オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ナイアガラ』

Niagara, 88min

監督:ヘンリー・ハサウェイ 出演:マリリン・モンロージョゼフ・コットン

★★★

概要

ナイアガラ瀑布殺人事件。

短評

マリリン・モンロー主演の犯罪映画。元々は彼女と愛人との密会現場を目撃する女の方が主役という構成だったらしいのだが、女優の降板によりこの形となったらしい。予定通りに制作されていればヒッチコック的な巻き込まれ型サスペンスになっただろうという気がして、少々アンバランスな感じはするものの、やはりモンローの妖艶な魅力には抗いがたい。あの豊満な腰のラインを一体どうやって讃えるべきか。彼女が退場した後の終盤に失速を感じたのだが、これも巻き込まれ型サスペンスとして一貫していれば悪くない展開だったのだろう。

あらすじ

ナイアガラの滝へと新婚旅行にやって来た夫レイと妻ポリー(ジーン・ピーターズ)のカトラー夫妻。彼らは滝の見えるのロッジに宿泊し、同宿のジョージ(ジョゼフ・コットン)とローズ(マリリン・モンロー)のルーミス夫妻と知り合う。しかし、ポリーが観光中に、超絶セクシーなブロンド美女のローズが愛人と密会している姿を目撃。ローズは愛人と夫殺害を計画しており、翌日、ジョージが姿を消してしまう。

感想

夫ジョージが「あんなドレスで……」と嫉妬するセクシーなピンクドレスを着て周囲に惜しみなくセクシーを振りまくセクシー美女ローズが(ポリー曰く「あのドレスを着るには13才から準備が必要」)、愛人と「例の件は明日」と電話で会話。妻が愛人と結託して夫を殺すだけの計画なのだが、彼女の美貌と悪女ぶりありきな辺りが面白い。ジョージは「彼女は注目を浴びたいだけのビッチ」と非難するが、自分が彼女を愛していることを否定できない。だってとびきりの美女なんだもの。彼女が横を向いて寝ている時の布団の下に感じる腰のラインの大いなる膨らみである。彼女がただ歩く時のプリプリクネクネである。男は皆彼女の虜となるのだ。

それはローズにとって先刻承知である。従って、彼女が怪しい挙動を見せれば、夫が尾行してくることなどお見通し。土産物屋での愛人との密会が夫にバレそうになるサスペンスなのかと思いきや、夫の行動を読み切った上での犯行計画なのであった。当然愛人だって彼女に夢中なので、彼女は自分の手を汚さずに済む。単純な殺人の背景に愛憎が見え隠れしている。マリリン・モンローの魅力ありきな演出である。「どうしてだかは分からないが、どうしようもなく惹かれる」ではない。「彼女に惹かれる理由がはっきりと分かる」という分かりやすさがある。

遺体安置所で冷たくなった夫とご対面……と思わせての展開には意外性があって面白かったのだが、モンローの魅力が活きていたのはここまでだっただろうか。彼女ほどのセクシー美女であれば、やはり男を翻弄してなんぼである。逆転されてしまうと少し霞んでしまう。彼女が夫に殺害されるシーンの影を活かした俯瞰のショットが印象的だったが、これは彼女の魅力そのものとは関係ない。

逆転があってからの話は、とっても巻き込まれ型サスペンスである。宿泊予定のロッジの先客が不仲の夫婦だったばかりに……という不運。基本的には最初からそのはずなのだが、前半はローズの美しき悪女ぶりがメインとなっているため(サスペンスもローズvsジョージの構図)、ポリーたちがサスペンスに絡む展開がない。後半のために一応登場しておいた感さえある。

というわけで、話の軸がブレてしまった感じはするものの、それなりには面白い。とにかくポリーの間の悪さである。ローズの浮気現場を目撃し(これを知っていたことは話に活かされなかったが)、予定通りの部屋に移ったら死んだはずのジョージと遭遇し、それでも予定通りに観光をこなそうとすれば滝から落ちて死にかける。夫レイが存在感を発揮するのはお偉いさんに会えて舞い上がっている時だけで、ポリー一人がひたすら気の毒な目に遭っていた。

愛人の死体を目撃したローズがショックで気絶し、ジョージに突き飛ばされたポリーは頭を打って気絶する。この時代の女性はやたらと気を失う。

ナイアガラ(字幕版)

ナイアガラ(字幕版)

  • メディア: Prime Video