オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ブラッドレイン 血塗られた第三帝国』

Bloodrayne: The Third Reich, 79min

監督:ウーヴェ・ボル 出演:ナターシャ・マルテ、ブレンダン・フレッチャ

概要

ハーフ・ヴァンパイアvsナチス

短評

人気(?)シリーズの第三作。「第三帝国」と「第三作」をかけたセンスある(?)タイトルの一作である。序盤の説明不足からウーヴェ・ボルらしいダメっぷりが全開なのかと思ったが、これはシリーズものであることを知らずに観たのが原因らしい。「そのダメさ加減が逆に……」と思えたり、桃色サービス精神は素敵なものの、本作を駄作と貶さないのは逆に失礼なのではないかと思わされる怪作だった。シリーズを追う毎にダメになっていくというのはよくある話だが、全てウーヴェ・ボル監督作なので、きっと最初からダメだったのではないかと思う。

あらすじ

吸血鬼の父と人間の母を持つハーフ・ヴァンパイア──“ダムフィア”のレイン(ナターシャ・マルテ)。200才を迎えた彼女は、人間でありながら悪魔よりも邪悪な存在──ヒトラーの台頭を目の当たりにし、ナチスと戦うことを決める。レインは強制収容所の司令官を串刺しにして殺害したが、その時に彼女の血が混ざってしまい、ナチスに吸血鬼司令官が誕生してしまう。

感想

父を抹殺したという主人公の複雑そうな生い立ちが台詞による説明でさらっと流され、OPクレジットと共に強制収容所への連行風景がダラダラと流れる。このバランス感の壊滅的な欠如がウーヴェ・ボルだと思ったが、シリーズものなら仕方がない。前二作を観ていない三十郎氏の問題である。ボル監督作だからといって何でもかんでも貶してよいというものではない。もっとも後者の描写の意味の無さについては変わらないと思うが。

レインが常に見せびらかしている巨大な谷間が気になって仕方がない。彼女が谷間を見せびらかさないのは、服を脱いで谷間以外の部分も見せびらかしている時だけである。ウーヴェ・ボルは“エロ”と“グロ”の二つを義務的に消化しなければならないと思っているらしく、恐ろしく唐突かつ強引な展開で彼女に脱がせるサービス精神が笑えた。

一度目は、レインがお忍びで娼館にマッサージを受けに行き、男に暴行されている娼婦を助けて、濃厚な無料サービスを受けるシーン。彼女の谷間が気になって仕方のなかった三十郎氏としては、服の中身が見られて非常に嬉しかった。彼女は通常時の露出具合が“健全なお色気”の範疇の逸脱しているので、見せてくれなければ欲求不満が酷いことになる。なお、女どうしで交わっている内に娼婦の一人(Safiya Kaygin)がナチスに密告し、襲撃を受ける際には行為が済んで着替えている。

二度目は、レインがナチスに拘束され、レジスタンスのリーダーであるナサニエルとベルリンに連行されるシーン。気を失っていたレインのおっぱいをナサニエルが触ると彼女が目覚め、そのまま交合へと突入する。随分と呑気な連中である。その先ではレジスタンスがダイナマイトを用いた襲撃の準備をしているのだが、襲撃が始まる際には、やはり行為が済んで着替えている。行為の最中に襲撃を受けたら(桃色的な意味で)面白かったのに。

吸血鬼化した司令官、レインの血を使ってヒトラーを不老不死化しようとする博士、そして吸血鬼化されたナチスの兵士たち。レインが戦う相手は彼らであり、残念ながら期待されたヒトラーとの対決はない。彼との戦いは、“俺たちの戦いはこれからだ!”エンドで放り投げられている。司令官に吸血鬼化された人権派ナチスの中尉(警察犬的に使用)が一般人にボコられていたりと、全然強くない吸血鬼が印象的だった。レインも劇中では強いということになっているが、予算が足りないのか動きは“普通の人間”そのものであり(アクションシーンの迫力はほぼ皆無)、回復力の高さだけが売りのようだった。

ヒトラー退治が目的だったはずなのに辺境の一部隊としか戦わないというスケール感のアラル海的縮小、「彼女がいなくなったらレジスタンスは終わりだ!」と言われた重要人物マルダ(アネット・カルプ)が吸血鬼化していると分かるやいなやの即殺害という矛盾、人間の特性を受け継いだダムフィアには対吸血鬼的攻撃(日光や聖水)が効かないという吸血鬼設定の無意味さ(代わりに敵は燃える)。そして何より自分が生み出したヴァンパイアが悪役という究極の自作自演。おっぱいの登場は無理やりだったが、それがなければとても観ていられない一作なのは間違いない。

ブラッドレイン 血塗られた第三帝国 (字幕版)

ブラッドレイン 血塗られた第三帝国 (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video