オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『デビルクエスト』

Season of the Witch, 94min

監督:ドミニク・セナ 出演:ニコラス・ケイジロン・パールマン

★★

概要

脱走兵が魔女疑惑の女を修道院に護送する話。

短評

意外にもちゃんと中世ダークファンタジーの雰囲気になっているので楽しんでいたら、終盤に力尽きて最後はガクッとチープになった一作。所詮はB級映画なので色々とダメな部分はあるものの、(ニコラス・ケイジ主演作の基準では)ギリギリ及第点に届きそうだと思ったのに、最後の印象が悪過ぎる。悪い意味でコメディ化している。ニコラス・ケイジは“若いイケメンがしていたら王子様に見えそうな金色の長髪”をしているのだが(特に登場シーンがキラキラしている)、何故かそれだけで少し面白い。

あらすじ

十字軍遠征に参加し、酒と女と戦いの日々を送ってきたベイメン(ニコラス・ケイジ)とフェルソン(ロン・パールマン)の二人の騎士。女子供までをも殺す“神の戦い”に疑問を抱いた二人は軍を去るが、立ち寄った町で脱走兵として捕らえられてしまう。しかし、その町はペストの流行に苦しんでいた。それを魔女の仕業と考えた教会は、魔女の力を弱める“ソロモンの書”がある修道院へと魔女を送ることに決め、二人は罪の赦免と引き換えに護衛を務めることとなる。

感想

いくつかの(それほどでもない)苦難を乗り越えて修道院に辿り着いたら……、衝撃の展開が待っているという話なのだが、邦題が盛大にネタバレしている。魔女(クレア・フォイ)だと思われた女が実は悪魔で、ソロモンの書を滅ぼすために修道院へ誘導されていたのである。(魔女が実際に魔女的能力を有しているなら)三十郎氏にとっては魔女も悪魔も大差ないファンタジーな存在に思えて、いまいち衝撃の展開ではないのだが、力量や“格”が全く異なるようである。キリスト教圏的には、悪魔の力ならばペストを流行させることにも納得できるのか。

しかし、本作最大の問題は、この凄いはずの悪魔が驚くほどにショボいことである。せっかく人間の形を捨てて悪魔らしい姿を現したのに、羽の生えた醜い怪物でしかない。これが悪魔的な強さを見せるわけでもなく、ベイメンやフェルソンと“肉弾戦”を演じている内にソロモンの書が読み上げられ、あっさりと消滅してしまう(しかも読むのが神父ですらない)。よっわ……。これなら弱々しい人間の女の姿をしていながら稀に非人間的な力を発揮している時の方が、そのギャップから強そうに思えたくらいである。人間の心を操るという強力なスキルを見せたのも人間バージョンの時だった。悪魔化した後に見せるスキルは飛行と焼却くらいのものである。あの陳腐なビジュアルでかつ弱いのであれば、女の姿のままでよかったのではないか。それなら三十郎氏は簡単に誘惑に屈する。

修道院への道中における最大の試練は“苦悩の森”なのだが、ここではオオカミの群れが出てくるというだけで、しかもそのオオカミが鈍重である。ここを切り抜けるためにハガマー(スティーヴン・グレアム)という詐欺師を同行させたくらいなのに、大した見所になっていなかった。それよりも腐った吊り橋を渡るシーンの方が普通にハラハラできた。

他にも、クライマックスの悪魔及びゾンビ化した修道士たち(壁を這い上がる姿がゴキブリみたい)との戦いよりも序盤の十字軍遠征の方が戦闘シーンとしてはクオリティが高い。以上の三点に共通するのは、本来の見所となるはずの場面よりも他のシーンの方が出来が良いということである。「それなりにいけるじゃん」と期待を高めておきながら、肝心の場面ではガッカリということになってしまう。力の入れ方のバランスが非常に悪かった。

終盤のCGは“逆に衝撃の展開”というレベルで質が低いが、それ以外のセットや衣装等は、推定4000万ドルの予算を費やした準大作映画らしく良く出来ている。結局はニコラス・ケイジがヒーローになってしまういつものB級映画なのだが、舞台がちゃんと中世になっているだけでも新鮮味があるのは良い。ペストマスクも出てくる。

デビルクエスト (字幕版)

デビルクエスト (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video