オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ポリス・ストーリー/REBORN』

机器之血(Bleeding Steel), 109min

監督:レオ・チャン 出演:ジャッキー・チェン、オーヤン・ナナ

★★

概要

ジャッキー・チェンvs人造人間。

短評

ポリス・ストーリー』とは名ばかりのSFアクション映画。(動けなくなったジャッキーのアクションを補うべく)ふんだんに使用されたCGは現代クオリティだが、中途半端なSF描写が浮きまくっている辺りは90年代クオリティだった。。原題を見れば分かるように本作のタイトル詐欺は日本の配給会社の問題である──と言いたいところだが、EDロールで『ポリス・ストーリー』の主題歌が流れるため、日本の詐欺業者に付け入る隙を与えた制作側にも一応の責任がある。

あらすじ

娘シーシー(Elena Cai)危篤の一報を受けて病院に急行するリン刑事(ジャッキー・チェン)。 しかし、人造人間研究者ジェームズ博士の保護任務に駆り出されてしまう。リンは博士を狙う人造人間アンドレとの死闘で重症を負い、シーシーは父に会うことなく死亡する。それから13年後のシドニー。『Bleeding Steel』というSF小説の出版を切っ掛けに、その元ネタとなったナンシー(オーヤン・ナナ)という少女に危険が迫る。

感想

ジェームズ博士は人工心臓と人工血液を開発し、この両者を組み合わせることで驚異の回復力を持つ無敵の兵士になれるとのことである。この設定自体は話を進めるためのマクガフィンのようなもので、あまり“SF”という感じのしない映画なのだが、悪役のビジュアルだけがとっても“SF”だった。

ラスボスのアンドレはヴォルデモート卿の如き白塗りハゲで、彼の部下の女戦士(テス・ハウブリック)は黒地に赤線の入ったテカテカスーツを、一般兵士は全身黒に青のピカピカ照明付きの戦闘スーツを着ている。このいかにも「悪の軍団です」みたいな衣装が周囲から完全に浮いていて、自分たちだけがSFの世界に生きている恥ずかしい人たちになっていた。その点は制作側も認識していたようで、銀行の貸し金庫に向かう彼らを見た客が「見てアレ!何のコスプレ?」とイジるシーンがある。

ジャッキーが命懸けのスタントから引退したのを知っているので、その点には最初から期待していなかった。最後のパラシュートにバウンドして着水するシーンなんかはCG合成丸出しではあるものの(特に着水後が凄くプール)、オペラハウス屋上の戦いと併せて、たとえCGの力を借りてではあっても“らしい”演出が見られて楽しかった。一方で、もう一つの“らしさ”であるコメディの部分は、ジャッキーが笑いを取らずにリ・スン(ショウ・ルオ)任せになっているのだが、こちらはスベり倒していて、見ているのが辛かった。

リ・スンが作家ロジャースの部屋に女装ストリッパーとして乗り込むシーン。おっぱいまでもが偽物でショッキングだったのだが、顔が映っていないシーンはボディダブルというわけではないのだろうか。すっかり騙された。女装男を見て「おおっ!」と思ってしまった自分が恥ずかしい。ボディチェックする警備員の「今度は俺にやらせろよ」の台詞に共感しさえしたのに……。

食事しようとすればビッチ白人から「あんた、英語喋ってんの?何言ってるのか分からないんだけど」、道を歩けば不良男たちから「コンニチワー!(日本語)」と徹底してアジア人差別される気の毒なナンシー。彼女の英語は三十郎氏にとってはむしろ聞き取りやすかったと思うが、抑揚に欠けるためなのか演技が下手なように感じられてしまう。母国語以外で演技するのは想像以上に大変なのだろう。悪夢と差別に悩まされるナンシーは気の毒だったが、いかにも怪しげな魔女や(ジャック・スパロウみたいな)催眠術師といった怪しげな連中を頼るのはいかがなもとかと思う(ストーリーの進め方としても強引)。錯乱状態に陥ったナンシーを鎮めるために魔女が彼女の服を開いて胸部に注射するシーンがあるが、これも顔と身体が一緒に映っていないのでボディダブルか。清純派アイドルかよ。あと、彼女におしゃぶりを咥えさせたのは監督の性癖なのか。

事件から13年。リンは頭が白くなり、シーシーは立派に成長していて、時間の経過が分かるのだが、リンの部下スー主任(エリカ・シアホウ)だけは13年前と全く同じビジュアルである。彼女は密かにジェームズ博士の研究を応用して肌を再生しているに違いない。

ポリス・ストーリー/REBORN(字幕版)

ポリス・ストーリー/REBORN(字幕版)

  • 発売日: 2019/05/08
  • メディア: Prime Video