オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ミス・メドウズ 〜悪魔なのか? 天使なのか?〜』

Miss Meadows, 87min

監督:カレン・リー・ホプキンス 出演:ケイティ・ホームズジェームズ・バッジ・デール

★★

概要

頭のイカれた美人の人殺しの話。

短評

コミカルなサスペンス(?)映画。主人公のめちゃくちゃなキャラクターは好きだったが、ストーリーまでめちゃくちゃなのは好きになれなかった。基本的なプロットは主人公が独自の価値観で悪人を成敗するというものなのだが、彼女がなんとも掴み所のないヘンテコな人物で、どういう話なのかを終盤に至るまで理解できなかった。そのキャラクターそのものが最大の魅力という一作でもあるため、良し悪しの評価が難しいところである。

あらすじ

小学校の代理教師として働くミス・メドウズ(ケイティ・ホームズ)。生徒や隣人に婚期を心配される年齢でありながら、少々古風で可愛らしい服を着て、路上でタップダンスを踊る変わった女性である。そんな彼女が保安官のマイクと恋に落ちるが、彼女には人殺しという裏の顔があった。マイクは目撃者の証言からメドウズが犯人であることを疑うが……。

感想

冒頭からメドウズのキャラクターには「?」の連続である。ナンパしてきた男を射殺したかと思えば、何事もなかったかのように普通に暮らしている。同じくナンパしてきた保安官も殺すのかと思えば、彼とは恋に落ちる。一体彼女は何者なのか。何がしたいのか。

彼女には幼い頃に母を無差別殺人で亡くした過去があり、そのトラウマから悪人を殺しているという事情が明かされる。あまりに“正義の裁き”感のないあっさりとした射殺なので混乱するが、一応は“自警”なのである。ホットドッグ屋の殺人犯や変態親父には殺されるべき理由があると思えるが、最初のナンパ男がミスリードのような気もする。確かに彼はナンパに銃を用いたが、あそこからのいきなりの射殺とメドウズの変人ぶりだと、彼女の方が頭がおかしいと刷り込まれた状態で映画を観てしまった。自警というよりも気狂い女の場当たり的犯行だと思ってしまった。

代理教師という職業は、彼女が自警生活を送りながら各地を転々としていたことを示すのだろう。そこにマイクが現れて恋に落ち、彼女に葛藤が生まれる。おまけに生徒ヘザー(エイバ・コルカー)に殺人現場を目撃される。三十郎氏はここに至っても彼女の目的がよく分かっていなかったので、葛藤の内容をいまいち掴めなかった。秘密を知ったヘザーの命も危ないのではないかと勘違いしたくらいである。彼女の“正義”が全肯定されるラストをもってようやくどんな話だったのかをようやく理解できた。

もう少し早い段階で彼女の目的が明示されていれば……とも思うが、それだと異常者がポップに人を殺すという作品の魅力が損なわれてしまう。本作の面白さはメドウズのヘンテコぶりに集約されているのだから。このバランスの判断は難しかっただろう。

全てを知った上で結婚しようとするマイクの求めにより“普通”になったメドウズ。マイクに彼女の“正しさ”を認識させるための事件が起こるのだが、割と無理やり感が強い。コメディだから仕方がないとしても、彼女に裁かれる“悪人”の登場や描写は非常に雑だったように思う。この辺りも“正義の裁き”感がない一因だと思う。スカイラーなんてメドウズが社会生活への復帰に苦しむ前科者を追い込むことで再犯に走らせた自作自演ではないだろうか。彼の変わらなさをもってメドウズの変わらなさを表現したとも解せるが。

ケイティ・ホームズの役作りはハマっていたと思う。基本的には童顔なので少女チックな服装が様になるが、よく見ると髪に白いものが混じっていたりして、微妙な違和感を抱かせるようなビジュアルとなっている。ちょっと(ではないかもしれない)イタい不思議ちゃんである。たとえ彼女が“正義の執行者”であろうと、(妄想の母に電話で相談するような)頭のおかしな変人であることに変わりはない。その微妙な匙加減が上手く表現されていた。

ミス・メドウズ ~悪魔なのか? 天使なのか?~(字幕版)