オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ホテル』

Kleinhoff Hotel(The Passionate Strangers), 103min

監督:カルロ・リッツァーニ 出演:コリンヌ・クレリー、ブルース・ロビンソン

★★

概要

ホテルの隣室の男が気になって仕方がない女の話。

短評

エロ展開への流れが非常に強引なエロサス。サスペンスとしてそこそこ面白そうな設定ではあるが、クレリー嬢がなかなかエロモードに入らないので焦らされ、ようやくエロくなったと思ったらサスペンスを完全に放り投げた。これをサスペンスが無駄になってもったいないと考えるか。サスペンスなんてどうでもいいからもっとサービスしてほしかったと考えるか。それとも美しい裸体を拝めただけで満足すべきか。もっともツッコミどころの多さも古い桃色映画の魅力の一つである。あんまりシリアスだと、所詮は桃色目的なのに真剣に観てしまっているようで、却って恥ずかしい。

あらすじ

仕事でラゴスへと飛んだ夫を見送って自らの飛行機を乗り過ごしたパスカル(コリンヌ・クレリー)。仕方なく街に戻ってホテルに一泊する。ホテルの部屋は隣室とのコネクティングルームとなっており、なにやら物音が聞こえてくる。パスカルが扉の隙間から覗いてみると、そこには一人の男が。最初は女(ケイチャ・ルペ)を連れ込んでよろしくやっているだけかと思われたが、次にやって来た男はなにやらテロめいた話をしており、パスカルは男のことが頭から離れなくなる。

感想

彼女の便の離陸時間が迫っているので空港に急いだのに呑気に夫の飛行機を展望室で見送り、空港フロントに告げたものとは異なる学生時代に泊まったことのあるホテルに急遽変更する(街へのタクシーでふと思いつく)。パスカルはかなりのおバカさんである。飛行機の便は翌日に変更したはずだが、結局隣室の男(本名アレックス/偽名カール)と過ごして何泊かしている。飛行機は?仕事は?気にしたら負けなのか。

ホテルの隣室からテロめいた話が聞こえてきて、興味を持って男の後をつける。なんだかヒッチコック映画みたいな設定であり、後は本人が事件に巻き込まれれば……というところなのだが、巻き込まれ方が桃色オンリーである。男を尾行して、バーに一斉摘発が入り、パスカルも警察に連行される。そこで受けるべきは取り調べだと思うのだが、警察は「性病検査をするから服を脱げ」と。娼婦の客引きの場だったのか。

釈放されたパスカルはホテルに戻り、男のいる隣室に入って「あなたの相手は留置されてるわよ」と告げる。ここで「どうして部屋に入るのか」と悩んではいけないのだろう。映画はもう終盤に差し掛かっている。そろそろ二人が交わらなければ本編不在の一作になってしまう。たとえ展開が強引であろうとも、誰も望まない不毛な事態は避けねばならぬ。彼女を警察だと疑ったアレックスがここでも「服を脱げ」と言い出し、悠々と脱いだパスカルと交わる。この時、脱いだ後の戸惑っているような期待しているような表情が絶妙である。『ヒッチハイク』でもそうだったが、コリンヌ・クレリーは、たとえ他のシーンの演技が凡庸であろうと一瞬の表情で男を魅了する力がある。これは稀有である。三十郎氏の贔屓目であることは認める。

二人が交わった翌朝、再び二人が交わっていると、警察が昨日できなかったパスポートの確認に現れる。ここでパスカルは、裸の上にアレックスのシャツ一枚という破廉恥な姿で応対する。彼女が街で知人と訪れたカフェのウェイトレスも超ミニスカだったのだが、ホテルの隣室以上にチラチラが気になって仕方のない一作だった。

その後、パスカルのおっぱいに吸い付いたままアレックスは眠りに落ち、起きると「仲間に会ってくる」と言い出す。パスカルが「私とここに残って」と追いすがり、二人はまたも交わる。一度交わってからは交わってばかりである(羨ましい)。行為の後にパスカルが眠っていると、逮捕されるのが、それとも仲間を暗殺するのが怖くなったのか、アレックスは手首を切って死ぬ。目覚めたパスカルがホテルを去って終劇である。とんだ放り投げである。

エロが終盤だけでは観客が怒ると思ったのか、一応他にもエロシーンがある。アレックスと娼婦ペトラが交わるシーン(その前にアレックスがノリ気じゃなくてペトラが自慰)。パスカルとアレックスが廊下で遭遇し、部屋に入ったパスカルが鍵を開けたまま服を脱ぎ、裸で扉に寄りかかる(ストッキングは履いている)。そしてアレックスが部屋に入って……こない。後者は桃色映画らしい官能的なシーンだが、誘惑の仕方が意味不明過ぎて笑えた。なお、アレックスが入ってこないのでパスカルは一人でする。

コリンヌ・クレリーは裸体はいつも通りに大変に美しくて眼福なのだが、本作では髪型がビミョーだった。後ろ方向への妙なカールがかかったおばさん髪型である。濡髪になってカールが解けた状態の方がずっと素敵で、髪型によって大きく印象が異なることが分かる。現在、三十郎氏はバリカンを導入して坊主頭になっており、「これは大変に楽でよいな」と満足していたのだが、少しでもマシに見えるように工夫するべきなのかもしれない。