オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『サイクロンZ』

飛龍猛将(Dragons Forever), 90min

監督:サモ・ハン・キンポー 出演:ジャッキー・チェン、ユン・ピョウ

★★★

概要

被告の弁護士が原告側の女に恋する話。

短評

ジャッキー・チェンサモ・ハン・キンポー、ユン・ピョウの三人が揃った最後の作品となっているそうだが、本格アクション映画ではなく、素っ頓狂なラブコメにアクション要素を追加したような一作となっている。ラストバトルだけは見ごたえがあったが、三人の活躍にワクワクしたりドタバタを笑うよりも、阿呆ぶりにイライラさせられてしまった。

あらすじ

養殖場経営者のイップ(ディニー・イップ)は工場排水による水質汚染に悩まされ、操業停止を求めて訴訟に打って出る。工場を経営するファー社長の弁護を務めるジャッキー(ジャッキー・チェン)は女好きで、イップ側の証人メイリン(ポーリン・ヤン)に恋をする。ジャッキーは武器商人(?)のウォン(サモ・ハン・キンポー)にイップを懐柔させようと目論み、同時に探偵(?)のトン(ユン・ピョウ)に盗聴器の設置を依頼する。

感想

恋に落ちた相手が敵側の女だったという『ロミオとジュリエット』のような話なのだが、ジャッキーが女たらしなので本気度が伝わりづらい。彼は女と見れば誰にでも誘いをかけるようなナンパ男であり、メイリンに特別感がないのである。ジャッキーがただの女たらしにしか見えない。これはメイリンを演じるポーリン・ヤンが三十郎氏の好みでなく、むしろジャッキーに対して唯一積極的な助手(クリスタル・コオ)の好みだったのも原因だろう。

それはともかく、ジャッキーは工場排水とは別件の裁判でレイプされたと主張する原告に示談を進める被告側の弁護士を務めて無罪を“勝ち取って”おり、弁護士としての“仕事”と“正義”が対立する状況にある(件の裁判後に依頼人を殴る)。そこにプライベートとの利益相反が追加されて複雑なキャラクターとなっているはずなのだが、コメディ映画らしく全てが軽いノリで流されており、職務にも恋にも本気が感じられないという中途半端なラブコメになっていた。

仕事とプライベートが利益相反するのはウォンとイップの恋も同様で、こちらも特に葛藤は感じられないのだが、ジャッキーよりは面白い演出が見られた。無関係を装ってイップの隣に引っ越したウォンが頭に謎のデバイスを装着して隣室を盗聴する姿や、トレンディドラマのように街中で拡声器を使って口説く姿が笑える。サモ・ハンが監督兼任のためなのか目立つシーンが多かった印象である。彼とトンが互いにジャッキーの依頼で仕事をしていると知らずにトラブっていたが、独断で仕事を進めるウォンも事態を収集できないジャッキーも相当に杜撰な仕事ぶりである。彼らのすったもんだには、楽しいという感情よりも「何やってんだ……」という呆れが先行した。

なんだかんだあっての工場でのラストバトル。『スパルタンX』にも出演していたベニー・ユキーデの動きも相当なものだが(彼との決着をつける蹴りのシーンをジャッキーが演じていないようなのだが、どういう事情なのだろう)、印象的だったのはファー社長である。巨大な眼鏡をかけ、ちょび髭を生やし、葉巻を燻らせる。小者感溢れるいかにも弱そうな外見なのだが、これが意外にも動けるのである。しかし、ジャッキーが部下と戦って気を取られている時に一撃だけ加えて逃げるという卑怯さで、見た目通りの小者なのがとても可笑しかった。

サイクロンZ(字幕版)

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  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 
サイクロンZ(吹替版)

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  • 発売日: 2018/11/07
  • メディア: Prime Video