オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『マン・オブ・スティール』

Man of Steel, 143min

監督:ザック・スナイダー 出演:ヘンリー・カヴィルエイミー・アダムス

★★★

概要

クリプトン人が地球に来る話。

短評

DCEUの第一作(この時点でユニバース構想があったのかは知らないが)。「ダークで、スタイリッシュで、格好いい映像を撮りたい!」という監督の欲望に忠実な映画化作品となっている。「ジメジメしていて暗いのがスーパーマンらしくない」という声もあるようだが、三十郎氏はスーパーマンのキャラクターに思い入れがないので問題ない。また、三十郎氏本人がウジウジしているため、主人公がウジウジしている話も好きである。説明をすっ飛ばしていたり、ビジュアルに全振りで何をしているのか分からないシーンもあるが、一応は勢いと迫力で押し切れていると思う。

あらすじ

過度な資源採掘によりクリプトン星に地殻崩壊が迫っていた。ジョー・エル(ラッセル・クロウ)とララの夫妻は、数百年振りに自然出産で誕生した息子カル・エルを地球に送り出す。時は流れ、カンザス州でジョナサン(ケビン・コスナー)とマーサ(ダイアン・レイン)の夫妻にクラーク・ケントヘンリー・カヴィル)の名で育てられたカル・エル。彼が自身の出生の秘密を知った時、崩壊するクリプトン星から反逆罪で追放されていたことで難を逃れたゾッド将軍(マイケル・シャノン)が地球へとやって来る。

感想

冒頭のクリプトン星のシークエンスの後は時系列がバラバラで、本編である大人クラークの話を進める間に少年クラーク時代の回想が挿入される。初見でスーパーマンのことをよく知らない時には時系列順に説明してほしいと感じたが、改めて観るとバラバラにして正解だったように思う。少年時代のクラークは、能力を制御できずに苦しんだり(皮膚じゃなくて服だけ透過できればよかったのに)、「力を隠すために見殺しにしなくちゃいけないのか」と悩んでばかりである。力をなるべく隠したまま大人になったので、必然的に少年時代には大きなイベントが存在しない。大人クラークが観客にスーパーパワーを見せつける(トラックの破壊が好き)合間に挿入されると箸休めになるが、時系列でまとめると退屈さに負けてしまうところだっただろう。

スーパーマンが超人的な力を得たのは、「太陽のおかげだ」と雑に説明されていた。クリプトン人が皆スーパーマン的な力の持ち主なら、巨大な発電機を人力で回してエネルギー問題を解決できそうだと思ったが、そうもいかないらしい。その説明をしてくれるのは、船に出現する実の親ジョーの残像である。ゾッドが「こいつを消す方法は?」とAlexa的なAIに質問していて、古いOfficeソフトに出てくるイルカを思い出した。あのイルカと同等だと考えると、偉大な父が途端に鬱陶しいだけのおっさんに見えてくる。イルカみたいな父の導きにより、クラークはスーパーマンのスーツを得る。試着して空を飛ぶ時にそれまで生やしていた髭がなくなっているのだが、いつの間に剃ったのだろう。たとえダークな雰囲気に仕上げようとも、あのスーツに髭の組み合わせはご法度なのか(モジャモジャの胸毛は男らしさの象徴だからOK?)。

御存知の通りスーパーマンはとにかく強い。ゾッド将軍の襲来によって訪れるのは“地球の危機”であって、スーパーマン本人の命の危機は一切感じなかったように思う(一番危険だったのはゾッドの船で空気が合わなかった時か)。あまりに強過ぎて対人戦では危機感が出ないのか、アクションシーンの大半は周囲を巻き込んで破壊の限りを尽くすことになる。ゴチャゴチャしていて何をしているのか分からないくらいに迫力満点である。誕生秘話からスーパーマンとして活躍するようになるまでが一通り理解できるオリジン的なストーリーはあるものの、このドッカンガッシャンこそが本編である。人助けキャラらしくない演出なのかもしれないが、地球クリプトン化計画で物体が浮いたり落ちたりしたり、建物が粉々に砕け散る描写はやはり格好いいので、「これはザック・スナイダーの映画なのだ」と割り切るべきかと思う。

クラークはカンザスの男である。チーフスの試合をテレビで観戦し(昨シーズンのSBはおめでとう)、ロイヤルズのTシャツを着ている。悩んでいる姿よりも人間味を感じる描写である(どちらもミズーリ州がホームタウン扱いのようだが)。というわけで、ニューヨークには何の思い入れもないためなのか、景気よく高層ビル郡を破壊していく(地元カンザスでも「よくも母を脅したな!」とマザコンパワーを発揮して暴れるが)。配慮の無さが逆に気持ち良いくらいである。しかし、これだけ好き放題に暴れると、周囲には「助けてくれてありがとう」という人間ばかりではなく、次回「バットマン、怒る」へと続く。

ロイス・レインエイミー・アダムス)はニコンD3sユーザーだった。好感度アップである。果たしてニコンフラグシップ機の堅牢性は、船内ロボットの襲撃に耐えられただろうか。ロイスの体格でD3sと大口径ズームレンズとクリップオンストロボの組み合わせだと、相当に重くて扱いづらいだろう。

最後にメガネを掛けてデイリー・プラネット紙の記者となるわけだが、一体どれくらいの人があの変装で周囲にバレないことに納得しているのだろう(能力面での設定はあるらしいが)。

マン・オブ・スティール(字幕版)

マン・オブ・スティール(字幕版)

  • 発売日: 2013/12/18
  • メディア: Prime Video