オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『キングコブラ』

King Cobra, 93min

監督:デヴィッド&スコット・ヒレンブランド 出演:パット・モリタ、スコット・ブランドン

★★

概要

巨大ヘビに襲われる話。

短評

2016年に同タイトルのゲイ映画が製作されているようだが、本作は1999年のヘビ映画である。CGに頼らないヘビの質感はいかにもな樹脂製のチャチなものだが、胸の部分が左右に膨らむ機構があったりして、意外によく出来たアニマトロニクスだったと思う。しかし、ヘビ視点での恐怖演出の後に全体像を見せる『ジョーズ』方式をやった後に再びヘビ視点に戻るのは、パニック映画としての盛り上がりを自ら削ぐ行為だったように思う。また、「登場人物がバカ過ぎる」の典型例も見られ、観客の気持ちを冷やす要素には事欠かなかった。なお、本国ではパッケージ版リリース時に『Anaconda 2』というタイトル詐欺が行われている。

あらすじ

とある研究所でバーンズ博士が“生物の攻撃性を高める”研究を行っていた。しかし、ヤク中の助手が暴走して施設は爆発し、巨大かつ凶暴な毒ヘビ“セス”が脱走してしまう。それから二年後、地ビール祭りが行われている町にセスが出現し、人々を襲いはじめる。

感想

町の女保安官ジョー、「町から出たい」と彼女と別れる予定の医者ブラッド、爆発事故で豪快に吹っ飛んでも元気に生きているバーンズ博士、そして爬虫類学者のニック・ハシモトの四人が事態の収拾に当たる。なお、ブラッドを演じるスコット・ブランドンは監督のスコット・ヒレンブランドの別名義であり、色々とお察しである。

一人目の死体発見現場に巨大な牙と抜け殻が残されており、「これはヤバいですよ」と町長に相談。ところが町長は「ビール祭りは中止できん」の一点張り。これは定番の流れで、当然にビール祭りが大混乱に陥ると予想されるのだが、本作は予算の都合のなのかヘビがビール祭りを襲撃しない。最大の見せ場を自ら潰す形である。スコットの父パットがヘビに殺され、町長が「正直すまんかった。祭りはやめるわ」と翻意する。そこは強行しろよ。パニック映画なんだから。

祭りが中止され、上述の四人組がハシモトの指揮下でヘビの捕獲計画を進める一方で、地元民たちがヘビ狩りに繰り出す。敵は“巨大”ヘビなので、的がデカいはずなのだが、これが一向に仕留められない。ヘビが「シャァアアア」と威嚇しているのも自ら撃たれるのを待っているようにしか思えないのに、へなちょこハンターがビビってしまい、的を外すでもなく撃つことすらなく逃亡するのであった。こいつらが少しでもまともなら、主人公チームがいなくても勝てていた。

ハンターチームがダメだったので四人組の出番。「私は167回もヘビに噛まれた経験があり、月に2回はヘビ毒を注射している。歩く抗毒血清だ」と自信満々のハシモトは捕獲に拘っており、銃の使用を厳しく戒める。彼らにもヘビ射殺のチャンスが訪れ、バーンズ博士が撃ち殺そうとするのだが、ハシモトの妨害により失敗。ハシモトが自らの功績に固執しなければ、バーンズ博士がヘビを仕留められただろう。その後、ハシモトが一人でヘビに立ち向かって何度も噛まれるというカラテ魂溢れる展開が見られるが、「お前が邪魔しなきゃなあ……」という気がして、自作自演の見せ場にしか思えないのであった。

ヘビの描写について。“尻尾だけを見せる”という序盤の演出は質感が安っぽすぎて完全にダメなのだが、頭の部分が出てくると、思ったよりも動けて感心した。普通は逆だろうに。襲撃シーンを影で描くのも良かったので構成を工夫すれば少しはマシな映画になったのではないかと思うが、肝心の“襲撃の瞬間”が全く描けていないので、やはり予算と技術的な限界があったか。

ハシモトの研究室で女性研究員がヘビ毒を採取するシーンで女性がヘビを手で動かしているのがバレバレだったり、“かくれんぼプレイ”を楽しむカップルが襲われたりと(女が異変に気付いても男が「大丈夫、大丈夫」と事を進めたがるのがリアル)、B級映画らしいダメなところを楽しめるシーンもあった。ヘビに襲われそうなジョーをブラッドがドロップキックで助けるシーンは、映画の出来がもう少し良ければ爆笑できていただろう(気持ちが完全に冷めていたので「フフッ」程度だった)。他には、ヘビにタイヤをパンクさせられた車が、地面が陥没したかのような角度で傾くのも笑えた。

キングコブラ (King Cobra)

キングコブラ (King Cobra)

  • メディア: Prime Video