オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『死霊館 エンフィールド事件』

The Conjuring 2, 133min

監督:ジェームズ・ワン 出演:ヴェラ・ファーミガパトリック・ウィルソン

★★★

概要

イギリス人美少女が悪霊と悪魔に狙われる話。

短評

死霊館』シリーズの第二作。1977年にイギリスで起きたエンフィールド事件の映画化である。心霊現象の存在を裏付ける有名な事例なのだとか。少々やり過ぎなくらいにドタバタしたホラー映画ではあるものの(ヘソ曲がり男は家を破壊し過ぎ)、やはりショッカー・シークエンスの見せ方が上手くて引き込まれた(被害者の少女が可愛いからという理由もある)。ウォーレン夫妻の絆や優しさが見えるホラー映画らしからぬ温かみも印象的である。

あらすじ

1976年、ニューヨーク。エドとロレイン(ヴェラ・ファーミガ)のウォーレン夫妻は、アミティビル事件の調査後にロレインが不安を覚え、しばらく実地調査を中止することに決める。1977年、イギリスのエンフィールド。母子家庭のホジソン家は、次女ジャネット(マディソン・ウルフ)が「ここは俺の家だ」という老人の声を聞いたり夢遊病に悩まされるようになる。はじめは娘の悪戯を疑う母だったが、本人もタンスがひとりでに動くポルターガイスト現象を目撃する。テレビの取材を受けて注目を浴びたことからウォーレン夫妻へと話が繋がり、夫妻は「見に行くだけ」という約束で渡英する。

感想

エンフィールド事件は長期間続いたポルターガイスト現象とのことである。そこに冒頭に出てきたアミティビル事件の要素を加えて、悪魔的な話にすることでシリーズに一貫性を持たせている。最初に登場する悪霊は、「名前はビル・ウィルキンス。年は72才」と丁寧に自己紹介してくれる爺さんであり、怖くないどころか痴呆老人感があって笑えるくらいだった。「お爺ちゃん、あなたはもう死んだんですよ。家族も引っ越したんですよ」と優しく諭せば、「おや、そうじゃったかのう」と返してくれそうな気さえする。現実には恐ろしかったのだろうが、あえて前フリを滑稽にしたことでラスボスたるヴァラクの存在感が強調されていたと思う。

今回の被害者ジャネットちゃんがとても可愛い。美少女と心霊現象の組み合わせは非常に相性が良いと思う。か弱くて、儚げで、何かが起こりそうではないか。自らをロープでベッドに繋ぐような健気な美少女が周囲に信じてもらえないなんて気の毒ではないか。三十郎氏が男性だからそう感じるだけなのだろうか。女性は美少年に対して同じ気持ちを感じたりするのだろうか。本作では悪霊に心の隙間を狙われそうな美少女だったマディソン・ウルフだが、現在は悪霊よりも殺人鬼に追い回されてキャーキャー叫んでいそうなイケイケのティーンエイジャーに成長している。これはこれで可愛いけれど、……ロリコンでもいいや。

本人写真との比較では、長女マーガレット(ローレン・エスポジート)の雰囲気が似ていたと思う。母ペギー(フランセス・オコナー)は大幅に美化されており、本人は亡くなった椅子が似合いそうなでっぷり具合だった。

本作は「実話に基づく」ということになっているので、ジャネットの空間転移は余計だったと思う。「ありえないはずの出来事が起こる」のが心霊現象ではあるものの、物理法則を完全に無視してしまうとフィクション感が高まる。もっとも舞台はイギリスである。キングス クロス駅の9と4分の3番線みたいにすり抜けられる壁があっても不思議ではない。ポルターガイスト現象もホグワーツを放校された不良魔法使いの悪戯だったのかもしれない。

名前を呼ばれただけであっさり退散してしまう悪魔ヴァラク。『死霊館のシスター』を観て以来シスターのコスプレをしたマリリン・マンソンにしか見えないのだが、『ボウリング・フォー・コロンバイン』を鑑賞したばかりのためなのか、「もしかしてこいつもちゃんと話を聞いてみれば真面目な奴なのかもしれぬ」と考えずにはいられなかった。それともマリリン・マンソンを「ブライアン・ヒュー・ワーナー」と呼べば退散するのだろうか。

演出面で上手いと感じたのは、長回しと影の使い方だろうか。人物の動きに合わせてカメラを動かすことで死角が生まれる。観客はその死角に「何かが起きそう」という予感を抱くことになる。「何かが起きそう」なのは見えない場所であり、それには影も含まれる。家の中での典型的な影はベッドの下なのだが、それ以外にもテントが“いかにもな”アイテムとして登場していた。他の影の使い方については、エドの描いたヴァラクの絵に歩く影が重なったり(少しドヤ感があったが)、絵に影が掛かっている時だけ目が青く光る演出が好きだった。

「I condemn you!」の響きが好きで一度言ってみたいのだけれど、悪魔と対峙しない場合はどういうシチュエーションで言えばよいのだろう。

死霊館 エンフィールド事件(字幕版)

死霊館 エンフィールド事件(字幕版)

  • 発売日: 2016/09/03
  • メディア: Prime Video