘルメットを外すとショボい着ぐるみの“グレイが”が出てくる)、「こいつらは人類を認識できないらしいぞ」と分かって立場が一転。人間が反転攻勢に出て、そのまま八ヶ月が経過している。なんらかの特殊な事情がない限り、外部との接触を完全に断ってよいのはせいぜい数日までである。「田舎なので襲撃が最後の方に回された」といった理由があるわけでもないのに、自分たちだけ何とかしようして家族が奴隷状態を強いられているのを看過するなんて阿呆である。

後で登場する豪陸軍がこれまた圧倒的な火力でエイリアンを蹂躙するのだが、彼らは八ヶ月も何をしていたのか。「シドニーも侵略されて大変なことになっている」という説明が入りはするものの、エイリアンがこれだけ弱いと説得力がない。マットたちもマットたちである。コミュニティの王様気取りは気分が良いかもしれないが、八ヶ月もあれば外部とコンタクトを取って状況把握できただろうに。だいたいオーストラリアの民間人が十分に抵抗できて、オーストラリア軍が蹂躙できる戦力の敵ならば、八ヶ月もあれば米軍が世界中に出しゃばって殲滅しているだろう。本作の主人公を“人類の救世主”にするのは無理がある。「ここがダメなら他もダメ」という傲慢な発想が許されるのは、世界の盟主アメリカ様だけなのである。

マットと一緒に逃げるメンバーが、彼を含めて10人もいる。これはどう考えても多すぎる。そんなに主要人物を増やしてもエピソードを消化しきれるはずがなく、ヴァネッサ(リアノン・フィッシュ)の妊娠・出産のようにストーリー上必要のないシーンだけを無駄に重ねることになる。その上、彼らがレジスタンスのコミュニティを築いた後も創設メンバー以外には台詞も喋らせないという歪な構図を生み出している。ショボい主人公をなんとか持ち上げようとして、ここでも無理が生じている。

他にも人類の命運を握る生物兵器の容器だったりと色々とショボい点が多い本作の中で最も気に入らなかったのは、「エイリアンにも事情があるのよね」とアメリアが和解を申し出る展開。彼女は“主人公の恋人という理由だけで特権的に振る舞う”タイプの海外ドラマにありがちなクソ女キャラなのだが、お前に何の権限があって勝手に“外交”をしているのか。それはともかく、「侵略者にも事情があるので仲良くしましょう」という話を、同じく侵略者であるオーストラリア人が描くのは、たちの悪いギャグである。しかも、その指摘を回避するためなのかアメリアをアジア系女性が演じている。この言い訳がましさである。どうせやるならアボリジニに同じ台詞を言わせてみろよ。

ちなみに、続編『Occupation: Rainfall』が今年の12月にオーストラリアで公開予定なのだとか。

オキュペーション -侵略-(字幕版)

オキュペーション -侵略-(字幕版)

  • 発売日: 2018/10/19
  • メディア: Prime Video