オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝』

龍門飛甲(Flying Swords of Dragon Gate), 122min

監督:ツイ・ハーク 出演:ジェット・リージョウ・シュン

★★

概要

砂漠に沈んだ都が姿を表す砂嵐の日に宦官と武芸の達人が戦う話。

短評

タイトル的に冒険映画なのかと思ったら、本編は武侠映画そのもので、お宝探しの要素はおまけ程度だった。なんでも『残酷ドラゴン 血斗竜門の宿』のリメイクである『ドラゴン・イン/新龍門客棧』の後日譚に当たるとのことで、どうりで見覚えのある宿が出てくるはずである。2011年の作品ということで、ワイヤーが存在感を主張する超絶技巧バトルに加えてCGも多用されている。現実離れした超人技を表現するのが武侠映画なのだから、(物理的、精神的に)浮いているのは構わないとしても、やり過ぎて逆に凄いのか凄くないのか分からない状態になっていたように思う。

あらすじ

宦官の専横が極まる民の時代。貴妃の寵愛を受ける西廠のユー督主は、皇帝の子を身籠ったスー(メイヴィス・ファン)を抹殺すべく部隊を送り込む。リン(ジョウ・シュン)という女侠客に命を救われたスーは、砂嵐の迫る龍門へと逃げ延びる。二人が食事をとりに入った「龍門客棧」には、60年に一度の砂嵐で姿を表す財宝を狙うチャン(グイ・ルンメイ)率いる韃靼族やグー(リー・ユーチュン)とファンの二人組がいる。更には、スーの追手、ユーの首を狙う剣士ジャオ(ジェット・リー)、ユー本人が現れ、壮絶な戦いの場と化す。

感想

「お宝探し」という要素を追加し、後日譚ということになっているが、内容的にはほとんどそのままである。宦官に命を狙われた者が宿に流れ着き、そこに武芸の達人が現れる。毒入り酒の心理戦もそのままだったのだが(かなり省略されているが)、これらの要素はいわゆる“お約束”なのだろうか。それとも、前作からかなりの期間が空いているようなので(約20年)、別作品としてのオマージュなのだろうか。壮大な歴史ロマン的に幕を開けたかと思いきや、「おっ、この展開は知ってるぞ」となったので、中国版『ハムナプトラ』的なものを期待した三十郎氏にとっては多少の肩透かし感があった。

ワイヤーとCGの多用により「なにがなんだか」という状態に陥っているアクションだが、やはりジェット・リーの剣捌きは流石といったところだろうか。本人の動きがどれくらい凄いのかが分かりづらくなっているが、きっとジェット・リーなので凄いのだろう。なんだかんだで楽しい武侠アクションである。それでも彼には生身の動きの凄さを見せてほしい気がするが。

ワイヤーアクションについては「武侠映画の世界というのはこういう動きなのだろう」と納得しているものの、CGについてはクオリティが追いついていないこともあって違和感がある。もっともワイヤーアクションだって“現実離れ”を表現するための技法なのだから、CGの多少の安っぽさも、武侠映画の演出としては逆に正解なのかもしれない。元は3D映画として制作されたようなので、重力無視のアクションについては3Dで見ると大きく印象が変わりそう。

顔に模様を施した韃靼族(タタール人)を演じるグイ・ルンメイがアクションをしているのが新鮮だった。彼女の出演作を観るのは三作目だが、最初に観た『薄氷の殺人』のイメージが染み付いている。同作の彼女の方が魅力的であったことは否定できないが、「こんなキャラクターも演じるんだ」という楽しみ方ができる。美人は何を演じても美人ですね。

60年に一度の大砂嵐が300年前に砂漠に沈んだ都を出現させるという設定だが、お宝探し要素はほとんど詐欺に近かった。遂に姿を現した都の壮観さには「おぉ~」となるも、どちらか言えば砂嵐の中でジャオとユーを決闘させるための設定ではなかったかと思う。都の中では思わぬ裏切り者が出現するわけだが、「これはありなの?」という印象。確かに驚きはしたが、“様々な思惑や目的を持った者たちが偶然に一箇所に集まる”という要素が薄れてしまった気がする上に、展開としても無理筋なので、少々興醒めだった。

ジャオが東廠のワン督主を「タネなしの宦官の分際で」と貶している。どんなに偉くなっても“オス”として誰にでもマウントを取られてしまう気の毒な宦官。『残酷ドラゴン』でも「清い体」と童貞イジりされていたが、これも武侠映画のお約束なのか。

ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝(字幕版)

ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝(字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video