オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『スウィッチ』

Switch, 103min

監督:フレデリック・シェンデルフェール 出演: カリーヌ・ヴァナッス、エリック・カントナ

★★★

概要

自宅交換サイトに申し込んだら殺人の容疑者にされる話。

短評

人違い系サスペンスかと思いきやのアクションスリラー。最初は「流石に設定に無理があるだろう」とツッコんだが、予想の斜め上を行くワイルドな展開に楽しくなってしまった。最終的には「やっぱり無理があるだろう」な結末が待っていたものの、荒唐無稽なりにちゃんと話に決着をつけていたと思う。事件を捜査するフォルジャ警部を演じるのは、あのエリック・カントナである。普通に馴染んでいた。意外にも多くの映画に出演しているらしい。

あらすじ

仕事なし、恋人なしのカナダ人デザイナー、ソフィ(カリーヌ・ヴァナッス)。編集者の勧めでアパート交換サイト“スウィッチ.com”に申し込み、パリへとバカンスに出かける。ベネディクトと交換した家はエッフェル塔が見える豪邸で、一日目のパリ観光を満喫したソフィだったが、翌朝目覚めるとどうも気分が悪い。彼女がシャワーを浴びていると警察が踏み込んできて、自宅から発見された遺体の殺人容疑で逮捕されてしまう。

感想

色々とツッコミどころは多い。そもそも遺体が発見されていない状態で警察が扉を破壊してまで踏み込んでくることはないだろうし、逮捕時に権利も読み上げられない。「パスポートを確認すれば身元が分かるはず」「飛行機の乗客名簿に載っているはず」「サイトを確認すればいい」「近所の人に確認して」といった当然の要求は、ベネディクト名義のパスポート、名簿に載ってない、サイト消失、「皆ベネディクトだと認めた」というまさかの展開で返される(特にベネディクトの母まで「本人です」は酷い)。この時点でかなり無理があると思ったのだが、主人公のソフィがアクションスター顔負けの逃走劇を繰り広げるという更にまさかの展開でどうでもよくなった。

「歯の治療歴を調べて」というソフィの要求でフォルジャ警部(エリック・カントナ)が歯科医へと連れて行き、ソフィが歯医者を人質に銃を奪って逃走。強盗だってやってのける。なんてワイルドな!その後、彼女の母が「マラテール流よ」と車のトランクからショットガンを取り出してソフィ宅に乗り込むシーンで納得したのだが、彼女は相当にワイルドな家系であるらしい。犯人の八面六臂の活躍も遺伝的要因があるのかもしれない。

そこから先は、彼女の逃走劇と警察の捜査が並行して描かれる。フォルジャ警部との住宅街での追い掛けっ子ではデザイナーらしからぬ軽快な動きを見せており、思わず「すげえ!」と感心した。他人の住宅への侵入を繰り返して逃げるのはアクション映画によく見られる構図であるが(途中で情事の最中のカップルも出てくる)、追手を妨害するための過度な破壊を行わない点が女性らしくてスマートだった。これをやり過ぎると被害者としての性格が薄れてしまうので、アクション映画的にはよくてもスリラー映画的にはよくなかったりする。彼女の犠牲になるのは裏切り者のイラン人(パキスタン人)だけで十分。

結末は、ソフィの父がフランスで精子提供して生まれた子供がベネディクトで(ベネディクトって女性の名前にも使えるのか)、自分の不遇を嘆いた彼女が異母姉弟に復讐するというもの。彼女は「公平にするために家をもらった」と言うが、彼女が住んでいるのはパリの豪邸である。ソフィよりもよっぽど良い家に住んでいる。裕福な母との関係は悪かったようだが、殺人に駆り立てるほど恵まれていなかったとは言い辛い。なお、ベネディクトを演じるカリーナ・テスタは、母親と隣人の全てが見間違う程にソフィと似ているとまでは言えなかった。

人違い系サスペンスなら主人公をフランス語の話せるカナダ人よりも会話の通じない国の出身にするべきだと思ったが(英語だとフランス人も分かってしまうので、スペイン語しか話せないメキシコ人辺りが適当か)、アクションスリラーだったので得心した。

本作には合計三度にも及ぶ物語の進行とは全く無関係なシャワーシーンがある(その内の一度は湯船での入浴)。ソフィはその度に形の良い素敵なおっぱいを披露してくれる。これは完全にサービス以外の何物でもないだろう。ありがたやありがたや。とくと楽しませていただきました。

スウィッチ

スウィッチ

  • メディア: Prime Video