オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ドラゴン特攻隊』

迷你特攻隊(Fantasy Mission Force), 89min

監督:チュー・イェンピン 出演:ジミー・ウォングジャッキー・チェン

★★

概要

日本軍の捕虜となった将軍と50万ドルを奪還する話。

短評

キワモノな珍品映画である。ジャッキー主演作なのかと思ったらそうでもなく、捕虜救出作戦なのかと思ったらほとんど無関係な描写に終始する。支離滅裂なストーリーは意味不明の一言で、壊滅状態と言ってもよい。プロットの酷さは目に余るが、演出については振り切れた意味不明さが笑えるところもあった。どうしてジャッキーがアクションすらも不完全な迷作に出演しているかと言うと、契約問題で裏社会とモメていたのをジミー・ウォングに解決してもらった借りがあったのだとか(『炎の大捜査線』も同じ事情)。これもある意味では貴重な一作か。

あらすじ

米、英、仏、アフリカの四人の将軍が、軍資金50万ドルと共に日本軍に捕まってしまう。彼らを救出すべく白羽の矢が立ったのはドン中尉(ジミー・ウォング)。中尉はその道のスペシャリストたちをスカウトし、将軍奪還作戦へと挑む。

感想

ジャッキーは特攻隊のメンバーではない。レスリングで稼いだ賞金をニセ警官に扮したビリー・ザ・キッド(こちらは隊員)に奪われた男である。しかし、金を取り戻すべく執拗にビリーを追っているというわけでもなく、行く先々に脈略なく現れる謎キャラクターである。しかし、このキャラクター性程度の謎は、謎だらけの本作において大した問題ではない。

司令部の情報では、日本軍(はっきり「Japanese」と言っているのに字幕は「極東軍」表記。謎配慮)に拉致された将軍たちはルクセンブルクから東京に送られるということになっている。将軍たちが「ここに日本軍がいるはずない」と議論している現場に日本軍が現れるのだが、確かにヨーロッパ戦線にはいなかっただろう。

しかし、細かな時代考証を気にする必要は一切ない。最終的には捕虜と金を奪還するという目標があるのだろうが、その過程は一切不明である。はっきり言って何をしているのかさっぱり分からない。ヨーロッパも東京も出てこないし、なんなら日本軍だって出てこないと言ってしまってもよい。代わりに特攻隊を襲うのは、アマゾネスやキョンシーたちである。その唐突な登場には大いに混乱させられるが、そういう類の映画なのである。これを受け入れられないのなら、本作からは途中で脱落することになる。

KKKのような覆面を被ったアマゾネスたち。覆面を取ると確かに女だが、被っている時の体が明らかに男である。タキシード男を懸けた女の戦いが始まろうかという時に鶏を追い掛けてジャッキーが謎登場。彼のおかげもあってアマゾネスたちから逃げ、逃げ込んだ先の屋敷で休んでいると、麻雀に興じるキョンシーや幽霊が現れる(実はガイコツだった女幽霊が美人)。コントをやったりホラーをやったりと大変に意味不明なことになっているのだが、RPGを愛するリリーのおかげでやたらと派手な映像が見られる。とりあえず爆発させておけば何とかなるというB級映画マインドである。

そのド派手路線が極まるのが終盤の対日本軍戦。鉤十字がプリントされた大量の自動車に乗った武士風の袴姿の男たちやグラディエーター風の赤マントの男たちが赤色灯を掲げて出現する(将校はナチス風の軍服)。“乗る”と言っても、彼らは車の中ではなくトランクの上に“乗って”いる。まるでチャリオットである。これは壮観。『マッドマックス』よりもマッドである。意味は分からないが凄い。このシーンだけは一見の価値がある。爆発もそうだが、意外と金が掛かっている。

お気楽コメディ路線だった特攻隊が無残に皆殺しにされ、日本軍も死に絶えたところにアマゾネス戦で離脱していたドン中尉が登場。なんと彼こそが黒幕だったのだ!これは驚くべきなのか……。最終決戦で結局は主人公化したジャッキーが身軽な動きを披露するも、得意のカンフーで中尉を倒すことはなく、これまた大爆発で決着となるのだった。なんか意味は分からないけれど、言いたいことは「戦争反対!」らしい。

007やロッキーといった候補を抑えて特攻隊に選出されるドン中尉(許可取ったのか?)。彼らと同列に並べられている悪漢探偵なる男が気になった。

ドラゴン特攻隊(字幕版)

ドラゴン特攻隊(字幕版)

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