オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『霊幻道士2 キョンシーの息子たち!』

殭屍先生續集之殭屍家族(Mr.Vampire II), 89min

監督:リッキー・ラウ 出演:ラム・チェンイン、ユン・ピョウ

★★

概要

墓から盗んだ死体がキョンシーの親子だった話。

短評

霊幻道士』シリーズの第二作。 と言っても前作との直接の繋がりはないようで、舞台も(撮影当時の)現代へと変更されている。キョンシーを退治する漢方医ラムを前作のガウ道士と同じラム・チェンインが演じているが、ラムはガウの血縁ではなく「サモ・ハンの子孫」ということだった(製作がサモ・ハン・キンポー)。本作はベビーキョンシーと少女の友情が強調されていることが象徴するようにお気楽コメディ色が強くなっており、対キョンシーのアクションはパワーダウンしている。一方で、舞台を現代に移したことにより“現代的な”キョンシー対策が見られたのは面白かった。

あらすじ

とある遺跡を調査(=盗掘)中の教授(チャン・ファット)と二人の弟子が三体の死体を発見する。彼らは死体を研究室に持ち帰り、売却のために子供の死体を持ち出すが、額の御札が剥がれて逃げられてしまう。死体の正体はキョンシーだったのである。研究室に残った弟子も女キョンシーの御札を剥がし、噛みつかれてしまう。彼が噛み傷を治療してもらおうと訪ねた漢方医ラム(ラム・チェンイン)は、それがキョンシーの仕業であることを疑い(もち米で対処)、男の後をつけるのだった。

感想

コメディが誇張されたほのぼのキョンシー映画である。墓の盗掘時に弟子の一人が生きたヘビを割いて取り出した肝を生のまま食べるシーンはゲテモノ系ホラー映画のようだったが(彼はカエルの踊り食いもする。曰く「最高の精力剤」とのこと)、その後はホラーらしい演出は見られない。研究室の方の弟子が剥がした御札を破ってしまい、キョンシー襲われたので、もう一体の御札を剥いで貼り付ける。すると、御札を剥がされたもう一体が暴れ出す。というわけで、もう一体の御札を剥いで……を繰り返すコントになっている。彼が自分の額に御札を貼ると一時的に攻撃が止まっていたが、どういう性質なのだろう。

噛まれた弟子の後を追って研究室へとやって来たラム、ラムの娘チー(ムーン・リー)、そして彼女の恋人ヤン(ユン・ピョウ)。ブルース・リージャッキー・チェンと共にアクション映画に出演している男二人の対キョンシー戦に期待が集まるところだが、こちらもコメディ路線である。先に研究室に入り、記念撮影のために御札を剥がしたヤン。キョンシーに襲われた彼が“遅鈍剤”を撒き散らし、人間もキョンシーも動きがスローモーションになる。完全にコントである。漢方医なのにバッチリ道士衣装を着込んで駆けつけたラムもスローモーションで、バトルとは呼べないバトルが繰り広げられるのであった。一体あの薬は何なのだろう。

どうやら現代人はかつての道士たちのように強くないらしい。それでは蘇ったキョンシーたちにどう対抗するのか。モダンテクノロジーである。なんとかキョンシー二体を盗み出してトラックの荷台に閉じ込めたラムたち。移動中に検問で捕まってしまい、「キョンシーに逃げられるくらいならば!」とガソリン漏れを起こしてトラックごと焼却しようとする。なんともワイルドである。しかし、ここでは荷台の屋根を突き破って難を逃れたキョンシーの勝ちであった。

逃げたキョンシーが向かったのはベビーキョンシーのいる家。ベビーキョンシーは優しい少女と仲良くなり、「OK君」と名付けられて楽しく暮らしている。一体はラムが“陰府魔道で悪霊退治をしたサモ・ハンの子孫”の面目躍如で退治するが、注目はもう一体である。駆けつけた警察がRPGを放ち、それでも死なないので麻酔銃を撃つ。これも効果がなく、最後は“二硫化カリウム弾KISS”で物理的に融かす。特殊な技術や修行を要する呪術や武術を万人が扱うことのできる技術で代替する。正に現代科学と人類の進歩の勝利である。

全体の印象はショボかったと言わざるを得ないのだが、コメディ演出にはそれなりに見所もある。ゲテモノ食いの弟子が精力がつきすぎて女キョンシーに発情したり、OK君が色素性乾皮症患者のような格好をして日中の公園で遊んでいたり、警察や博物館がキョンシーの処遇を巡って管轄争いを繰り広げたり。本作は子供向けに制作されたようだが、その通りの印象を受けた。