オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『シャザム!』

Shazam!, 131min

監督:デヴィッド・F・サンドバーグ 出演: ザッカリー・リーヴァイ、アッシャー・エンジェル

★★★

概要

14才の子供が魔術師の力を授かる話。

短評

DCEU第7作。『アクアマン』は既に感想を書いており、『ワンダーウーマン』と『ジャスティス・リーグ』は改めてレンタルして観たいほど好きではないのでスキップである。MCUで言えば『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』に該当するユニバースの変わり種とでも言うべき作品なのだが、初期の映画以外はすっかり明るくなったので、そこまで変種という感じはしない。「少年が偶然にヒーローになったら……」という設定は、悪役や周囲のキャラクターも含めて手堅くまとめられていたと思う。

あらすじ

1974年、ニューヨーク。サド少年は、魔術師シャザムに拉致されて「ワシの魔力を授ける」と言われるも、“純粋な心”と“強い精神力”の二つの条件を満たせずに失格となる。時は流れて現代。大人になったサド(マーク・ストロング)は、同じ体験をした人々から証言を集め、再び魔術師の宮殿へと辿り着く。サドに魔物の力を解き放たれたシャザムは、「彼と戦う勇者を早急に見つけねばならぬ!」ということで、ビリーという少年に白羽の矢を立てる。

感想

かつて安易に継承者を選出して失敗した経験から選り好みを繰り返していたシャザムだったが、ビリーに決める経緯は緊急時なので雑そのものである。周囲の人々のおかげもあって彼がちゃんとスーパーヒーローへと成長して良かった。一歩間違えていれば(この先間違うかもしれないが)、問題児の前任者と同じ事を繰り返していたかもしれない(その時はスーパーマンにお仕置きされるだろうか)。

雑に選ばれたビリーとは対称的に、選ばれなかったサド。ヒーローの集合映画に出てくるヴィランには“戦わせる相手役”以上のキャラクター性が存在しないことも多いのだが、本作は単独のオリジン映画ということで、必然性を伴ったキャラクターだったと思う。ビリーが力を授かったのは全くの偶然と言ってもよく、スパイダーマンと同じく力を得た後の成長が重要となる。元は普通の少年である。その偶然性を強調するのがサドであり、またサイドキックのフレディが補完するのであった。

シャザムのコスチュームは異常なまでにダサい。赤色のもっこりスーツに白のマント。おまけに胸にはシンボルの稲妻マークがピカピカと光っている。やたらとPCを光らせたがるオタクじゃないんだから。「自分で選べなかったのかもしれない」と弁解するビリーが気の毒だった。魔術師のセンスが疑われる。

『アクアマン』のジェームズ・ワンに続き、本作のデヴィッド・F・サンドバーグもホラー映画畑の出身である。企画段階ではDCEU初期のダーク路線の予定で起用したのだろうか。前者はそうすることもできるだろうが、完全にコメディの本作はダーク路線の想像がつかない。魔物のビジュアルと宮殿から逃げる時の扉にはホラー映画のセンスが活かされていただろうか。

「子供が大人になったらしたいこと」で、「ビールを買う」に続いて「ストリップクラブに行く」が登場するのが好きだった。思春期である。他にも強盗に撃たれて喜んでみたり、フレディと共に能力をテストするシーンも楽しい(BGMの『Don't Stop Me Now』もハマっている)。一方で、戦闘シーンは普通のヒーロー映画の枠に収まっており、他の映画との差別化に失敗していた印象である。

ラストのスーパーマンヘンリー・カヴィルカメオ出演ではないようだが、同じ質問が多かったのか監督が彼の顔を追加した映像を公開している。EDロール後のおまけ映像に登場する虫は何者なのだろうか。単純に本作の続編へと繋がるのだろうか。それとも『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』発信のサノスと同じく意外な場所から『ジャスティス・リーグ2』のヴィランが現れるという展開になったりするのだろうか。

映画に出てくるイジメっ子は、被虐者階級ナードやギークとの対比で、その多くが勝ち組ジョックである。勝ち組なのでこれまた勝ち組クイーンビーの恋人を連れていることも多いのだが、本作のイジメっ子はいつも男二人組で行動しており、挙げ句は二人仲良く並んで観覧車に乗っている。なんてロマンティック。きっとゲイである。里子家族という設定によりヒーローの人種的多様性を確保していたが、思わぬ場所で性的指向の多様性まで登場させていた。これくらい自然に溶け込ませたのは上手いと思う──なんて思ったら、二人は兄弟だった。いや……まさか……禁断の……(同性なら遺伝上の問題が生じないから禁忌でもないのか)。

シャザムとサドの戦闘で破壊される像は、ウィリアム・ペンという人のもの。彼の業績の中にはネイティヴ・アメリカンの迫害に寄与したものもあるようなので、今の世の流れだと本当に破壊されるかもしれない。いずれはアメリカ建国史から一人残らず偉人が消失することになりそう。悪の国アメリカ。

最後に魔物を封印すべく隠れ家としての宮殿に入っていたが、サドが扉に刻んだ記号を映像記憶できる能力の持ち主でもいたのだろうか。メアリーがCaltechに入学してしまったら、次作は五人体制で戦うのだろうか。六人でも椅子が一つ空いているのも気になる。他にも、シャザム以外のヒーロー名が「スーパー○○」という雑さのようなのは大丈夫なのか。

シャザム!(字幕版)

シャザム!(字幕版)

  • 発売日: 2019/07/24
  • メディア: Prime Video