オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ラスト・オブ・ザ・デッド』

Last Ones Out, 76min

監督:ハワード・ファビー 出演:グレッグ・クリーク、クリスティア・ヴィサー

★★

概要

アフリカ南部でゾンビが発生する話。

短評

南アフリカ製のゾンビ映画。クズな主人公が途中で改心するタイプのロード・ムービーなのだが、彼には大人しく死んでほしかった。ゾンビのビジュアルはコンタクトで瞳を小さくしているだけのシンプルなものではあるが、動物的な動きは悪くない。しかし、質、量ともに圧倒的に不足しており、いかんせん地味だという印象が否めない。ゾンビ映画らしい楽しさが欠如しているために、人物描写の粗も目についた。死角だらけのスラムというロケーションは良かったので、そこはもう少し活かしてほしかった。

あらすじ

アフリカ南部の病院で虫垂炎の手術を控えているアメリカ人のヘンリー。麻酔で眠っていた彼が目覚めると、病室の電気が消えており、呼びかけに誰も応えない。未知にウィルスに侵された人々が凶暴化し、病院は壊滅状態となっていたのである。彼は医師のサネット(クリスティア・ヴィサー)に助けられ、シスコやヴィンセントと共に病院から脱出し、婚約者ローリン(セレ・デュ・プレシス)の元を目指すが……。

感想

ヘンリーがクズである。彼は衛星電話でローリンと連絡を取り、彼女と合流すれば護送車に乗って空港に行けそうだと判明する。しかし、護送車に乗れる人数は限られており、なんとか合流しても助かるのはヘンリーだけという状況。彼はその事実を隠して「護送車と合流できれば皆助かるよ」と、息子アヤンダの救出に行きたいシスコを説き伏せる。なんて自己中なアメリカ人!

道中でヘンリーのウソがバレてしまうのだが、シスコたちは「護送車のところまで連れて行くから水と食料をくれ」と一緒に旅を続けてくれる。なんという人格者!三十郎氏ならヘンリーを置き去りにし、息子の元を目指して方向転換する。

ゾンビとの戦いで負傷したシスコが命を落とすも、なんとか護送車に辿り着いたヘンリー。ここで唐突に心変わりし、「あなたを待てない」と言いながらも助けに来てくれた婚約者に対して恩を仇で返す。彼女にとっても救助隊にとってもいい迷惑である。「君たちを置いていけない」「なにしてるんだ、行くぞ」と急に仕切りだすヘンリーだが、手にしているのは発煙筒とGPSで、当初の約束だった水と食料はどこにもない。阿呆である。三十郎氏としては、ヘンリーの乗った護送車がゾンビに襲われて全滅し、サネットたちがアヤンダを救う話にしてほしかった。

なんとかアヤンダを救出し(スラムから逃走する時に白人二人の足が遅くて、人種間の身体能力差が如実に表れていた)、難民キャンプ(廃墟)に辿り着いたヘンリー御一行。彼は電話一つで救助ヘリを呼び出すのだが、ここでできるのなら最初の病院でもできたのでは……。最後はやたらとヒロイックな行動に出るヘンリーだったが、「死ぬなら一緒よ」とばかりにサネットが無駄死し、あらゆる心変わりが唐突という印象を決定づけるのであった。

病院で手術を受けられず、脱出後に腹痛に襲われるヘンリー。彼をビリヤード台に乗せ、酒で消毒し、その酒瓶を割った破片で即席手術が敢行される。なんてワイルドな……。そして、術後に安静にするでもなくヘンリーは元気に走り回っている。彼がタフなのか。それともサネット超優秀なのか。

「タバコはあるけど火がない」というシーンがある。「お前らは木が二本あれば火起こしができると思ってた」と言うヘンリーに対して、シスコが「アメリカ人め」と返す。しかし、その後のシーンで特に説明もなく焚き火をしている。やはり彼らは火起こしができたのか。焚き火の向こうからぬらっと現れるゾンビが怖くて良かった。暗闇と黒人は相性が良い。