オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ドラゴン・オブ・ナチス』

P-51 Dragon Fighter, 84min

監督:マーク・アトキンス 出演:スコット・マーティン、ステファニー・ベラン

★★

概要

ナチスのドラゴン部隊と戦う話。

短評

設定のバカらしさに内容のバカらしさがついて来られなかった一作。ナチスがドラゴン部隊を編成して戦うなんて、アイディア的には『アイアン・スカイ』に匹敵するぶっ飛び度なのに、明らかな予算不足が祟ってひたすらに地味である。この設定であれば「ドラゴンが戦場を蹂躙する」という描写にこそ期待して然るべきなのに、ドラゴン部隊殲滅を命じられた主人公チームとの戦闘以外はほとんど描かれない。 元よりクオリティには期待していなかったが、これは違う。

あらすじ

とある遺跡でドラゴンの卵が発見される。孵化したドラゴンはナチス指揮下の魔女軍団(エリザベータ、Pernille Trojgaard他)に操られ、北アフリカ戦線の連合軍を蹂躙する。ドラゴンの情報を入手した連合軍は、休業状態にあったロビンス中尉に特命部隊を結成させ、ドラゴン殲滅任務へと挑む。

感想

ロビンス中尉率いる航空隊が決死の戦いを挑む話のはずなのだが、本作最大のヒーローはナチス側のロンメル将軍と言って差し支えなかろう。ドラゴンの卵を発見したグードルン曰く、「ドラゴンは全てメスで、卵の中身はクローン」。オスは地元民から“アブザガ(=破壊者)”と呼ばれる危険な存在で、これを危惧した将軍が連合軍に内通して、「私は同胞を攻撃できないがドラゴンを殲滅してくれ」と卵の在り処を伝えるのである。とてもナチスとは思えぬヒューマニティ。

将軍の導きに従い、戦闘機と爆撃機の編成で孵化場へと向かうロビンス隊。迎え撃つはドラゴンたちである。この戦いの前にボールドリン大尉が命を賭して「ドラゴンは高度を上げると動きが鈍る」「首を狙うと爆発する(火種でもあるのか?)」という二つの弱点を見つけており、首を撃つと意外にも楽々と撃破できる。ボーンッ!と爆発するだけの迫力に欠ける描写である。交戦開始時にロビンスが「まだだ……まだだ……今だ!」と号令を掛ける定番の描写があるのだが、彼の顔ばかりがアップで映っていて、攻撃開始に丁度いいドラゴン隊との距離を測っていることが分かりづらい。そもそも敵の攻撃射程だって不明だろうに。

首を狙うだけで簡単に対処できていたのに、連合軍の上司が「普通の戦い方じゃダメだ!高度を上げろ!」としゃしゃり出る。これでドラゴン対策を使い果たしてしまう。その後、お約束でオスのドラゴンが出てくるわけだが、彼への対策が残されていない。「高度を上げて首を狙う」ではメスドラゴンとの違いが出せない。そこでロビンスはどうするか──唐突にカミカゼ・アタックを仕掛けるのである。この攻撃でオスドラゴンはあっさりと爆散し、ローマ帝国を滅ぼしたとまで言われる破壊力は、ナチス側の人間を一人焼くだけに終わってしまうのだった。「さっきのがオスでよかったんだよね……?全然伝説感なかったけど……」と戸惑うこと間違いなしである。

なお、カミカゼ特攻したロビンスは機体から脱出しており、砂漠で干からびそうになっているところをナチスを裏切った魔女が助けてくれる。彼女の胸元がやたらとオープンなのが素敵だった。ロビンスにはマッキー(ステファニー・ベラン)という看護師のお相手がいるのだが、彼女は魔女やちょい役のスー(マディソン・ボイド)ら、どの女性キャラクターよりも見目麗しくないという微妙なロマンスとなっている。

ドラゴンの造形については、褒めるほどでもないが貶すほどでもない。“羽に鉄十字の刻印がある”というバカげたアイディアは秀逸と言えよう。ナチスがドラゴン部隊を編成するに当たって何かしらの加工を施しているのかと思ったら、なんとオスドラゴンにもバッチリ鉤十字がある。遺伝子操作なのか。これも魔女の力なのか。どこからともなく現れた魔女たちは、ドラゴンと同等レベルで正体不明だった。

チェコ語で「ノー」は「イエス」の意味らしい。

ドラゴン・オブ・ナチス [DVD]

ドラゴン・オブ・ナチス [DVD]

  • 発売日: 2014/10/03
  • メディア: DVD