オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『悪魔のホロコースト』

Le deportate della sezione speciale SS(Deported Women of the SS Special Section), 66min

監督:リノ・ディ・シルヴェストロ 出演:リナ・ポリトー、ジョン・スタイナー

概要

ナチスの収容所に運ばれた女囚たちの話。

短評

女囚映画というエクスプロイテーション映画のはずなのだが、なんと本作の売りであるはずのエログロがほぼ全カットである。フルバージョンが98分なのに対してプライムビデオの配信版が66分と、実に驚愕の三分の一がカットされている。これで面白いはずがない。映画がつまらないというよりも、そもそも「この映画を観た」とは言えないレベルである。天ぷらの衣だけを食べて天ぷらの味を評価する者はいないだろう(本作の場合は海老天の尻尾だけかもしれない)。「評価不能」の項目を作ろうかとも思ったが、これほど極端でなくとも似たような日本独自カットに気付かない例もあるため、Amazonへの抗議と同好の士への啓発、そして自戒の意味を込めて一つ星とした。

あらすじ

ナチスの収容に移送されてきた女囚たち。ある者は頭を剃られ、ある者は陰部の検査を受け、労働者や従軍慰安婦へと割り振られていく。女囚の一人タニア(リナ・ポリトー)は所長のエルナーと面識があり、彼に求愛されるのだが……。

感想

女看守が「服を脱いで全裸になれ」と命じ、女囚たちが脱ぎだしたところで唐突に次のシーンへと移った時点で察したが、これはあまりにも酷すぎる。年齢制限に引っ掛かる描写だけをカットすることはよくあるが、本作の場合はストーリーすらも理解できないレベルとなっている。Amazonの紹介文に記されている「剃毛、陰部検査、公開SEX、レズビアン」の描写が、それぞれ“メロン味食品のメロン要素”程度に出てきて「嘘はついてませんよ」とアピールするが、欲求不満になるだけである。

所長エルナーは収監前からタニアを想うストーカー野郎であり、彼女を「母上同様に美しい」と讃えるマザコン野郎でもある。彼に体を求められたタニアが、ハンスト中に病室でゲットした剃刀をコルクに刺して陰部に仕込み、「あなたの好きにしていいのよ」と誘惑する展開は面白かった。しかし、挿入で「ギャーッ!!」となるシーンすらなく、「痛いよぉ」とシクシク泣くエルナーと股間から血を垂れ流して笑うタニアのショットへと切り替わる。これも本来ならば強烈な面白描写が見られたのだろうか。気になる……。

なお、陰部損傷したエルナーを嘲笑うタニアはベッドの手すりに抱きついておっぱいを隠している。また、彼女が銃を奪い、全裸のまま逃走してナチスの兵士と戦う時にも銃でおっぱいを隠している。意外にもエロ要素は少なかったりするのだろうか。それなら“消えた32分間”には何があるのか。やはり気になる……。

女囚たちは様々な「恥辱の体罰」を加えられているということになっているのだが、それらがほぼカットされているために、最後の復讐も全く盛り上がらない。レズ看守(?)のインガー(オフェリア・マイヤー)が仲間に加わったり、ナチ転向レズのトゥルーデ(Paola D'Egidio)が絞殺されたりと、ちゃんと全編を観ていれば印象の変わりそうな場面もあったのだが……。タニア以外のキャラクターは何のために出てきたのか分からないレベルの存在と化していた。

果たしてAmazonは何故このバージョンを配信したのだろう。責任者はどこか。これなら配信しない方がマシである。タイトルと紹介文だけを読めば面白そうに感じるのだから、三十郎氏のような阿呆が釣られることもあるだろう。反戦映画として騙すつもりだったのか。この手の映画を次に見つけた時は、上映時間がオリジナル版と著しく乖離していないか調べてから観るように注意したい。その時に評価も見えてしまって先入観を植え付けられるのは嫌なのだが。

悪魔のホロコースト

悪魔のホロコースト

  • メディア: Prime Video