オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ゾンビシャーク 感染鮫』

Shark Island(Zombie Shark), 87min

監督:ミスティ・タリー 出演:キャシー・スティール、スローン・コー

★★

概要

ゾンビ化したサメが実験施設から脱走する話。

短評

サメとゾンビ。B級映画のニ大人気ジャンルの夢の合体である。これが面白くなるはずがない。期待に背くことのないショボさと退屈さだった。2015年の作品とは思えぬCGのクオリティ。あってないようなストーリー。観客をイラつかせる破綻した行動。肝心のサメとゾンビの活躍しなさ。(テレビ映画なのでおっぱいの出てこない)微妙なお色気要素。そしてなによりサメとゾンビの相乗効果のなさ。これはむしろ「こうでなくちゃ!」と喜んで然るべきだろう。

あらすじ

レッドプラム島へと週末旅行に訪れたジェンナー、アンバー(キャシー・スティール)、ソフィ(スローン・コー)、ブリジット(ベッキー・アンドリュース)の四人。かつて“シャーク・アイランド”と呼ばれたその島で、浜辺に打ち上げられたサメの死体が発見される。サメには大きな噛み傷があり、死んでいるかと思われたが、なんと動き出して人々を襲い出す。そのサメの正体は、軍事施設から脱走したゾンビシャーク(に噛まれてゾンビ化したゾンビシャーク)だったのだ。

感想

アンバーとソフィは姉妹である(ちなみに名字がスティールで、アンバーの役者のものを流用している辺りに「それすらも考えるつもりがない」という安直さが出ていて良い)。過去の出来事が原因で姉が過保護になっているのだが、ただウザいだけな上に、妹を助けようとする彼女の行動の無意味さが凄い。それでいて、姉の過去を紹介するパートと姉以上に過保護な両親のパートで尺を稼いでくる。「そんなのはどうでもいいんだ。サメを見せろ。ゾンビを見せろ」と文句を言いたくもなるが、この“観客の期待に応えないことをもって期待に応える”ことこそがサメ映画の標準仕様であると言ってもよい。それは決して褒められたものではないが、このジャンルを観る上で避けられぬ事実でもある。受け入れるしかない。ゾンビシャークが出てくる時点でタイトル詐欺ではないのだから。

サメのCGのショボさについてはお察しの通り。ペラペラな質感はもちろんのこと、フレームレートも足りていないようで、動きがぎこちなかった。後ろから見た泳ぐサメの姿はマグロである。ゾンビシャークの外見上のゾンビらしさは極めて弱く(ただ白目になるだけ)、「ゾンビシャーク」という蠱惑的な響きに恥じないゾンビシャークは出てこない。

また、人間を「食べる」というよりも「飲み込む」とでも形容すべき襲撃スタイルで、あまりに「噛み付き」要素が少ない。したがって、「人間にも感染する」と言われてもピンと来ないのだが、人間がゾンビ化する描写をもってゾンビ要素を表現している。「サメがゾンビ」という最大の売りを放棄をして、陸上で普通のゾンビが普通に人を襲う……のだが、その活躍はサメ以上に少ない。こうなると、ゾンビ要素が必要だったのかどうかすら分からなくなってくる。なお、人間のゾンビメイクもショボかった。

このショボいサメの描写を逆転の発想で活かした演出が見られた。サメに食べられた人間が胃の中でそのまま生きていて、“トーントーン方式”で取り出すことができる。取り出した人間がゾンビ化しているという設定は面白かったのだが、この方向性を強調すると、ゾンビでパニックを起こすために必要なサメの数に無理が出てくるのか。ゾンビ・ウィルスとサメのDNAを取り込んだゾンビシャーク・ヒューマンみたいな特殊ゾンビにでもなればよかったのに。

CGではない模型のサメが一部に使用されている。陸に打ち上げられた小さなサメの頭部が単独で動いている。これはとても愛嬌があって、三十郎氏もインテリアとして欲しくなった。

(特に必要ないのに)「私が気を引くから逃げて!」と言ったり、(屋内でサメに襲われることはないのに)「この島に安全な場所なんてない!」と言い出すアンバー。彼女の不毛でヒロイックな行動やガバガバ展開について、お色気枠のブリジットが観客の気持ちを代弁してくれている。ブロンドの巨乳だからってバカではないのである。曰く、「善人ぶりやがって」。また、彼女は「なぜ皆わざわざ海に近付くわけ?」と疑問を呈しており、制作者たちが本作のポンコツぶりに対して自覚的であることが窺える。なお、彼女もまた“わざわざ海に近付いて”死亡していた。ジェンナーが最初の犠牲者となるやいなや、「もうこんな島はイヤ!逃げるわよ!」とボートに乗っているブリジットだったが、切り替えが早いな。

ゾンビシャーク 感染鮫(字幕版)

ゾンビシャーク 感染鮫(字幕版)

  • 発売日: 2016/08/03
  • メディア: Prime Video