オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『監禁/レディ・ベンジェンス』

Bound to Vengeance, 79min

監督:ホセ・マヌエル・クラビオト 出演:ティナ・イヴレフ、リチャード・タイソン

★★

概要

監禁から脱した女が他の被害女性を救出にいく話。

短評

出だしは面白くなりそうな気もしたが、その先がダメダメだった一作。脱出から始まるという監禁映画らしからぬ大胆なプロットは魅力的だが、その後の主人公の行動原理がさっぱり意味不明である。その意味不明な部分が解き明かされていくのかと期待したら、そういうこともない。だいたいヒロインが下着を身に着けたままシャワーを浴びる映画なんてクソに決まっている。

あらすじ

何者かに誘拐され、監禁されていたイブ(ティナ・イヴレフ)。食事を持ってきた犯人をレンガで一閃し、家から脱出するも、周囲には何もなく、車の鍵も見当たらない。鍵を求めて家を捜索していると、自分以外の被害女性の写真を発見する。同じく見つけた銃を犯人に突きつけ、即席動物捕獲棒を首に掛けて、彼女たちの元へ連れて行くように要求する。

感想

監禁映画の常道と言えば、誘拐され、監禁され、暴行され(変態的に愛でられる場合も)、最後に犯人を倒して脱出する──の流れである。ところが、本作は「犯人を倒す」という最後の部分からスタートする。従って、一つ、脱出後にどうなるのか。二つ、監禁中に何があったのか。三つ、そもそもどうして監禁されたのか。これら三つの要素で物語を引っ張ることができる。一つ目をメインプロットにしつつ、二つ目と三つ目をサブプロットとして解き明かしていく物語は面白くなりそうなものだが、メインが完全に破綻しており、サブもそれを補完できていなかった。

最初に気に掛かるのは、犯人から車の鍵を手に入れたイブがどうして警察に行かないのかという点である。死をもって償わせようとするイブに対して犯人が「俺を殺すと他の女も死ぬぞ」と脅すが、これは彼女が警察を頼らない理由にならない。殺さなければいいだけである。彼女と一緒に誘拐された友人と思しき女性(後に妹ディランと判明。演者はディラン・C・トーマス)が出てくるので、その女性を見つけたくて暴走しているのかとも思ったが、彼女は(食事の分配の問題により)既に死亡している。この件についてイブに責任はないし、犯人も救出した女性も「警察に通報しないの?」と何度か言及するのに、彼女は自分で何とかしようとし続ける。この「どうして?」という疑問が最後まで解消されなかった。主人公に無理やり復讐ものをやらせたかっただけなのだろう。

一人目のニーナ(ステファニー・チャールズ)は錯乱して死亡。二人目のローラ(ダスティン・クイック)は「私の地位を乗っ取らせないわよ!」とイブに襲いかかって死亡。三人目のリー(ビアンカ・マリノフスキ)救出時や、その次に出てくる六人の女たちの証言により(彼女たちのためにリーが警察を呼ぶため、この世界に警察が存在しないというわけではない)、組織的な人身売買が浮かび上がってくる。また、犯人とローラの関係からは監禁行為の洗脳じみた一面が見え隠れする。これらはサブプロットの方に繋がりそうな面白い要素なのだが、特に掘り下げられることもなく、主人公がどんな目的で行動しているのかよく分からないメインプロットに吸収されるだけで終わってしまった。

誘拐されたイブを六ヶ月間捜索して失職し、他の似た事例も調べていた恋人のロニー。諦めて別の女と付き合いだしただけかと思いきや、どうやら犯人一味に丸め込まれて、同様に被害女性を監禁している。……なんでやねん。流石に無理があるだろう。どうしてこんな無茶な展開になったかと言えば、主人公の最終的復讐のために犯人の住所を吐く役が必要であり、かつての恋人が裏切り者であれば、悔悟と同情と念から自ら進んで情報提供してくれるというわけである。三十郎氏は納得できない。

監禁/レディ・ベンジェンス (字幕版)

監禁/レディ・ベンジェンス (字幕版)

  • 発売日: 2016/02/03
  • メディア: Prime Video