オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『殺しのナンバー』

The Numbers Station, 88min

監督:カスパー・バーフォード 出演:ジョン・キューザックマリン・アッカーマン

★★

概要

工作員の左遷先である暗号送信局が襲撃される話。

短評

ジョン・キューザック主演のB級アクションスリラー。ハンナ・マリーが出演しているので観たのだが、彼女は序盤であっけなく殺さてしまう“超ちょい役”である。「残り時間は何を楽しみにすればよいのか……」との戸惑いが裏切られることはなく、密室劇に近いこともあって盛り上がりに欠ける一作となっていた。

あらすじ

元局員の暗殺指令を受けた工作員のエマーソン(ジョン・キューザック)。三人の殺害に成功するが、逃げた目撃者を追った先の家にいた少女(ハンナ・マリー)を殺せずに見逃そうとする(上司が射殺)。この失態が原因となり、彼はイギリスはサフォーク州にある暗号送信局へと左遷される。仕事の内容は、暗号送信官であるキャサリンマリン・アッカーマン)の護衛。いつものように職場に向かった二人だったが、何者かの襲撃を受ける。

感想

なんとか施設内に逃げ込み、中にいた敵を殲滅するも、偽の暗殺指令が送信済み。本部とは連絡が取れず、外には扉をこじ開けようとする敵がいる。「偽暗殺指令の取り消し」と「自分たちの安全確保」の二本立てである。しかし、このどちらも解決編がショボい。

「偽暗殺指令の取り消し」は、キャサリンがなんだかんだでPCのパスワードを解明し(特に何の説明もなく「ひょっとして……」で正解)、見事に取り消し指示を送信。彼女が送信途中に負傷してエマーソンが仕事をやり遂げるという一波乱はあるものの、鍵となる仕事が雑に流されているため、達成感に欠ける。また、偽暗殺指令の標的となる15人だが、エマーソン曰く「全員が組織の重鎮。死んだら世界秩序が大混乱」とのこと。「大統領が狙われている!」なら分かりやすい危機だと思うが、「裏世界の名もなきお偉いさんたちが危ない!」では緊迫感がない。適当に職位の繰り上げがあるだろう。

「自分たちの安全確保」は、外から迫る敵にどう対処すべきかというもの。こちらは更にショボい。監視カメラの映像を確認すると敵が総勢三名であることが判明し、二名は突入時に殺害済みである。したがって、残るは一人。エマーソンは一人で二人を倒したのだから、一人くらいなら大した仕事ではない。内部の仲間と連絡が取れず、中から扉を開けてくれないとなれば、残された敵だって自分以外がやられてしまったと理解できるだろうに。必死に扉を破ろうとしているが、破った瞬間を待って射殺されるという事態を想定しなかったのだろうか。こんな阿呆に勝っても達成感に欠ける。

本作に登場する送信局の暗号送信官は何故か皆女性である。男女二人組が三日交代で勤務しており、就業中は施設内に二人きり。施設外でも警護の男が送迎を担当。となると、当然に男女の関係になる者が出てくる。反りが合わなければ最悪の雰囲気に鬱を発症するかもしれないが、イイ関係になれば就業中にイイコトしたりもするのだろう。こんなあえて“退任”を困難にする組織運営にするなんて、敵ばかりか味方の本部も阿呆である。

工作員生活に疲れてしまったエマーソン──ということにでもしておこうか。キャサリンの“退任”指示に従わなかったのは、少女の死がトラウマになっているという理由が考えられるが、そもそも少女の時点で殺せなかった理由は何なのか。三十郎氏なら「好みのタイプだから」というしょうもない言い訳ができるが、彼は一応有能な工作員のはずである。終盤でこれまた元局員の敵に「組織に使い捨てられるのはイヤだ」と汚い仕事に従事する苦悩を語らせていたが、肝心の主人公が「女子供は殺せない」という工作員らしからぬ軟弱キャラにしかなっていない。

殺しのナンバー (字幕版)

殺しのナンバー (字幕版)

  • 発売日: 2014/04/10
  • メディア: Prime Video