オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『OSIRIS/オシリス』

Science Fiction Volume One: The Osiris Child, 98min

監督:シェーン・アビス 出演:ダニエル・マクファーソン、ケラン・ラッツ

★★★

概要

植民惑星で怪物が暴れる話。

短評

オーストラリアのSF映画。SFというジャンルをSFと認識できるかは映像のクオリティに依拠するところが大きく、ハリウッド以外で製作されたものはSFとは呼び難い残念な作品も多かったりするのだが、本作は映像面でちゃんとSFらしい世界を構築できていた。各国の映画産業がしっかりと成長している証拠である。オーストラリアには“他所の惑星”を感じさせるようなロケーションが存在するのも強い。ストーリーの荒さやビジュアルの既視感は目立つものの、それなりに楽しめた。

あらすじ

とある植民惑星で強制労働に従事させられている囚人たちが反乱を起こす。彼らは要求が受け入れられなければ原子炉を爆破すると脅迫。しかし、実際には軍事目的で開発された怪物の暴走によるもので、惑星の司令官リネックスが事実を隠蔽するために爆破しようとしているのだった。その事実を知ったケインは、娘インディ(ティーガン・クロフト)が地上の首都オシリスに取り残されており、上空の基地型都市フローティアから救出に向かうのだった。

感想

舞台が地球ではないが、地上と上空で住む世界が分けられているという発想は『エリジウム』に近い。上空の世界は、清潔で未来的な宇宙船。一方の地上は、『マッドマックス』的な“ヒャッハー!”感漂う荒れた世界である。上空の方が“いわゆるSF”っぽい感じのビジュアルで楽しいのだが、物語の大半は地上でロードムービー的に進行する。ここは正直SFらしさを感じないものの、たまに映る風景が地球っぽくない大自然の奇跡な感じで楽しい。フローティアをもっと細部まで見てみたかったが、きっと予算の都合があるのだろう。

荒野の移動がメインではSF感のないショボいSF映画と同じになってしまうが、そこにアクセントをつけるのが回想編である。本作は全7章の構成となっており、ケインが地上で出会った自称看護師(=脱獄囚)サイの過去が挿入される。怪物が解き放たれた経緯の話である。彼が収監されていた刑務所はいい感じにディストピア感が漂っており、特に独房が素敵だった。筒状の独房はハムスターが遊ぶ“くるくる”のように回転しており、内部で休むことができない。気が狂いそうである。囚人が暴動を起こした時に鎮圧に当たる衛兵が剣道の防具そのものなコスチュームを着ていた。本国での伝統が他国では未来的に見えるというのは面白い。

決定的に残念だったのは、荒野と上空の中間に当たるはずの首都オシリスの描写がほとんど無い点。タイトルにもなっているのに……。インディ救出のために立ち寄りはするが、怪物により壊滅させられている上、インディの家周辺以外は全く出てこない。この街の描き方次第でSF描写に奥行きを出せた気もするが、やはり予算の都合があるのだろう。

スター・ウォーズ』の影響がありありと分かる一作である。酒場のシーンについては言うまでもなく、怪物のビジュアルは人間サイズのランコア(EP6でジャバが地下に飼ってるアレ)そのものである。これまたスター・ウォーズ的なドッグファイトもあったりして、予算が足りないなりに映像的に楽しくなる点を抑えていた印象である。

原題には「Volume One」とある。理屈は分からないが飼いならされた怪物サイと逞しく育ったインディが、フローティアに戻ってリネックス司令官や軍需企業エクソールに復讐するのだろうか。舞台がフローティアとなると予算の高騰が避けられないので、続編製作は厳しいかな。

OSIRIS/オシリス(字幕版)

OSIRIS/オシリス(字幕版)

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