オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『7500』

Flight 7500, 79min

監督:清水崇 出演:ジェイミー・チャンレスリー・ビブ

★★

概要

LA発東京行きの飛行機に異変が起こる話。

短評

ジョセフ・ゴードン=レヴィット主演のハイジャック・スリラー『7500』と紛らわしい日米合作ホラー映画。同作を観た際に存在を知ったのでついでに観ておくことにした。同作の「7500」はハイジャックを意味する緊急コードだったが、本作の「7500」という便名にも何か意図があるのだろうか。終わってみれば最初にネタバレされていた一作ではあるものの、オチは予想がつかなかった。一方で、このオチだと劇中の心霊描写に対する違和感が残る。基本的には「一体何が起きているのか」という不安系の怖がらせ方をしているが、一応入れてみただけ的なショッカーシークエンスも多くてバランスが悪い。

あらすじ

ロサンゼルスから東京へと飛び立ったビスタパシフィック航空7500便。婚約者との将来に不安を抱えるCAスージージェイミー・チャン)や機長と不倫中のCAローラ(レスリー・ビブ)、神経質な妻リズ(ニッキー・ウィーラン)とリックの新婚夫婦、カップル二組で旅行中だが実は破局済みのピア(エイミー・スマート)、パンク女ジャシンタ(スカウト・テイラー=コンプトン)たちを乗せた飛行機が乱気流に襲われて揺れると、乗客の一人が倒れ、そのまま死んでしまう。その後、機内で奇妙な出来事が続発する。

感想

「実は全員死んでいました」という話である。乱気流によって機体が故障し、それにより生じた減圧で皆死んでしまう(酸素吸入器も故障)。「大した揺れの乱気流じゃなかっただろう」とか「機体がボロ過ぎるだろう」とか「コックピットには何か緊急用の設備があるだろう」とか「減圧ならペットボトルが潰れるのはおかしいだろう」とか色々あるが、そういう話なのである。というわけで、意味深な死に方をして、意味深なアイテムを残した乗客ランスは、単純に飛行機の揺れにビビってショック死したことになる。なんと軟弱な……。

つまり、本作の登場人物たちは自分が死んだことを認識できずに生死の狭間的世界を彷徨っていることになる。言わば死後の世界なので何が起きてもおかしくはないという言い訳はできるが、彼らが自身の死を納得するのに心霊ホラー的な怖がらせ方をする必然性があるのだろうか。「何が起きているのか」については興味を持って観られたので結末は意外だったが、「不安で勝負しよう」と「しっかり怖がらせよう」のバランスが上手く取れておらず、中途半端な出来になっていた印象である。主人公と呼ぶべきキャラクターもいないため、誰に感情移入して何に対して怖がるべきなのか分からないのも良くなかった。

出演者の中ではエイミー・スマートが最も有名なのではないかと思うが、意外にも影の薄いキャラクターである。代わりに目立っていたのはニッキー・ウィーラン演じるリズで、ウザさが振り切れている。「中華料理を食べる人は嫌(機内食が出るのに離陸前からがっつくなんて余程腹が減っていたのだろう)」「デブの隣には座りたくない(この気持ちは理解できる)」と選り好みをする一方で、隣に座った人に対して「ねえねえ、見て見て、私の結婚式の写真」とウザ絡みしている。デブ以上に隣に座りたくない乗客だった。いくら美人でもハネムーン中とあっては、勝手に期待して一人で盛り上がることもできない。

最も気の毒だったのはラケルクリスチャン・セラトス)だろうか。彼女は飛行機のトイレで妊娠検査薬を使うことに拘っており、彼女がトイレでトライする度にトラブルが起こる。最後はパンツを下ろしたままトイレで死亡である。可哀想に……。「入浴中に地震が起きたらどうしよう」という不安を想起させる最期だった。

ちなみに本作の音楽を手掛けたのがタイラー・ベイツ(『ジョン・ウィック』『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』他)で、実は最も豪華な参加者なのではないかと思う。

飛行機の客席モニターで上映されている番組は、TV版『トワイライトゾーン』の『2万フィートの戦慄』というエピソードだとか。

7500(字幕版)

7500(字幕版)

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