オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『レイク・モンスター 超巨大UMA出現!』

Legendary, 92min

監督:エリック・スタイルズ 出演:スコット・アドキンズ、ドルフ・ラングレン

★★

概要

生物学者が中国に巨大生物を捕まえに行く話。

短評

ドルフ・ラングレンが主演じゃないトカゲ映画(ちゃんと出てくるので「ドルフ・ラングレン詐欺」とまでは言わない)。巨大生物系のパニック映画というよりも冒険映画の趣が強い一作である。舞台や登場人物からも中国資本が入っていると思われ、それなりの予算を確保できたためなのか、CGのクオリティは意外にも高い。しかし、それ以外にクオリティの高い部分はなく、特に正義漢を気取る主人公のキャラクターの酷さは失笑ものだった。

あらすじ

ロシアで巨大ヒグマを調査中に、メンバーに犠牲者を出してしまった生物学者のトラヴィス。ロンドンに引っ込んで訴訟に追われる彼の元に一件の依頼が舞い込む。それは中国の水道会社からのもので、未知の巨大生物が出現して作業員を襲っているのだと言う。

感想

「生け捕り」を信条としている生物学者のトラヴィス。彼は「狩り」を信条とするハーカー(ドルフ・ラングレン)を「栄誉を求めているだけ」と非難するが、トカゲに襲われて困っている地元民からすれば、生け捕りだろうが射殺だろうがどちらでもよいだろう。トラヴィスはトラヴィスで生物学界隈での“栄誉を求めているだけ”である。トラヴィスは生け捕りのためとあらば人命軽視が甚だしく、映画冒頭のヒグマ戦では「撃つな!」とハーカーとヒグマの間に割って入り、結果として部下のスコットを死なせている。三十郎氏に言わせれば、本作の悪役はハーカーではなくトラヴィスの方なのだ。

弁護士ダグに「訴訟費用を払えるぞ」と丸め込まれて中国に出向いたトラヴィスと無報酬で怪獣退治にやって来たハーカー。犠牲者の兄は「ハーカーは金を払うと言ってきた。君の方が信用できそう」とトラヴィスに協力を申し出る。「金持ち=悪人」という貧者の僻みに囚われすぎである。実はトラヴィスの方が金のために来ているのだから、どちらがより真摯に怪物退治に取り組み、相手を尊重しているのかは明白である。

現地に到着してハーカーを発見したトラヴィスは、「あいつがいるなんて聞いてない!帰る!」「あいつの拠点の方が有利じゃん!(プンプン」と駄々をこねる。その一方で、不利なはずの自分の拠点に二度も出現したトカゲをみすみす見逃しており、「迎え撃ってやるぜ!」と一応は戦う気の見られるハーカーよりも無策である。挑発に乗って殴りかかったトラヴィスに対してハーカーは応戦しておらず、人間的に余裕がなく、ライバルを過剰に意識しているのがトラヴィスの方であることが分かる。

そんなダメダメ主人公トラヴィスの秘策が、ハーカー側の地元民ザンを「今度飲みに行こう」とナンパして懐柔し、ハーカーの集めた資料を盗み出すというもの。もはやどちらが悪役なのか分からない。ここでハーカーに発見されて捕まると、不必要な爆発を起こして脱出しており、改めて彼の人命軽視の姿勢が鮮明になるのだった。ダグから「人命軽視だ」と指摘された時には、「このチームなら大丈夫!生け捕りにできる!」と根拠不明の論点逸らしという胡散臭いインフルエンサーみたいなテクニックを披露している。正義の主人公のはずなのに、とにかく嫌悪感が凄い。

それでも最終的には巨大トカゲを生け捕りにするトラヴィス。幼獣に対して使った「口内に麻酔銃を撃ち込む」という手法は理解できるのだが、成獣に対する謎機械は何だったのだろう。水中で使った時にはトカゲを追い払う音を発していて、捕まえたいはずなのに「よしっ!成功だ!」ということになっている。同じ機械を陸上で使うと、何故かトカゲが眠る。どういう理屈だったの?

ラヴィスは主人公補正のご都合主義展開がなければ無能極まるエゴイストだが、彼が酷すぎて悪役なのに幾分マシに思えるハーカーの方も無能である。もっともこちらはキャラクターそのものよりも演出に問題がある。彼はとりあえず“撃つ”のだが、撃った先が全く描かれないため、的を外したのか攻撃が効いていないのかが分からない。どうしてこの描写をサボったのか。