オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ゲットハード/Get Hard』

Get Hard, 100min

監督:イータン・コーエン 出演:ウィル・フェレルケヴィン・ハート

★★★

概要

軟弱な白人が刑務所生活に備えて黒人に鍛えてもらう話。

短評

いつも通りにバカバカしくて楽しいウィル・フェレル主演のコメディ映画。“情けない白人”を演じさせれば彼の右に出る者はいない。ケヴィン・ハートとの様々な意味での凸凹コンビも魅力的だった。軟弱白人と屈強黒人のコンビが実はどちらも軟弱という設定は活かし切れていなかったが、十分に及第点を与えられる程度には笑えるだろう。なお、監督のイータン・コーエンはコーエン兄弟とは無関係である。

あらすじ

ヘッジファンドで華々しい活躍を見せるジェームズ・キング(ウィル・フェレル)。共同経営者への昇進が決まり、社長の娘アリッサ(アリソン・ブリー)との結婚を控え、“最上流階級”として順風満帆な人生を歩むジェームズだったが、詐欺と横領の容疑で逮捕されしまう。身に覚えのないジェームズは法廷で潔白を訴えるものの、司法取引を拒否したために凶悪犯用刑務所での10年の懲役が決まってしまう。収監まで30日。自身の尻の穴の危機に怯えるジェームズは、会社の地下駐車場で洗車業を営む黒人のダーネル(ケヴィン・ハート)を刑務所生活の“専門家”として雇い、彼に鍛えてもらうことにする。

感想

車の鍵を返すために声を掛けただけのダーネルを強盗と勘違いしてビビりたおすジェームズなので、黒人は皆刑務所生活に詳しかろうと思い込むが、実はダーネルには服役経験がない。しかし、ダーネルは娘のために治安の悪い地区から引っ越すための資金が必要なので、ジェームズの思い込みを利用して“ワル”を演じることにする。「軟弱な白人」と「屈強な黒人」というステレオタイプな組み合わせのはずが、実際には「軟弱な白人」と「軟弱な黒人」の組み合わせなのである。

長身で金持ちのジェームズと低身長で貧乏なダーネルの立場が逆転しているというビジュアル面に加えて、内実はどちらも刑務所生活を知らないままトレーニングするという構図の面白さである。しかし、犯罪に詳しくないダーネルが『ボーイズ’ン・ザ・フッド』のストーリーをそのまま流用したり、チノパンを履いていることをからかわれる描写はあるものの、彼の“黒人らしくなさ”はそれほど活かされていなかった。ガチ犯罪者の従兄弟ラッセルへの聞き込みを経て、役に立つのか立たないのか分からない“刑務所学校”の特訓が始まるのだが、このインチキ具合がもっと強調されてもよかったように思う。

その点を除けば、後はだいたい面白い。自宅に刑務所セットを設営して“狂犬の顔”やケンカを練習するも、ジェームズは一向に逞しくならない。それが「チンポへの恐怖が身を鍛える」という使用人の言葉の通りに才能を開花させ、“マヨ”としてギャングに馴染むまでに成長する。各ギャグについては、ウィル・フェレルの他作品が好きならば問題なく楽しめる。清々しいまでにベタな笑いを提供するバカ映画である。彼特有の“体はデカいのに弱々しい”というキャラクターがよく活きていた。投資の才能を活かしてギャングに馴染んでいるが、その“馴染んでなさ”も魅力である。黒人以外が黒人文化にかぶれた時の滑稽さがよく出ている。特に気に入ったのは、ケンカを売るために中指を突き立てる動作の圧倒的控えめ感。

黒人のステレオタイプを利用する前提自体がブラックジョークではあるのだが、上述の通り笑い自体はベタである。しかし、ジェームズから株式市場の“合法的に人の金を盗める”仕組みを教わったギャングたちが、「ウォールストリートこそ真の悪人」と言いつつも「人殺し大好き」と笑うシーンはかなりブラックだったと思う。

窮地に陥ったジェームズがカポイエラの才能を覚醒させるシーン。それまでに登場した映像が走馬灯的に彼の周りをグルグルと渦巻いている。ダーネルに「シャブる練習をしとけ」と言われてゲイとトイレに行って未遂に終わったシーンも出てくるのだが、当該シーンにはボカシが入っていたのに対し、ここでは無修正である。どういう基準なのか。

最後にアリッサからの誘惑を受けるも、「ケツが小さい」と断るジェームズ。彼は腰振りダンスが得意なギャングの黒人女ションダと恋仲になっており、白人女の尻では満足できないのであった。しかし、アリッサが序盤に見せる下着姿がかなりセクシーで、三十郎氏は不覚にも反応してしまった。彼女がゴルフの指導を受けている時のさり気ない谷間にも目が行く。ネオナチのおっぱいよりも魅力的だった。尻を強調するセクシーダンスはどうも下品でいけないと三十郎氏は思うわけだが、おっぱいジャンキーの下品な自分にこれを言う資格がないことは理解している。

ゲットハード/Get Hard(字幕版)

ゲットハード/Get Hard(字幕版)

  • 発売日: 2016/02/01
  • メディア: Prime Video