オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ナイトウォッチメン』

The Night Watchmen, 79min

監督:ミッシェル・アルティエリ 出演:ケン・アーノルド、ケヴィン・ジゲッツ

★★★

概要

ルーマニアで死んだピエロがゾンパイア化する話。

短評

超低予算のどうしようもないZ級映画みたいなパッケージだが、意外な掘り出し物のホラー・コメディ。ゾンビなのかヴァンパイアなのかというどうでもよいが重要な設定、キャラの立った登場人物たち、人間とゾンビ双方の小ネタ、笑えるグロ。B級ホラー映画とコメディの相性の良さを最大限に活かした一作となっていた。三十郎氏的には危険水準を示す80分切りの短さだが、これもテンポよくバカだけをやるのに一役買っている。

あらすじ

とある会社の警備員、ケン、ジゲッツ、ルカの三人。そこに新人のラジーブ(仮)が加わる。彼らが監視カメラに映った棺を搬入する配送業者の確認に行くと、それは配送先の住所間違いだったが、賄賂の大麻と引き換えに翌朝まで預かることになる。その棺の中にはルーマニアで謎の病気で死亡した人気ピエロが入っており、彼はヴァンパイア化していた。

感想

ゾンビなのかヴァンパイアなのか。劇中でも「これはヴァンパイアだ」「こんな下品で汚いのはゾンビだ」と議論されているが、結論はヴァンパイアである。頭部破壊ではなく心臓への杭打ちや、ニンニク、十字架が有効で、体液による感染ではなく首への噛み付きにより仲間を増やしている。犬歯も伸びている。しかし、腐ったような顔やフラフラとした歩き方、「グォオオオ」と声を上げる様子はゾンビそのもので、映画全体のバカバカしさと併せて考えれば、ゾンビ映画とカテゴライズしてもよいと思う。

この紛らわしさが第一の魅力である。映画の文脈としては完全にゾンビものなのに、ゾンビへの対応策がヴァンパイア向けということになる。ここに意外性がある。アイディアの妙である。ヴァンパイアという言葉はヴラド3世起源の高貴なイメージを伴っているが、本作のそれらはゾンビ的低知能であり、細かい戦い方以外の部分が完全にゾンビ映画なのである。いつもの低予算ゾンビ映画のような間抜けな戦いを繰り広げる中でのちょっとした変化球と言えるだろう。「噛み付いて仲間を増やす」という類似性を活かした、ありそうでなかった設定が新鮮だった。ヴァンパイアとゾンビは上手く使えているが、ピエロの設定は特に意味を成していない。

自称元海兵隊員のマッチョなケン、黒人ユダヤ教徒のジゲッツ、元凶悪犯と噂される物静かなルカ、バンドマンの夢を諦めたラジーブ(仮)、ケンの想い人でレズビアンのカレン(カーラ・ルイス)。ジゲッツの人種ネタがツボだった。五人はランドールという変態主任の車で建物から脱出しようとするが、肝心の鍵がない。こんな時、映画の中では配線をイジってエンジンをかけるのが定番である。そこで“四人”は黒人ジゲッツに期待するものの、彼の答えは「黒人なら誰でもできると?」である(四人の答えは「イエス!」)。映画の虚構性と現実社会の偏見の両方を茶化したネタだった。ジゲッツは「白人は何でも迷彩柄にして、靴下にサンダルを合わせる」と批判しながら自分もたまに合わせていたり、ロザリオと思いきや六芒星を出してくる良キャラだった。

他のキャラも面白い。ケンの従軍歴は数日で終了しており、自称元海兵隊なのに射撃が超絶下手。20年間もSF官能小説を書き続けているという男である。マッチョな主人公格かと思いきや、意外に頼りにならないという可笑しさである。彼はカレンに思いを寄せる一方で、ジゲッツに対しても友人以上の思いを抱いているというマッチョらしからぬキャラクターだった。ラジーブ(仮)が前任者の名札の通りにラジーブと呼ばれ続けたり、ルカが凶悪犯でもなんでもないという分かってはいたけどなネタも笑える。

対ヴァンパイアの描写で好きだったものは、頭部を撃つと血がピューピューと吹き出し、それでも死なないので止血するシーン。ジゲッツが穴に指を突っ込んで抜けなくなるのである。他には杭を打たれたヴァンパイアがゾンビみたいなゲロを吐いたり、ヴァンパイア化した欲求不満女に襲われたラジーブ(仮)がラッキースケベ的におっぱいを揉むと反応したり、金的攻撃が有効というものが面白かった。

ジゲッツが配線をイジれないので、変態主任から鍵を取るシーン。ラジーブ(仮)が手を突っ込んだポケットには穴が開いていて、アイスバーのようなアレに触れてしまう。彼は「何で穴が開いてるんだよ」と戸惑うが、いつでもそういう用途に使えるようにしてあるのだろう。変態だけに。他のヴァンパイアとは関係ない阿呆描写では、ダンスでヴァンパイア化していないか調べる謎シーンが好きだった。

ヴァンパイアに襲われた女性の服がはだけておっぱいが丸出しになるシーンがある。この描写は他のゾンビ映画にも是非とも輸入されるべきだと思う。ノーブラ万歳。ジゲッツの大麻でハイになったヴァンパイアが、女どうしで服を脱がせ合い、キスするサービスシーンもあった。B級ホラー映画の華はエロとグロである。

ナイトウォッチメン(字幕版)

ナイトウォッチメン(字幕版)

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