オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ヒトラーを殺す42の方法』

42 Ways to Kill Hitler, 48min

監督:ジョン・テイラー 出演:アドルフ・ヒトラー、エリック・トンプソン

★★

概要

失敗に終わったヒトラー暗殺計画。

短評

実に42にも上るヒトラー暗殺計画を紹介するドキュメンタリー映画ヒトラーの記録映像に再現映像や検証映像を交えて、計画の内容や失敗理由が分かりやすく説明されている。普通に面白かったのだが、果たしてこれを“映画”として扱ってよいものか。映画というよりも完全にテレビ番組である。実際にテレビ映画として制作されたようだが、日本国内では映画館で上映され、映画として配信されている。テレビで眺める分にはよいが、お金を払って映画館で観たら「えっ……」となるだろう。

あらすじ

歴史上最も嫌われている男アドルフ・ヒトラー。彼の暗殺計画は実に42にも上る。その初期は計画不十分で失敗に終わったが、徐々に計画が巧妙化していきヒトラーへと迫る。しかし、ヒトラーは驚異の悪運で生き延びる。

感想

初期の計画は、単純な襲撃や、花束に仕込まれた毒、爆弾の搭載された万年筆というものである。これらはあっけなく失敗に終わり、却ってヒトラーの警備強化を招く結果となる。

最初にヒトラー暗殺に肉薄したのは、神学生のモーリス・バヴォー。ナチ党のパレードでヒトラーを射殺しようと試みるが、群衆が邪魔で撃てずに終わる。彼の所持していた銃と実際の距離関係から、命中させていれば十分に命を奪えたことが検証される。彼の失敗により、その後のパレードが中止される。

次に肉薄したのは、家具職人のゲオルク・エルザー。『ヒトラー暗殺、13分の誤算』のモデルとなった人物である。彼は演壇の背後の柱に時限爆弾を仕掛けるも、ヒトラーの演説が1時間前倒しされたことから失敗に終わる。爆発したのは、ヒトラーが去った13分後のことである。彼が最も惜しかったのではないかと思う。彼の失敗により、爆発物の販売が制限される。

その後、ポーランド人による爆弾不発やソ連が送り込んだ女優のオルガ・チェホーワ、イギリスの狙撃計画中止と失敗が続き、遂にナチス高官が動き出す。最も有名なのは、『ワルキューレ』として映画化されたシュタウフェンベルク大佐だろう。彼は会議室での爆発を成功させるも、ヒトラーは軽症に終わる。失敗原因は、爆弾を置いたテーブルが頑丈だったことと爆薬の量が予定の半分だったこととされ、爆薬の量が予定通りであれば殺害可能であったと爆発実験で検証される。

もっとも「この時点でヒトラーを殺しても“時既に遅し”で、後継者もいて無意味だっただろう」と結論付けられている。まとめて始末する『イングロリアス・バスターズ』方式しかなかったのだ。

しかしまあ、よくもこれだけの暗殺計画を生き延びたものだと悪運の強さに感心する。人々が命を賭して挑みながら成し得なかった彼の殺害を、最後は本人が成就させたのだから皮肉な話である。

ヒトラーを殺す42の方法(字幕版)

ヒトラーを殺す42の方法(字幕版)

  • 発売日: 2015/10/02
  • メディア: Prime Video