オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『イン・ザ・カット』

In the Cut, 119min

監督:ジェーン・カンピオン 出演:メグ・ライアンマーク・ラファロ

★★

概要

近所で起きた殺人事件の聞き込みに来た刑事と中年女教師が交わる話。

短評

ブコメの女王として90年代ハリウッドを謳歌したメグ・ライアンが脱いだことで話題となった一作。若手女優がキャリア初期に“とりあえず脱がされていた”場合には後年の活躍と併せてお宝的価値を得ることもあるエロサスというジャンルだが、彼女のように固定された”イメージからの脱却”を目指して出演した場合だと、どうしても“落ち目感”があって哀愁が漂う(おっぱいからも)。内省的な雰囲気を装ってはいるものの、スリラーとしての面白さに欠け、オチがこれ以上ないほどに酷いことを考えると、ただメグ・ライアンを脱がせただけの映画だと感じてしまうのも仕方がないと思う。

あらすじ

英語教師のフラニー(メグ・ライアン)が住んでいるアパートの裏庭でバラバラ死体が発見される。彼女は聞き込みに訪れた刑事のマロイ(マーク・ラファロ)と関係を持つものの、彼の手首にバーの奥で女に口淫させていた男と同じタトゥーがあることに気付く。被害女性が件の口淫女アンジェラ(Heather Litteer)だと知り、マイロが犯人なのではないかと疑うようになるが……。

感想

メグ・ライアンのおっぱいが、いわゆる“ガッカリおっぱい”の代表格としてファンを嘆き悲しませていたと記憶している。マイロと交わる際に脱衣して披露したそれは、部屋が薄暗いこともあって「そんなにガッカリか?」と擁護したくなったのだが、事後に服を着るシーンで正面から捉えられるとやはりガッカリであった。

(その後の整形モンスター化した顔面とは異なり)40才を過ぎても可愛らしさの残る顔つきと重力の影響を受けた熟女の肉体に悪い意味でのギャップがあるのだろう(それが好きだという人もいるかもしれないが)。また、服を着るために腕を上げて一度持ち上がったおっぱいがだらんと垂れると、それは“柔らかすぎて”ショボくれているようにも見える。ともかく、「おっぱいを見せてくれてありがとう」と感謝できないものであった。

メグ・ライアンが本作に出演したのは、確かラッセル・クロウとの不倫がバレて爽やかなラブコメでの需要が減り、心機一転を図ったのが理由ではなかったかと思う。このいかにも落ち目感のある事情、エロサスというジャンル。垂れたおっぱいが盛者必衰の厳しい現実を象徴しているかのようである。本作の出演により彼女が妖艶なイメージを獲得することはなく、その後のキャリアが低調であることを考えると、本人にとってもファンにとっても脱ぎ損だったのではないかと思う。

バラバラ殺人を巡るミステリーに関する描写は見所皆無と言っても良い。主人公にマイロが犯人だと思い込ませることでスリラー化し、他にも怪しいストーカー男(ケヴィン・ベーコン)が登場し、妹ポーリーン(ジェニファー・ジェイソン・リー)も犠牲となるが、「これでオチをつけたつもりなの?」というレベルの真犯人が登場する。このガッカリ感たるやメグのおっぱいと双璧を成している。

殺人事件が物語の“軸”となってはいるが、“核”は明らかにフラニーの性や男性との関係である。これをエロサスというジャンル映画にすることで、本質が毀損されてしまったのではないかと思う。もっともその本質とやらにどれほどの価値があるのか分からない程度には掴み所のない、欲求不満の中年女がグダグダしているだけのように感じられる一作だった。一言、「退屈」という印象のみが残る。

イン・ザ・カット (字幕版)

イン・ザ・カット (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 
In the Cut

In the Cut

  • 作者:Moore, Susanna
  • 発売日: 2020/08/20
  • メディア: ペーパーバック