オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『コンジアム』

곤지암, 94min

監督:チョン・ボムシク 出演:ウィ・ハジュン、イ・スンウク

★★★

概要

CNNが「世界七大禁断の地」に選んだ廃精神病院から生配信する話。

短評

韓国製のファウンド・フッテージ・ホラー。もう9月に入ってしまったが、とっても夏休みっぽい映画だった。これがホラー映画に対する褒め言葉となるのかはともかくとして、ストーリーもショッカー・シークエンスもベタ中のベタであり、安心して怖がったり驚いたりすることができる。もっともそれほど怖いわけではないのだが、舞台となるコンジアム精神病院は実在するとのことであり、そのビジュアルと存在感は唯一無二だった。

あらすじ

旧日本軍が埋めた死体を隠すために建設された。表向きは病院だったが実は拷問施設だった。院長が患者を殺して首を吊った──といった様々な噂が囁かれる昆池岩(コンジアム)精神病院こと南霊(ナミョン)神経精神科病院。肝試しに入った高校生が失踪し、ネット配信番組「ホラータイムズ」のメンバーがやらせでないかの調査に向かう。100万アクセスを目指す生配信の撮影は快調に進むが……。

感想

美男美女揃いである。女性メンバーは、ボーイッシュなジヒョン(パク・ジヒョン)、アメリカかぶれのお色気担当シャーロット(ムン・イェウォン)、地味系美女のアヨン(オ・アヨン)の三人。いずれもタイプの違う美人である(三十郎氏の一推しはアヨン)。そんな美女3人と韓流イケメン男子たちが、撮影前にキャッキャと飲み会したりマリンスポーツで盛り上がったりしていて、「なんだこの合コンは……」と三十郎氏は嫉妬に駆られるわけである。

「これはホラー映画だから、リア充たちがさぞかし大変に思いをするに違いないぞ(してくれ)」と三十郎氏は当然に期待するわけだが、その期待に十分に応えてくれる一作だったかと思う。リア充爆発しろ──最近のネット空間にはこの精神が欠けていて居心地が悪い。

序盤はリア充がワーキャー騒いでいるだけで、舞台の怖さの割に全く怖くないのだが、これは怖がらなくて正解。心霊現象の起こるタイミングが早すぎるし、院内で見つけた写真に写っているものと同じ人形は新品である。これはどう見てもやらせであり、実際にその通り。「ここから先に起こることはガチですよ」と観客に教えるためのベタな演出ではあるが、「怖がっちゃったのにやらせだったら恥ずかしい」という無用な羞恥心を取り除く効果があった。本当の心霊現象が病院ではなくテントから始まるのも、「ここから先が本番です」と親切にアピールしている感がある。

ガチになってからもリア充がワーキャー騒いでいるだけではあるのだが、背筋にゾワっと来た演出があった。ジヒョンとシャーロットが「もう帰る!」と逃げ出し、帰り道の目印である白パンツを発見するが、堂々巡りになって道に迷ってしまう。ジヒョンが“グレイ化”するというベタ過ぎてギャグでしかない演出を経て、シャーロットが拠点のテントに辿り着くと……というもの。院長室、実験室、浴室、集団治療室といったいかにもヤバそうなスポットがありながら、最大の謎となっている402号室の上手い使い方だった。折角怖かったのに、もう一度グレイが出てくるのはガッカリだったが。

何と言っても廃病院である。剥がれ落ちた壁の無数の落書き、穴の空いた天井、散乱するゴミ。床に張り付いたカルテの気味の悪さである。そして、特に不気味なのは、終盤に登場する「水」である。Jホラー等でも水が印象的に使われていることが多いように思うが、人は何故水に対して恐怖を抱くのだろうか。それが生命の根源であるために、否応なく“何か”の存在を感じさせてしまうのか。

一昔前のPOVと言えば、手ブレが酷くて見づらく、視点も一つだけという制限があったものだが、時代の流れと共にその弱点にも変化が見られる。廃病院に突入する撮影隊は、6人全員が自分の顔と視線を撮影できる2つのアクションカメラを装備している。加えて、メインカメラと固定の監視カメラまである。Youtuberの登場によって映像制作の道が万人に開かれたわけだが、その需要に応えるべく開発された撮影ギアが、POVという、ある意味では見づらさが売りだった低予算ジャンルの高品質化に一役買っている。RICOHの全天球カメラTHETAも使用していて、360°映像を平面展開した時の歪みも不気味で良かった。

EDロール後に追加映像があるので「映ってはいけないものが……」かと思ったら、亡くなったと思しきスタッフへの追悼で拍子抜けした。

コンジアム(字幕版)

コンジアム(字幕版)

  • メディア: Prime Video