オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ザ・レジェンド』

Outcast, 98min

監督:ニコラス・パウエル 出演:ヘイデン・クリステンセンニコラス・ケイジ

★★

概要

十字軍の騎士が中国で無双する話。

短評

これはニコラス・ケイジ詐欺……と思っていたら後から登場したが、主役はヘイデン・クリステンセンの方である。彼は相変わらず滑舌が悪く、「英語を聞き取れないと演技の良し悪しも分からない」という不安を解消してくれるが、一言も中国語を話さない中国人たちに比べると上手に英語を話している。やれやれ系主人公による異世界転生もののような物語には一切の見所がないが、元アナキン・スカイウォーカーがソード・バトルで良い動きを見せていたり、ニコラス・ケイジが生え際の位置の分かりやすい髪型をしている点は楽しめた。

あらすじ

12世紀の中東。十字軍遠征に参加する二人の騎士、ジェイコブ(ヘイデン・クリステンセン)とガレオン(ニコラス・ケイジ)。延々と続く殺戮の日々は、ジェイコブを血に飢えた狂戦士に、ガレオンを戦いの意味を見失った男へと変えてしまう。それから三年後の極東地域。皇位継承を巡って争いが起きており、死にゆく父から指名を受けた次男ジャオと姉のリオン(リウ・イーフェイ。実写版ムーラン)を、皇位を狙う長男シンが追っていた。追っ手に捕らえられた二人を極東に流れ着いていたジェイコブが助けたことから、三人は行動を共にすることとなる。

感想

やれやれ系主人公のジェイコブ。酒場でアヘンをキメているところにジャオたちが現れ、追っ手に剣を奪われたので取り返すついでに助ける。共に行動するように乞う二人を無視して立ち去るが、なんだかんだで戻ってくる。道中で村が襲われているのを目撃し、ジェイコブは無視して立ち去ろうとするが、ジャオが何も出来ないくせに「助けなきゃ」と喚くので、再度“仕方なく”助ける。一事が万事この調子である。「仇を討ちたいから弓を教えて」と乞うジャオにも「嫌だ」と言いながら結局は教えており、悪ぶってかっこつけるのがテンプレを通り超えて一種のツンデレキャラみたいになっていた。

ジェイコブに戦いを教えたガレオンもまたやれやれ系である。戦いに嫌気の差した彼は東へと逃げ、ジェイコブは彼を追って中国に流れ着いたのだった。現地でホワイト・ゴーストと呼ばれる盗賊になっていた彼は、ジェイコブたちを窮地から救って共に戦うよう求められるが、「嫌だ」と返す。そこにシンの軍勢が現れて、やはり“仕方なく”共に戦うのであった。彼がせっかく武蔵坊弁慶的に身体を張って三人が逃げる時間を稼いだのにノコノコ出てくるジェイコブたちは無能極まっていると思うが、ガレオンを部下たちに倒されて退屈したシンが自らジェイコブを倒そうとして逆にやられるのは、想像を絶する阿呆だと思う。

ジャオが「僕なら国を変えられる!」と根拠なき自信を持つクソガキであるため、彼のために命を賭して戦いたくならない。これが“仕方なく”の理由とも言えるが、もう少し工夫が欲しかった。せめて頭の良さの片鱗くらいは見せればよかったのにと思うが、せっかくハリウッドスターを二人も中国に招聘したのだから、見せ場を現地人にくれてやるのはもったいないということなのか。

ヘイデン・クリステンセンは髭が薄く、また面積も狭いため、ワイルド系のキャラクターは似合わない。外見の問題については、追手を避けて隠密行動しているはずなのに、リオンが白の綺麗な服を着て目立ちまくっているのは何とかすべきだったと思う。白人と行動するのも目立つだろうが、これは他に頼れる人がいないという次期皇帝らしからぬ人望の貧弱さで納得するしかない。

日本語字幕では「皇帝」だが、英語の台詞は「king」である。12世紀と言えば宋の時代であり、皇帝と呼ばれる人は歴史が決めてしまっている。従って、原語の通りに「王」と訳した方がよかったのではないかと思う。こちらならば中国地域内のどこか辺境の国という設定が通用する。いずれにせよファンタジーなのだけど。

ザ・レジェンド(字幕版)

ザ・レジェンド(字幕版)

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