オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『トゥ・ヘル』

Between Worlds, 90min

監督:マリア・プレラ 出演:ニコラス・ケイジフランカ・ポテンテ

★★

概要

恋人の娘に死んだ妻が憑依する話。

短評

ストーリーはほどほどに破綻していて意味不明だが、「フォーッ!!」と大声を上げて自作の詩を朗読しながら交わったり、最後には完全にイッてしまったニコラス・ケイジの演技が面白い一作である。オカルトのような設定だがホラーではなく、一応は超常系スリラーのはずだが全くハラハラもせず、もっこりパンツにTシャツ姿のニコラス・ケイジを笑うコメディである。彼がこの格好をしている時は「酷い」の一言だが、共演のペネロペ・ミッチェルが同じ格好で乳首ポッチしている時はとってもセクシー。

あらすじ

妻メアリー(リディア・ハースト)と娘サラを亡くし、落ちぶれた生活を送っているトラック運転手のジョー(ニコラス・ケイジ)。ある日、トイレで首を絞められている女を見つけて助けるも、彼女は襲われているのでも首絞めプレイを楽しんでいるのでもなく、幽体離脱していたのだと言う。その女ジュリー(フランカ・ポテンテ)の娘ビリー(ペネロペ・ミッチェル)が事故で意識不明に陥っており、あちら側の世界に行って助けるのだと。ジョーの首絞めによりビリーは無事に蘇生するが、どうも様子が可怪しい。

感想

ビリーの中にメアリーが乗り移っていたという話である。首絞めトリップに成功したことからジョーとジュリーは仲を深め、「妻子を亡くして以来だからやり方を忘れたかも……」と言いながら交わる。ところが、ビリー(=メアリー。メアリーはメアリーの姿でも出てくるので、ビリーの姿をしている場合はビリー表記)がジョーを誘惑して、三角関係が出来上がってしまう。となるとジョーはビリーとも交わるわけだが、そこから先の二つの演出がとても面白い。

ビリーの中身がメアリーだとジョーがあっさり信じた理由は置いておくとして、ダルダルに弛んだ身体の熟女が相手でも久々のセックスを楽しめたかと思えば、次は若い美女が誘惑してくる(ジュリーの前で手淫するシーンがエロい)。最高である。しかし、一度そちらを味わってしまえば、二度と熟女の相手には戻れない。ビリーとのセックス後にジョーとジュリーが交わるシーンがあるが、それまでの激しさから打って変わって、ジョーが全く気乗りしない。気の毒ではあるが、これは仕方のないことである。マッカランの後にトップバリュウイスキーは飲めない。

ビリーとの情事の最中にジュリーが帰宅し、ジョーは「あれはメアリーなんだ」と弁解する。完全に意味不明でしかない言い訳を使えてしまう彼を尊敬する。しかし、ジュリーの方も「首絞めされると幽体離脱できるの」とか言ってしまう人なので、なんとその弁解を全く疑うことなく信じるのである。あたかも自然な展開のように描かれているが、しれっと超展開だと思う。恋人が娘と交わっている姿を目の当たりにした直後に「メアリーを追い出すわ。首を締めて」と切り替えられる女性はそうそういるまい。

外見は恋人の若い娘であり、中身は自分の妻であるビリーと激しく交わるジョー。ニコラス・ケイジ作の『記憶』なる桃色な詩(本の表紙に『MEMORIES BY NICOLAS CAGE』と本当に書かれている)を朗読プレイして快哉を叫ぶという最高にキマっている交合描写だった。ジュリーとビリーの頂上が巧みに隠されているので(お尻はバッチリ見せてくれる)、女性監督が性を売り物にしたくないのかと思ったが(この映画でその抵抗に意味はあるのか)、メアリーだけは普通に見せている。一体なんだったのだろう。なお、メアリーも凄い美人であり、ジョーがジュリーとの情事を期待したのは、よっぽど飢えていた証拠だと思う。お腹が減っていれば何でも美味しい。

ビリーは「あの女は邪魔」とジュリーを敵対視し、殴って気絶させる。その後、彼らはビリーの恋人マイクの家を襲撃してクスリと金を奪い、焼けてしまった元の家へと向かう。そこをジュリーとマイクが襲撃し、彼らは銃を手に睨み合う。その中央にいるジョーは完全にキマっていて、「サ~ラ~」と言いながらフラフラと歩いていく。この表情が秀逸である。彼はそのまま焼身自殺するのだが、「心頭滅却すれば火もまた涼し」状態になっていて笑える。

トゥ・ヘル(字幕版)

トゥ・ヘル(字幕版)

  • 発売日: 2019/05/10
  • メディア: Prime Video