オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ベラ bella』

Meine allerschlimmste Freundin(My Worst Best Friend), 88min

監督:ジョッシュ・ブロエッカー 出演:ローラ・ベルリン、トム・ベック

★★

概要

赤毛の人形が喋る話。

短評

ドイツ版『テッド』である。同作よりも後に製作されているので、ほぼ間違いなくパクリ企画なのだろう。テディベアが赤毛少女の人形となり、主人公も女性になっている。人形に下品な言動をさせるという基本設定はそのままなのだが、人形のビジュアルがテッドのように「可愛いのか可愛くないのか微妙なライン」に届いていない「可愛くなさ」であり、彼女の言動も「下品で笑える」に届いていない「ただ下品で性悪なだけ」である。主人公がとっても美人な点だけは良かった。

あらすじ

親も友達も大きな胸もない哀れな少女ヤナの元に一体の人形が届く。それは喋る人形ベラだった。時は流れ、ベラはヤナの元を去り有名スターとなるも、やがて飽きられ、放蕩生活が祟って破産する。一方のヤナ(ローラ・ベルリン)は、同じ孤児院で育った恋人ウォルフガングとの結婚を控えていた。

感想

喋る人形が普通に存在する世界ではないらしいが、ベラは最初から普通に喋っていて、周囲が驚く様子もない。喋る能力を獲得する回想シーンもなければ、スターとして活躍していた描写もないため、なんだか続編を観ているような出だしで戸惑った。物語は、破産した彼女がヤナの家に転がり込んでトラブルを起こすところからスタートするため、ただ「ヤナとベラの二人は親友」だと言われても関係性がよく分からず、それが映画全体に悪影響を与えていたと思う。

豊胸し、コカインを吸い、乱交するベラ。「思いつく限り下品にしとけ」という印象である。本作はテレビ映画として製作されたようなのだが、ドイツの放送コードは緩いらしい。彼女の“イヤな奴”ぶりばかりが際立っていて、最後の大団円的展開に至っても、“なんだかんだで良い友達”という印象は受けなかった。

これは三十郎氏が男性だからという理由もあるのかもしれない。ヤナはウォルフガングしか男性を知らないのだが、奔放で男性経験豊富なベラが「あんな男はやめとけ」「結婚前に他の男も味わっておけ」とお膳立てし、イケメン配達員シドと浮気する。それを後悔したヤナが「シドと浮気した。でも気持ちよくなかった。分かってくれるわよね」とウォルフガングに告げるのだが、分かるはずがない。

ウォルフガングも孤児院時代に浮気していたり、彼の堅物・自己中ぶりを強調することでバランスを取っているものの、男性視点だとベラは邪悪な存在でしかない。ヤナ程の美人が婚約者の他に男を知らないという例は極端だと思うが、マリッジブルーに陥った友人の火遊びを後押しするというのは女性的には普通の感覚で、三十郎氏よりはベラのことを好意的に感じられるのだろうか。確かに男友達であっても「結婚前に遊んどけ」と無責任に勧めるだろう。しかし、「あんなつまらない男との結婚はやめとけ」は言い過ぎであり、(ヤナにもその意思はあっただろうが)本人の意志を無理やり捻じ曲げようとしているようにも感じられたため、やはりベラのことは好きになれないのだった。

もしかすると、ベラはマリッジブルーの女性を誑かしたい男にとっての理想的な悪魔なのかもしれない。そう考えなかった三十郎氏は善人である。「※ただしイケメンに限る」的展開に自己投影できなかっただけなのは認める。

“下品な人形”という作品の核の部分では笑えなかったのだが、ヤナにゲロを吐きかけられたり犬の糞に着地したベラが、コインランドリーに直行させられている人形的描写は笑えた。

ドイツ人は、ウインナーを茹でるのではなく焼いていた。

ベラ bella(字幕版)

ベラ bella(字幕版)

  • 発売日: 2018/08/10
  • メディア: Prime Video