オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『レッド・リーコン1942 ナチス侵攻阻止作戦』

А зори здесь тихие...(A zori zdes tikhie.../The Dawns Here Are Quiet...), 115min

監督:レナ・ダヴェルヤーロフ 出演:ピョートル・フョードロフ、アナスタシア・ミクルチナ

★★★

概要

第二次大戦のソ連女性部隊の話。

短評

おっぱい目的で観たら映画の内容自体も期待を上回る一作だった。迫力ある大規模な戦闘シーンもなければ、鍛え抜かれた女性兵士の活躍が見られるわけでもなく、任務自体も戦局に影響のない地味なものである。しかし、それが却ってスリリングな展開を生み、(女性兵士たちが美しいこともあって)悲痛な物語に入り込むことができた。目当てのおっぱいも実に見事に実っており、自分がロシア人に生まれなかったことを後悔した。三十郎氏もロシア人に生まれてさえいればきっとこのような美女と……、いや、ダメだっただろうな。

あらすじ

1942年。ソ連ナチスドイツからの激しい侵攻を受けていたが、たまに通りかかる敵戦闘機向けに対空砲二機が配備されているだけの平和の地域があった。平和過ぎて男の兵士は酔っ払って喧嘩するので、フェドート曹長は禁酒家の兵士を要望する。そこで派遣されて来たのがキリヤノフ軍曹(エカテリーナ・ヴィルコワ)率いる女性部隊。ある日、隊員の一人がナチスの工作兵二名を発見し、フェドートと五人の女性兵士が対処することに。

感想

五人のメンバーに選抜されたのは、分隊長のリタ・オシャニーナ伍長(アナスタシア・ミクルチナ)、ジェーニャ・コメルコワ(イフゲニア・マラフーヴァ)、ガーリャ・チェトヴェルタク(クリスティーナ・アスマス)、銃の扱いに心得のあるリザヴェータ・ブリチキナ(ソフィア・レベデワ)、そしてドイツ語を話せるソーニャ・グルヴィッチ(アグニヤ・クズネツォワ)。美人揃いである。女性部隊というよりもモデル軍団である。軍曹を含めて『バタリオン』のような肝っ玉母ちゃんタイプがいない。愛しのロシアンビューティーである。

そんな美女部隊が対空砲の扱いで有能さを証明し、褒美として入浴日が与えられる。これは(何もしていない)観客にとっても最高のご褒美タイムである。彼女たちが「ジェーニャは肌が綺麗ね。女神みたい」「服で隠すのがもったいないわ」とキャッキャウフフしているサウナの光景はこの世の楽園と呼んで差し支えない(交ざりたい)。至福のひと時であった。男のフェドートが兵舎に入って「キャー!!」となるラッキースケベ(見えない)もあったりして、序盤はかなり牧歌的な雰囲気である。半分ハーレム映画である。

ナチスの工作兵を追って進軍するシーンも比較的緩い雰囲気で、沼地のような難所が待ち受けてはいるものの、その後にご褒美の水浴びで再び観客を喜ばせてくれる(交ざりたい)。それがナチスを発見すると空気が一転するというのが本作の面白さである。2人の敵兵に対して6人の味方部隊のはずが、実は彼らは斥候で、敵兵が総勢16人の部隊であったことが判明する。圧倒的不利である。おまけに女性兵士たちは対空砲の扱いが専門であり、対人戦は素人同然である。更に、脚力自慢のリザヴェータを救援要請に基地へと走らせて(無線があれば……)、5人対16人の戦いに。「女だって男なんかに負けていられない!」ではない。人数も足りないし、ちゃんと訓練を受けていない女性が実戦に投入されてるしで、大ピンチなのである。

本作の良かった点は、女性兵士の数が少ないことである。五人であれば顔と名前が(複雑極まるロシアの名前であっても)一致するし、彼女たちが背負っている悲痛な過去の回想も描かれるので感情移入しやすい。おまけに三十郎氏好みのロシア美女となれば、是非とも生き残って欲しいと願わずにはいられない。本作で描かれるのは敵味方共に小規模な戦闘ではあるのだが、ちゃんと緊迫感を感じられるような舞台設定が整っているのである。そして、彼らが一人、また一人と命を落としていくことになる。お気楽なハーレムでキャッキャしていた序盤から一転して壮絶な悲痛さを感じさせる(特にリザとリタの死に様は辛い)。このギャップはなかなか胸に迫るものがあった。

フェドートの孤軍奮闘や女性兵士のアイディアを活かし、ジェーニャの決死の水浴び色仕掛け作戦で足止めし、銃撃戦で敵を後退させる。これで勝利とならないのが本任務の難しさである。初期の想定と条件が違ったので交戦すれば不利なのは分かっているのに、隠れてやり過ごすという選択肢が存在しない。「なんとか凌いだ」と思っても、そこから再び自ら悲劇へと突き進んでいくかのような姿が見ていて辛かった。

最も三十郎氏の好みだった美女は青い瞳に吸い込まれそうになるガーリャなのだが、彼女は扱いが非常に悪くて気の毒だった。戦闘に突入した際にビビって岩陰に隠れて何も出来ず、リタとジェーニャの二人から臆病についての青年党員会議開催を要求される。「味方同士でそんなことしてる場合じゃない」「次はちゃんと戦えるな」とフェドートに庇われ、ナチス側は負傷兵を殺処分しているという描写で対比させたのに、二度目の戦闘でもビビって射殺されるのだった。可哀想……。彼女の死を「勇敢に戦って死んだ」と報告するフェドートは良い奴だった。