オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『うず潮』

Le sauvage(Call Me Savage), 106min

監督:ジャン=ポール・ラプノー 出演:カトリーヌ・ドヌーヴイヴ・モンタン

★★★

概要

マリッジブルー女が無人島で男と暮らす話。

短評

カトリーヌ・ドヌーヴがドタバタしているコメディ映画。彼女のおっぱいを拝める一作である(あな有り難や!)。彼女のような絶世の美女がドタバタやっている姿は、似合わないようでいて、それでも様になっていて、何とも言い難い魅力があった。美しくないはずの所作の一つ一つが美しいという不思議である。終盤のコメディ映画らしからぬ展開がフランス映画らしさなのかと思ったら、ハッピーエンドになって安心した。

あらすじ

ビットリオとの結婚式を四日後に控えたネリー(カトリーヌ・ドヌーヴ)。結婚が嫌になった彼女は家から夜逃げするものの、ビットリオに追われる身となる。彼女が泊まったホテルの隣室の客マルタンの助力もあって故郷パリへのチケットを入手するが、飛行機に乗らずに彼の住む無人島へと逃げ延びる。俗世を嫌って一人静かに暮らしたいマルタンは反発するが……。

感想

逃げるカトリーヌ・ドヌーヴである。夫(予定)の眠るベッドから逃げ出し(ここではちらりと見えるような見えないようなだが、後でばっちり拝める)、ホテルの部屋で追い掛けっ子し、クラブ経営者のアレックスから給料代わりにロートレックを盗んで逃げ、マルタンの車でカーチェイス。ギャーギャー騒ぎ立ててドタバタ走る面倒な女なのだが、彼女が演じていると愛おしい。だって美人なんだもの。それ以外には説明のしようがない。同じキャラクターを非美人が演じれば鬱陶しいだけになるだろうが、そうなるとビットリオは追ってこないし、マルタンも恋に落ちない。“物語”というのは美女ありきなのである。

孤島で静かな自給自足生活を一人営むはずが、疫病神ネリーの登場によって台無しにされてしまうマルタン。これは少し気の毒なような気もするものの、あれ程の美女と二人で暮らすのが嫌な男なんてこの世に存在しないのである(同性愛者は違うかも)。三十郎氏なら彼女の奴隷として仕えてもよい。しかし、彼女と交わった翌朝には追い出すことを考えるなんて、彼の頭は一体どうなっているのだろう。賢者タイムが長いのか。プロラクチンの分泌量が異常なのか。実際に彼女が去ることになると寂しくなっていたのは、ようやく賢者タイムが終了したからに違いない。

二人が島で暮らしている時のネリーの行動の一つ一つが本作最大の見所である。下品にパンにかじりつく動作だけでも激烈にチャーミングだし、マルタンが作った料理を盗んで逃げ出す場面は最高に笑える。マルタンに船に監禁されて無理やり追い出されそうになると船底に穴を開けて沈没させようとするワイルドさで、「美人」という言葉からイメージする行動とは程遠いのに、紛れもない美人という凄さであった。ヒヨコを捕まえるのも、棚の上に荷物を置くべく屈伸を繰り返すのも、全てが素敵である。そう言えば、島には竹林があった。竹林と美女は等価である。竹林があれば美女がいて、美女がいれば竹林がある。

美しいビーチに囲まれた地上の楽園のような島での生活は魅力的に思えたが、その全てはマルタンが逃げ出した企業が裏で手を回しているという設定が少しホラーだった。この世にそんな都合の良い場所と生活は存在しないのか。

原題は「野生」とか「野蛮人」という意味だと思うが、無人島で野生的な生活を送るマルタンではなく、ネリーの振る舞いの方が野生に満ちているという面白さである。

うず潮

うず潮

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