オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『殺人漫画』

더 웹툰: 예고살인(Killer Toon), 104min

監督:キム・ヨンギュン 出演:イ・シヨン、オム・ギジュン

★★

概要

漫画の通りに人が殺される話。

短評

演技も演出も大げさなだけで安っぽい韓国製ホラー映画。死亡シーンが漫画になる演出や過去が解き明かされていくプロット自体はそこまで悪くないと思うが、いかにも「この映画のために用意しました」という新品感のある衣装、小道具、セットの三点セットはいただけない。主人公がやたらと美人な上に無意味に美脚を見せびらかしたりと、全体的に小綺麗なのがホラー映画に必要な陰惨な空気とは真逆である。雨のシーンは見事に晴れている。この陳腐さは粗製濫造されるTVドラマのそれだった。ティーンエイジャー向けである。『殺人カメラ』みたいなタイトルに釣られたのが完全に失敗だった。

あらすじ

デビュー作『狂気の歴史』で人気漫画家の仲間入りを果たしたカン・ジユン(イ・シヨン)。彼女が新作『黒いベール』のデータを編集長ミスクに送ると、その内容はミスクの過去を暴くものであり、漫画で予言されている通りに彼女は死亡する。その後もジユンの漫画の通りに人が死ぬ事件が起こる。一方のジユンも悪夢に悩まされており……。

感想

ジユンと刑事が漫画の謎をそれぞれに追いかけていき、ジユンがかつて仲良くしていたソヒョン(ムン・ガヨン)という少女が関係していると分かってくる。漫画にまつわるミステリー自体は悪くないものの、その過程で刑事たちが漫画の世界に巻き込まれたり話が二転三転するのは、どうも“無理やり盛り上げようとした”感が強い。物語が散漫になった印象を受けた。ジユンとソヒョン、そして漫画だけに焦点を絞れなかったのだろうか。本作の物語は納棺師の死だけでも成立しそうなのだが、それだと「漫画の通りに人が死んでいく」という基本設定でホラーができないのか。

映像のチープさが顕著である。最近のデジタルカメラで撮れる映像をそのまま使用したかのような質感で、その手抜き感は素人の撮影のようだった。綺麗だがのっぺりてかてかしている。コントラストも色調もまるで工夫がない(せいぜい回想編と見分けがつくようにしているくらい)。まったく没入できない。不気味さも皆無。途中で観るのをやめたくなるレベルだった。自分が観ているのが映画だと認識できないタイプの映像品質である。

アメコミっぽい劇画調の漫画が挿入される以外のホラー演出はありきたりなものである。いかにも「私は亡霊です」みたいな白塗りお化けがバーンと出てくる。これと手抜き映像との相性が極めて悪く、ホラーというよりもコメディになっていた。

本作はLINE FILMSの製作である。韓国にもLINEマンガと同様のサービスがあるのだろうか。そのプロモーションを兼ねてなのかジユンはウェブ漫画家という設定になっている。登場するウェブ漫画はブラウザ上で絵が動くのだが、これはホラー漫画のドッキリ演出にはかなり有効だと思う。三十郎氏はこのようなウェブ漫画を読んだことがないのだが(『オナニーマスター黒沢』を読んだことがあるくらい)、実際に導入されているのだろうか。可能性は広がりそうだが、単行本との折り合いをどうつけるのだろう。

殺人漫画(字幕版)

殺人漫画(字幕版)

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