オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『マンイーター』

Rogue, 99min

監督:グレッグ・マクリーン 出演:ラダ・ミッチェルマイケル・ヴァルタン

★★★

概要

クルーズツアーの客が巨大クロコダイルに襲われる話。

短評

オーストラリアのワニ映画。非常にシンプルなプロットで、巨大クロコダイルの恐怖を直球で描いている。動物パニック系の映画を観る時にはどうしても「真面目路線なのか不真面目路線なのか」が気になってしまうのだが、一部のサメ映画制作者たちがとち狂っているだけで、基本は真面目路線なのかもしれない。本作のワニは迫力と存在感の両方がある非常に良い出来栄えであり、ストーリーに意外性がなくとも退屈しない一作に仕上がっている。

あらすじ

オーストラリア奥地に取材に訪れたアメリカン人旅行ライターのピート。彼はケイト(ラダ・ミッチェル)がガイドするクロコダイル遊覧クルーズツアーに乗船する。一通りルートを巡って折り返そうかという時に遭難信号を発見し、クルーズ船は立ち入り禁止の聖地エリアへと様子を見に行くことに。そこで転覆したボートを発見した次の瞬間──巨大クロコダイルの襲撃を受けた船に穴が空いてしまう。

感想

巨大クロコダイルに襲われるというシンプルな状況に「感潮河川」という設定を加えることで展開に動きを出している。ケイト一行は穴の空いたボートが沈む前に岸まで辿り着くが、そこは満潮になると沈んでしまうのである。それまでに向こう岸へ泳いで逃げなきゃいけない。でも川の中にはワニがいる。これはシンプルかつ緊迫感のある状況である。多少の仲間割れやパニックはあるものの、観客が白けてしまう程に登場人物が阿呆化することはなく、非常に“ありえそうな状況”下での対ワニ戦となっている。

クロール ー凶暴領域ー』のように身体が千切れる残虐描写はないものの、終盤にワニの“巣”で発見される被害者のズタズタなダメージ描写が痛々しい。ワニに獲物を保管する習性があるのかは知らないが、生々しい傷跡を見せられると捕食者への恐怖が高まる。ただ死ぬよりも痛い思いをして死ぬのは嫌ではないか。泳いで向こう岸に渡ってロープを繋ぐという“いかにも死にそうな仕事”をやり遂げたのに意外なタイミングで襲われたニールとデスロールを食らったケイトの二人が発見されるのだが、出血と窒息の両方で死んでいそうな後者が生存しているのは解せない。

ロープ作戦が倒木により失敗に終わり、今度はワニを錨で“釣ろう”とする。引っ掛かっている内に泳ぎ切る作戦である。ここでケイトの愛犬ケビンを餌にすべきと提案され、ケイト以外の全員が賛成するという最低の事態となる。お前ら全員ワニに食われて死んでしまえ。お犬様の命は人間ごときの命よりも遥かに重いと心得よ。ここでは運良く鳥の死体を発見して利用するというご都合主義的展開だったのに、結局ケビンがワニに食べられてしまうというのはいかがなものか。彼が生きてたら最後に息を潜めて怯えるシーンが過剰に映画的盛り上がりを見せてしまうので、それを避けたかったのは理解できるが。

ワニの描写はCGとアニマトロニクスの併用だろうか。動きの激しいシーンや獲物を飲み込むシーンはCGだろうが、画面から浮いてしまうような質感にはなっていない。どちらなのか見分けのつかない場面もある。ピートとの最終決戦のシーンはとても迫力があり、襲いかかる姿は恐竜そのものな恐ろしさだった。本作でも見られるデスロールも大きな魅力の一つだが、やはりワニはあの長く巨大な“アゴ”があってこそなのだろう。アゴを大きく開いた瞬間にこそ唯一無二の怪獣っぽさを感じられる。他には水面に少しだけ顔を出す描写にワニらしさを感じる。「狙ってるぞ」という感じがして怖い。

乗客の一人シェリー役がキャリア初期で10代のミア・ワシコウスカである。もの凄く可愛い。彼女がオーストラリア出身であることは知っていたが、本作への出演は知らなかったので嬉しいサプライズだった。パニクった親父のせいで彼女が死ななくて良かった。また、地元の(意外に真面目な)チンピラ、ニール役でサム・ワーシントンが出演しており、こちらはオーストラリア出身だと初めて知った。ついでに言えば、ワシントンでなくワーシントン(Worthington)なのも初めて知った。

本作に登場するイリエワニはクロコダイル。先日観た『クロール』に登場するのはアリゲーターである。両者の違いは、生息域の他に、クロコダイルは頭がV字型に尖っており、アリゲーターはU字型に丸まっているのだとか。せっかくなので確認してみたが、そこまで分かりやすくV字とU字にはなっていなかったように思う。なお、クロコダイルの方がより凶暴なのだとか。

デジタル一眼レフカメラを自慢する男がコダックを使用していた。これは珍しい。

本作とは何の関係もないのだが、プレイヤーがサメになって人を襲う『Maneater』というゲームがあるらしく、非常に気になっている。

マンイーター (アンレイテッド・バージョン) (字幕版)